葬儀・告別式の基本マナーと流れ【服装・持ち物・香典は?】

葬儀辞典

お通夜や葬儀・告別式では、正しいマナーを知って失礼のないよう振る舞うことが大切です。本記事では、受付やお焼香、故人との対面などの基本的作法から、服装や香典、供花、宗派ごとの数珠の扱い方、言葉遣いの注意点までを解説します。適切な所作やマナーを実践して、葬式にまつわる不安を解消しましょう。

お通夜や葬儀・告別式に参列する際、何をどうするのが正しいの?と迷ってしまうことも少なくありません。正しいマナーを知れば対面での失礼がなくなり、遺族の心情に寄り添うことができます。

本記事では、受付やお焼香といった基本的な作法から、宗派ごとの数珠の扱い方や香典の準備、言葉遣いの注意点までを解説。葬儀前後で必要なマナーを網羅的にご紹介し、恥ずかしくない振る舞いができるようサポートします。

お通夜でのマナー

お通夜とは、故人との最後のお別れをする大切な儀式。参列する際は、節度やマナーを守った配慮ある振る舞いが求められます。

以下にお通夜での基本的なマナーについて解説します。

受付手続き

会場に到着したらまず受付へ向かい、芳名帳にフルネームを丁寧に記帳します。

そして、香典を渡す際は袱紗(ふくさ)から香典袋を取り出し、受付者が読みやすい向きへ持ちかえて差し出します。その際には、声のトーンはおさえ気味で「このたびはご愁傷さまでございます」などのお悔やみの言葉を添えるのが一般的です。

お焼香

お焼香は、故人への哀悼の意を表す重要な儀式です。順番が来たら速やかに焼香台へ進み、以下の手順で静かに行いましょう。

  1. ご遺族に一例、故人の遺影に一礼、一度合掌する
  2. 親指・人差し指・中指で香をつまみ、額に近づけてから香炉へくべる
  3. 遺影に合掌する
  4. 一歩下がって再度遺影へ一礼し、速やかに元の席へ戻る

宗派により作法や回数が若干異なるため、周囲の方の動作を参考にすると良いでしょう。

故人との対面作法

棺の前で静かに手を合わせ、感謝やお別れの言葉を心の中で故人へ伝えます。

なお、故人と対面できるのは遺族から進められるか許可を得たときだけに限られるため、遺族に申し出ずに勝手に故人と対面するのはマナー違反です。

また、直接棺に触れないように気を付け、感謝と敬意を持って最後にふさわしい対面をしましょう。

お通夜での振る舞い

お通夜の場面では、遺族やほかの参列者に対して丁寧な言葉遣いと控えめな態度を心掛けましょう。

お通夜の振る舞いに招かれた場合は、お断りをせず参加して故人を偲ぶほうがご遺族に喜ばれますが、その場に長居することのないよう配慮します。

また、スマートフォンやウェアラブル端末は電子音が鳴らないようマナーモードに設定し、必要がない限り使用を控えましょう。

葬儀・告別式でのマナー

葬儀・告別式は、故人との最後のお別れをする大切な儀式。参列者として適切なマナーを守ることで、故人への敬意や遺族への配慮を示します。

以下に、各場面で配慮すべき具体的なマナーをご紹介します。なお、葬儀・告別式で行うお焼香も前段のお通夜の場合と手順は同じです。

弔辞

弔辞とは、故人を偲んで参列者と共有する追悼の言葉です。喪主や遺族から依頼を受けた場合には事前に内容を準備して、当日は心を込めて読み上げます。

弔辞の内容は、故人との思い出や人柄が想像されるエピソードを中心に、簡潔にまとめます。その際は、忌み言葉(重ね言葉や不吉な表現)は避けましょう。

出棺

告別式の終わりには、故人を火葬場へ送り出す出棺が行われます。棺は遺族や親族が周囲を持って霊柩車に運びますが、棺の頭側を進むほうへ向けて運ぶのが一般的です。参列者は出棺を静かに見送り、合掌してさらに故人の冥福を祈ります。

火葬・拾骨

火葬場で、親族らは故人と最後のお別れをします。火葬が終われば、遺骨を箸で拾い上げて骨壷に納める「拾骨(骨上げ)」の儀式です。このとき、二人一組で同じ骨を同時に拾う「箸渡し」の作法で行うのが一般的です。

精進落し

火葬後には、遺族や親族、親しい友人などが集まる食事の席が設けられますが、これを「精進落し」といいます。食事の席では故人を偲び、参列者の労をねぎらいます。

席順は、僧侶や来賓が上座で遺族が下座に座るのが一般的です。喪主や遺族は、参列者一人ひとりに感謝の言葉を述べながらお酌をして回り、終了時に喪主もしくは親族代表が参加者へ挨拶してお開きです。 

