お通夜で必要な6つの持ち物と注意点、あると便利なアイテム

葬儀辞典

お通夜に参列する際、頭を悩ませるのが服装と持ち物です。お通夜では荷物をコンパクトにまとめる必要があり、特に持ち物をどうするか悩むことが多いでしょう。

お通夜には何を持参するのか、持ち物のデザインはどうすればいいのか、気を配ることはたくさんあります。

本記事ではお通夜で最低限必要な6つの持ち物を紹介。貴重品袋やエプロンなど状況に応じて必要になる持ち物、手袋やブランケットなどのあると便利な持ち物も紹介します。

お通夜で必要な6つの持ち物

お通夜で必要な持ち物は次の6つです。お通夜で使うバッグは小さく、荷物はコンパクトにまとめる必要があるため、なるべくこれらだけを持って参列しましょう。

香典

香典はお通夜や葬儀に持参するお金です。故人への供え物、突然のお通夜・葬儀で出費の重なる遺族に対して「お互い助け合おう」という気持ちを伝えるために渡します。

なお、香典は一度だけ渡すものです。お通夜で香典を渡している場合、葬儀・告別式で渡す必要はありません。

香典には古札(使用感のある古いお札)を包みましょう。新札(使用感のないきれいなお札)を包むのは、訃報を予期していたようでマナー違反とされています。新札しかない場合は、縦に一度折り目を入れてから包みます。

ただし、切れ目や汚れの付いたお札、シワシワのお札など、古すぎるお札を包むのは避けましょう。

香典は不祝儀袋(香典袋)に入れ、次に紹介する袱紗(ふくさ)に包んで渡します。香典の金額は自分の年齢や故人との関係性により異なり、目安は次の通りです。

20代30代40代~
親族両親3万~10万円5万~10万円
義理の両親3万~5万円10万円~
祖父母1万円3万円3万~5万円
兄弟・姉妹3万~5万円5万円~
叔父・叔母1万円1万~2万円
従兄弟・その他の親族3,000~1万円3,000~2万円
親族以外上司5,000円5,000~1万円1万円~
上司の家族3,000~5,000円5,000~1万円1万円~
友人・知人3,000~5,000円5,000~1万円5,000~1万円
友人の父母3,000~5,000円5,000~1万円5,000~1万円
勤務先の社員5,000円5,000~1万円1万円~

香典の金額目安

袱紗(ふくさ)

香典は香典袋に入れたうえで、袱紗(ふくさ)に包んで渡します。袱紗の色は黒や藍色、グレーなどの寒色系が望ましいです。暖色系や柄入りのものなどは慶事用のため、葬儀では避けましょう。

紫の袱紗は慶弔両方に使えます。一枚用意しておくと便利でしょう。

なお、香典袋の書き方や袱紗の包み方には決まりがあります。書き方や包み方、渡し方などを詳しく知りたい方は、こちらの記事もお読みください。

葬儀で必要な香典とは?相場や書き方、包み方など、マナーを徹底解説

数珠

数珠は一人ひとつ持参しましょう。数珠の形状は宗教・宗派により異なりますが、故人の宗教に合うものを用意する必要はありません。

数珠の貸し借りはしない

数珠は本人専用の法具です。そのため、数珠の貸し借りはマナー違反にあたります。数珠は自分のものを持参し人に借りないこと、子ども連れで参列する場合は子どもの数珠も用意することを心がけましょう。

数珠を忘れてしまった場合でも、人に借りるのは避けた方が無難です。焼香の際は数珠なしで合掌すればいいので、人に借りることはしないようにしましょう。

ハンカチ(ティッシュ)

ハンカチは黒か白の無地のものを持参しましょう。布地と同じ色の、目立たないレースや刺繍が施されたものでも構いません。

タオルハンカチは見た目がカジュアルなため、お通夜や葬儀には適していません。ただ、夏場のお通夜では汗をかくこともあるでしょう。メインに通常のハンカチを、汗拭き用にタオルハンカチを用意しておくと便利です。

お通夜では涙や鼻水を拭く機会も多く、ハンカチ2枚に加えてポケットティッシュを持参すると安心です。

財布

お通夜で使うバッグは小さいです。そのため、財布もコンパクトなものが便利です。普段使っている財布が長財布、あるいは華美なデザインのものなら、お通夜や葬儀用のコンパクトな財布を用意しておくといいでしょう。

