参列者に感謝の意を表す会葬礼状は、家族葬でも必要なのでしょうか。本記事では、家族葬における会葬礼状の意味や書き方、文例、送る際のマナーをわかりやすく解説します。
家族や親しい友人のみで執り行う家族葬は、参列者が少ない分、一般葬とは異なる対応が求められます。その中でも多くの方が迷うのが会葬礼状の準備の有無です。少人数のため省略できるのか、参列者が少なくても用意すべきなのか、判断に迷う場面もあるでしょう。
本記事では、家族葬における会葬礼状の必要性や役割、正しい書き方、文例、注意点を詳しく解説します。失礼のない対応で、大切な故人を偲ぶ時間を整える参考にしてください。
家族葬とは
そもそも家族葬とは、故人のご家族やごく親しい親族・友人のみで執り行う小規模な葬儀のことです。一般葬のように近隣の方や会社関係者、知人など広く参列者を招かず、限られた人だけで静かに見送るスタイルです。
「身内だけで見送りたい」「落ち着いた雰囲気でお別れしたい」といった希望に沿った形式であるため、近年特に選ばれることが増えています。規模は数名から数十名程度と幅があり、遺族の意向によって柔軟に対応できる点も特徴です。
家族葬が増えている背景
家族葬が選ばれるようになった背景には、社会の変化や価値観の多様化が影響しています。
| 少子高齢化と核家族化 | 親戚付き合いが希薄になり、葬儀に参列する人数自体が減少している |
| 経済的負担の軽減 | 大規模な葬儀には多額の費用がかかるため、比較的費用を抑えられる家族葬が注目されている |
| 故人や遺族の希望の尊重 | 「静かに見送ってほしい」「形式よりも心を込めた葬儀を」というニーズが増加している |
| 新型コロナウイルスの影響 | 感染症対策のために小規模な葬儀が広がり、その後も一般的な選択肢として定着した |
このように、家族葬は時代に即した葬儀の形として広く受け入れられています。規模は小さくても、参列者一人ひとりが故人とゆっくりお別れできる点に魅力を感じる方が増えています。
会葬礼状とは
会葬礼状(かいそうれいじょう)とは、葬儀や告別式に参列していただいた方へ、遺族が感謝の気持ちを伝えるためにお渡しする挨拶状です。参列者は、故人に最後のお別れをするために時間を割き、香典や供花を持参します。会葬礼状は、その厚意に対するお礼として欠かせないものとされています。
単なる儀礼的な習慣にとどまらず、遺族が故人を大切に想っている姿勢を形として表す意味合いもあり、葬儀における大切なマナーのひとつといえます。
一般葬の場合、参列者の数は数十名から数百名に及ぶケースが多く、遺族が一人ひとりに直接言葉をかけるのは困難です。そのため、受付で会葬礼状をお渡しし、参列に対する感謝を伝えるのが慣例となっています。多くのケースでは、会葬御礼(お礼の言葉)と一緒に粗品(返礼品)を添えて渡します。
感謝の気持ちを伝える重要性
会葬礼状の目的は、形式的なあいさつにとどまりません。葬儀に参列してくださった方へ「ご多忙の中お別れに来ていただきありがとうございました」という気持ちを、文書で丁寧に伝えることが大切です。
また、直接ご挨拶できなかった参列者に対しても、礼状を通じて誠意を示せます。特に、遺族の立場では葬儀の準備や進行に追われ、十分にお礼を言えない場面も少なくありません。そうした状況を補い、感謝の心をきちんと届ける役割を果たしてくれるのが会葬礼状です。
家族葬に会葬礼状は必要?
家族葬は、参列者が限られるため「会葬礼状は省略してもよいのでは?」と考えるご遺族も少なくありません。しかし、参列してくださった方々に対しては、感謝の気持ちを示すことが何より大切です。たとえ身内だけであっても、会葬礼状を用意しておくと、故人を大切に見送る姿勢がより伝わります。
また、参列者が親しい関係者だからこそ、形式的に見えても礼儀を守ることが後々の良好な人間関係の維持につながります。
会葬礼状が省略されるケースとその背景
一方で、家族葬の性質上、会葬礼状を省略するケースもあります。例えば、以下のような場合です。
- 本当にごく身内だけ(数名)で執り行った場合
- 葬儀後に改めてお礼の挨拶を予定している場合
- 香典や供花を辞退した場合
このようなケースでは、必ずしも会葬礼状が必要ではありません。ただし、省略する際は、当日口頭で感謝を伝えたり、後日改めてお礼状や電話で気持ちを伝えたり、代替手段を検討するのが望ましいです。
また、後日改めて忌明けの挨拶状や香典返しに礼状を添えて送ることで、会葬礼状の代わりとする方法もあります。特に香典を受け取った場合は、四十九日後に香典返しと一緒に挨拶状を送るのが慣習となっており、形式的には問題ありません。
家族葬で会葬礼状を渡す際のマナー
会葬礼状は、通常受付で参列者に渡します。家族葬の場合も同様で、お通夜や葬儀・告別式に参列してくれた方へ、香典返しと一緒に渡すケースが多く見られます。
参列人数が少ないため、受付を設けずに遺族が直接手渡しすることも可能です。その場合は、感謝の言葉を添えるとより丁寧です。
会葬御礼との違い
会葬礼状と混同されやすいのが、会葬御礼や香典返しです。
| 会葬礼状 | 参列そのものに対する感謝を伝える文書 |
| 会葬御礼(返礼品) | 参列・香典に対するお礼の品物 |