葬儀・告別式後のマナー

葬儀・告別式が終わった後でも、法事や法要において以下のように、適切なマナーを守るべき場面があります。

法事・法要の案内状

これから法事や法要を執り行う際は、予定される参列者へ案内状を送付します。案内状には、日時、場所、服装、持ち物などを明記し、遅くとも1ヶ月前には送付するのが一般的です。案内状には返信用のはがきを同封し、出欠確認の手間が少なくなるよう配慮します。

葬儀・告別式に関連したマナー

葬儀・告別式に関連するマナーとして、以下のものも覚えておきましょう。

服装マナー

葬儀・告別式に参列する際は、男女とも黒を基調とした喪服を着用してのぞむのが基本です。男性は黒のスーツに白いシャツ、黒いネクタイ、黒い靴下と靴。女性は黒のワンピースやスーツ、黒いストッキング、黒い靴を選びます。

アクセサリーは光沢があって光り輝くものは避け、控えめなデザインのものを身に着けます。

香典マナー

香典は、故人への弔意を示す金品で、香典袋の表書きには「御霊前」や「御仏前」などと記載。金額は故人との関係性や地域の慣習によりますが、一般的には偶数を避けましょう。香典袋は袱紗(ふくさ)に包んで持参し、受付で渡す際には一言お悔やみの言葉を添えます。

供花・供物・弔電マナー

供花や供物は、故人への供養を表す物品として贈ります。贈る際は、事前に遺族や葬儀社へ確認し、宗教(宗派)や会場の規模や形状、参列者の人数などの都合に合わせましょう。

葬儀に参列できない場合や特別なメッセージを伝えたい場合は、弔電を送ります。文面は丁寧な言葉遣いで、忌み言葉を避けた内容にしましょう。 

数珠の持ち方

数珠は、仏教の儀式やお祈りなどで手や指に掛けて使用する仏具で、宗派によって持ち方や扱い方が異なります。以下に、宗派ごとの数珠の持ち方の一例をご紹介します。

浄土真宗本願寺派(西)

二重の数珠を左手の親指と人差し指の間に掛け、そこへ右手を通し、房を下側へ垂らして合掌。

真宗大谷派(東)

二重の数珠を左手の親指と人差し指の間に掛け、一つ目の房が下側で二つ目の房は左側へ垂らして合掌。

浄土宗

独立した2つの数珠を両手の親指と人差し指の間に挟み、房を手前側へ垂らして合掌。

真言宗

広げた数珠の輪を綾とりのように両手の中指に掛け、房が外側へ垂れるようにして合掌。

曹洞宗

左手の親指と人差し指の間に挟んで掛けた数珠に、右手を添えて合掌。

日蓮宗

数珠の三房側を左手の中指に掛け、右手を添えて合掌。

天台宗

左手に掛けた数珠に右手を添える、もしくは人差し指と中指で挟んだ数珠を包み込むようにして合掌。

臨済宗

左手の親指と人差し指の間に数珠を掛け、右手を添えて合掌。

真宗高田派

数珠の親玉が上になるよう固定し、両手を数珠へ通して合掌。

言葉遣いのマナー

葬式では、故人や遺族への配慮を示す所作として、以下のような独特な言葉遣いのマナーがあります。

  1. 重ね言葉を避ける
    「重ね重ね」「たびたび」「再び」などの重ね言葉は、不幸の重なりを連想させてしまいます。
  2. 直接的な生死の表現を避ける
    「死ぬ」「生きていた」など直接的に表現せず、「ご逝去」「生前」など婉曲的な表現を用います。
  3. 不吉な言葉を避ける
    「浮かばれない」「消える」「切れる」などは不吉なイメージを与えてしまいます。
  4. 宗教に応じた表現
    「ご冥福をお祈りします」は仏教表現であり、神道やキリスト教の葬儀には適さないこともあります。
  5. 死因の詮索を避ける
    故人の死因を遺族へ尋ねないようにしましょう。遺族が死因を公に言葉にしたくない場合があり、心情に配慮する必要があるからです。

葬儀マナーを知り失礼ない参列を

お通夜や葬儀・告別式は、故人への敬意を示すと同時に、悲しみに暮れる遺族を支える大切な儀式であるため、ひととおりの正しいマナーを知っておくことが大切です。正しい認識があれば安心して参列でき、周囲の方々にも失礼がありません。

本記事でご紹介した受付から法要後の案内状までの所作や手順を確かめ、言葉遣いなどのマナーも自然にできるようにしましょう。