お通夜や葬儀用に財布を用意するなら、黒の布製のものが望ましいです。革は殺生を連想させるためです。ただ、財布を会場内で取り出す機会はあまりないでしょう。普段使っている財布を持っていくなら、素材にまで気を配る必要はありません。

バッグ

男性の場合、バッグを持たずに必要なものをポケットに入れて持ち歩くことが多いです。バッグを持つ場合は、セカンドバッグのようなコンパクトなものを用意しましょう。女性の場合、小さめのハンドバッグが望ましいです。

男女ともに色は黒、光沢のない素材で、できれば布製を用意しましょう。革製は殺生を連想させるため避けます。合皮なら良しとされていますが、見た目では本革と区別がつかないため、避けるのが無難です。

注意が必要なお通夜の持ち物

お通夜や葬儀には、「持って行っても構わないが、扱いやデザインに注意が必要な持ち物」があります。

スマートフォン

スマートフォンは式中に音が鳴らないよう、電源を切るか、マナーモードやサイレントモードに設定しておきましょう。

サイレントモードとは、通知音もバイブレーションもオフにするモードのことです。式中に電話がくると、スマートフォンの振動音が気になるかもしれません。緊急連絡の可能性がある場合でなければ、サイレントモードに設定しておくのがいいでしょう。設定方法は下記の通りです。

【iPhone】

設定の「サウンドと触覚」を開き、バイブレーション内の「サイレントスイッチ選択時」のスイッチをオフにする。これにより、マナーモード設定時のバイブレーションをオフにできます。

【Android】

画面を下から上にスワイプし、クイック設定を開く。「サイレントモード」のアイコンをタップしONにする。

お通夜に持っていく傘は黒や紺、グレーなどの色で、デザインのシンプルなものが望ましいです。このような傘が手元にないなら、ビニール傘を持っていきましょう。

雨が降るかどうかわからない場合は、折り畳み傘を持参しても構いません。

時計

時計は華美なものを避け、シンプルなデザインのものを選びましょう。具体的にはベルトが金属製できらきら光るものや文字盤の大きいものなどは避けた方が無難です。このような時計しかないなら、参列する前に外しておきましょう。

アクセサリー

結婚指輪と真珠のネックレスは、お通夜や葬儀でつけても構いません。結婚指輪にダイヤをはじめとする石がついている場合、石の部分を内側に回しておきましょう。

真珠のネックレスは一連で40~45㎝の長さ、粒の大きさは7~8㎜のものを選びます。二連や三連のものは不幸が重なることを連想させるため、避けましょう。

ピアスやイヤリングも真珠のものならつけても構いませんが、粒の大きさやデザインに気を配る必要があります。パールの色は黒か白、グレー。形は円形。パールの大きさは7~8㎜のものを選びます。デザインは一粒パールのものが望ましいです。

ヘアアクセサリー

お通夜や葬儀では華美なヘアアクセサリーは避けましょう。髪が長い場合は黒のヘアゴムで、耳より低い位置で結います。

色が黒でデザインが華美でなければ、シュシュやバレッタなどのヘアアクセサリーも使えます。ただし、リボンがついているような、華美なデザインのものは避けましょう。

必要に応じて用意したいお通夜の持ち物

親族として参列する場合、受付係や手伝いを頼まれている場合などに、あると便利なお通夜の持ち物を紹介します。

【親族】風呂敷・マイバッグ

親族としてお通夜に参列する場合、風呂敷やマイバッグを用意しておくといいでしょう。親族のお通夜・葬儀では、荷物が多くなることもあるからです。

風呂敷を使う場合は包み方を調べ、1~2回練習しておくといいでしょう。風呂敷を使い慣れていないなら、大きめのマイバッグが便利です。

【受付係】貴重品袋

受付係を頼まれているなら、貴重品袋を持参しましょう。会場では他家のお通夜が行われていることもあります。香典が他家のものと混ざったり、紛失したり、貴重品袋があればお金のトラブルを防ぎやすくなります。

【手伝いをするなら】エプロン

親族や親しい人のお通夜に参列するなら、エプロンを持っていくといいかもしれません。エプロンがあれば、台所関係の手伝いをするときに便利です。エプロンを身に着けることで親族の関係者や親しい人であることを示せるため、このような目印としても役立ちます。