| 香典返し | 後日、忌明け(四十九日)に送る品物と挨拶状 |
家族葬では香典を辞退するケースもあるため、会葬礼状のみを用意する場合もあります。反対に、香典を受け取った場合は、後日の香典返しに改めて礼状を添えるのが望ましいでしょう。
葬儀社に依頼する場合の流れ
多くの葬儀社では、会葬礼状の文面や印刷サービスを用意しています。一般的には定型文が使われますが、家族葬では参列者が限られます。そのため、オリジナルの文面にしたいと希望する方も増えています。
依頼の流れは以下のとおりです。
- 文例集から選ぶ、またはオリジナル文を作成する
- 葬儀社が印刷し、返礼品とセットにして当日渡せるよう準備する
- 少人数であれば、遺族が手渡しや郵送で対応もできる
葬儀社に依頼すると、形式を間違える心配がなく、短時間で準備できるメリットがあります。
会葬礼状の書き方
会葬礼状は、参列者への感謝を表す大切な文書です。形式に沿って丁寧に書くことで、受け取った方に誠意が伝わります。特に家族葬では一人ひとりとの関係が深いため、シンプルでありながら心のこもった文章を心がけましょう。
基本構成
会葬礼状の文章は、以下のような流れで構成するのが一般的です。
1. 冒頭の挨拶(感謝の言葉)
例:「本日はご多用のところ、故人の葬儀にご会葬いただき誠にありがとうございました。」
2. 故人についての簡潔な紹介
故人の名前や、簡単な人柄について触れるとより丁寧です。
例:「故 ○○は生前、皆様に温かいご厚情を賜り、安らかに旅立つことができました。」
3. 遺族の気持ちや今後のご挨拶に代える旨
直接お礼を言えなかった場合や、後日のご挨拶を予定している場合の一文を添えます。
例:「本来であれば直接ご挨拶申し上げるべきところ、略儀ながら書中にて御礼申し上げます。」
4. 結びの言葉
会葬礼状では時候の挨拶や季節の言葉は入れません。次のような、遺族としてのお願いを一文入れると良いでしょう。
例:「今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。」
家族葬での書き方の工夫
家族葬では参列者が限られるため、一般葬よりも少し柔らかい表現にするのも一案です。親しい方ばかりだからこそ、かしこまりすぎず、温かさを感じる文章が好まれることもあります。
また、香典を辞退した場合は、その旨を会葬礼状に明記しておくと親切です。
会葬礼状を用意する際の5つの注意点
会葬礼状は参列者への感謝を伝える大切な挨拶状ですが、形式に慣れていないと「どのように準備すれば良いのか」「この書き方で失礼にならないか」と不安に感じる方も多いでしょう。家族葬で会葬礼状を準備する際に注意すべき5つのポイントを整理します。
1. 丁寧で簡潔にまとめる
会葬礼状を長文にする必要はありません。むしろ、簡潔でわかりやすい文章の方が相手に好印象を与えます。形式的ではありますが、感謝の気持ちが伝わることを第一に考えると良いでしょう。
2. 誤字脱字・敬語に注意する
会葬礼状は正式な文書にあたるため、誤字脱字や誤った敬語には注意しましょう。特に御芳名や御香典など、冠婚葬祭特有の表記にも気をつけましょう。印刷する前に複数人でチェックすると安心です。
3. 個人的なエピソードの扱い方
一般的には定型文を用いるのが無難です。しかし、家族葬の場合は参列者が親しい関係者に限られるため、故人の人柄や思い出を一文添えるのも良いでしょう。ただし、あまり長くなりすぎると礼状としての形式を逸脱する可能性があります。そのため、加える場合は一言程度に留めるのが理想です。
4. 香典辞退の場合の明記
家族葬では香典を辞退するケースも多いため、その旨を会葬礼状に明記するケースがあります。参列者に混乱や気遣いをさせないためにも、「ご厚志の儀はご辞退申し上げます」と記載しておくと丁寧です。
5. 印刷か手書きかを使い分ける
会葬礼状は印刷で用意するのが一般的ですが、少人数の家族葬の場合は、手書きで感謝の言葉を添えるとより心のこもった印象になります。
家族葬でも感謝を伝える会葬礼状は大切
家族葬は小規模で落ち着いた葬儀の形ですが、参列してくださった方々への感謝の気持ちを伝えることの大切さは、一般葬と変わりません。会葬礼状は、その気持ちを形にする役割を果たします。
家族葬では会葬礼状が省略されるケースもあります。しかし、たとえ親しい関係者だけの葬儀であっても、丁寧な会葬礼状を準備することで、遺族の誠意がしっかり伝わります。特に家族葬では参列者が限られる分、一人ひとりに心を込めて対応できるため、礼状を渡す意義は大きいといえるでしょう。
葬儀社に依頼する、印刷で用意する、手書きで添えるなど、方法はさまざまです。不安な方は、印刷にしろ手書きにしろ、まずは葬儀社に相談するのがおすすめです。
あんしん祭典でも、会葬礼状に関する相談を承っています。会葬礼状に関して、こちらの画像のようにお喜びの声もいただいております。

会葬礼状に関するお客さまの声
会葬礼状の内容や送り方でお悩みの方はもちろん、家族葬をどこに任せるか探している方も、まずはお気軽にご相談ください。会葬礼状の書き方や葬儀形式といった葬儀に関することはもちろん、相続や役場での手続きなど、葬儀後に発生する諸々のことも、まとめてサポートさせていただきます。