お通夜や葬儀で身に着けるエプロンは黒か白、素材は光沢がない地味なものが望ましいです。エプロンの色を統一したり、地域のしきたりに従ったりする場合もあるので、事前に確認しておくといいでしょう。

【宿泊するなら】着替え

遠方からお通夜に参列したり、翌日の葬儀にも参列したりする場合、近くに宿泊していくこともあるでしょう。この場合、インナーやYシャツ・ブラウスなどの替えを用意しておくと便利です。

新幹線や飛行機で移動したり、長時間運転したりする場合は、喪服を着ているとシワがついたり身体が凝ったりするかもしれません。普段着で移動し、会場近くで着替えるのがおすすめです。

【あると便利】ブランケット

ブランケットは肌寒いときにひざ掛けや肩掛けとして使ったり、正座するときに折りたたんで足の下に敷いたりできます。子ども連れで参列する場合、子どもが寝てしまったときのタオルケット代わりにもなります。

ブランケットがあると何かと便利なので、遠方から参列する場合や子ども連れで参列する場合は、1~2枚用意しておくといいでしょう。

仕事帰りに参列するときの注意点・持ち物

お通夜に参列する際の服装は、喪服でもブラックスーツでも構いません。スーツを着る仕事をしているなら、ブラックスーツで出勤し、そのままお通夜に参列するのがスムーズでしょう。

仕事帰りにお通夜に参列する際の注意点や持ち物について解説します。

お通夜は遅れても出席する

思わぬ残業や交通機関の乱れにより、お通夜の時間に間に合わないこともあるでしょう。時間に間に合わなくても、30分~1時間ほどの遅刻なら、お通夜に参列するようにしましょう。

お通夜は急な訃報に駆けつけるものなので、多少の遅刻は仕方ないものとされています。遅刻する場合は会場や葬儀会社などに電話しましょう。多忙な遺族への直接連絡は控えます。

なお、お通夜と異なり事前に日時のわかっている葬儀・告別式への遅刻は、原則NGです。

仕事用のバッグは持たずに会場へ

お通夜や葬儀では黒で光沢のない、コンパクトなバッグを使います。仕事用のバッグは会社に置いていくか、会場のクロークに預けましょう。

【男性の持ち物】黒のネクタイ

仕事帰りにお通夜に参列する場合、ブラックスーツと普段用のネクタイで仕事をして、退勤後に黒のネクタイに付け替えるといいでしょう。

黒のネクタイを忘れてしまった場合はコンビニや100円ショップ、デパートなどで購入できます。すべての店舗で黒のネクタイが買えるわけではありませんが、大型の100円ショップやデパートなら置いてある可能性が高いです。

女性の持ち物

女性の場合はブラックスーツと白のブラウスで仕事をし、必要に応じてストッキングを替えたり、黒の手袋をはめたりするといいでしょう。

黒のストッキング

お通夜や葬儀では、20デニールほどの薄手のストッキングを着用するのが一般的です。このような薄手のストッキングは伝線しやすいので、仕事中は別のものを着用し、退勤後に履き替えるといいでしょう。予備を1枚用意しておくと安心です。

黒の手袋(ネイルをしている場合)

ネイルをしている場合、黒の手袋をはめるといいでしょう。仕事帰りでネイルを落とす時間がない、ネイルを落としたくない場合に便利です。焼香の際だけ手袋を外すなど、状況に応じて着脱しましょう。

まとめ

お通夜の持ち物はなるべくコンパクトにまとめましょう。仕事帰りに参列するなら、ブラックスーツで仕事をし、退勤後にネクタイやストッキングを替えるのがおすすめです。仕事用のバッグは会社に置いておくか、クロークに預けるといいでしょう。

親族として参列するなら風呂敷やマイバッグが、受付係として参列するなら貴重品袋があると便利です。故人との関係性や自分の役割に応じて必要な持ち物は変わってくるので、事前に確認しておきましょう。

持ち物と同じく、服装や身だしなみも大切です。服には持ち物以上に明確なマナーがあります。服装や身だしなみのマナーを知りたい方は、こちらのリンクから確認してみてください。