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遺族年金の受給資格とは?誰がもらえるか優先順位と注意点を正しく知ろう

手続き

遺族年金は家族全員がもらえるわけではなく、法律で決まった優先順位のもと受け取れる人が決まる制度です。本記事では、自営業と会社員での受給範囲の違い、夫や妻・父母にかかる年齢制限、受給の鍵となる年収850万円の壁について解説します。遺族年金を受給できるか不安な方や、誰が手続きをすべきか迷っている遺族に役立つ内容です。

大切な家族を亡くしたとき、残された家族のその後の生活を支える大きな柱となるのが「遺族年金」です。

遺族年金とは、亡くなった方が加入していた年金制度(国民年金や厚生年金)から、遺された家族に対して支給される公的なお金のことをいいます。いわば、亡くなった方に代わって国がご家族を支えてくれる「生活のバトン」のような存在です。

しかし、遺族年金は家族であれば誰でも受け取れるわけではありません。「受給資格」という厳格なルールがあり、家族の中で誰が一番優先されるのか、順番が法律で決まっています。

本記事では、遺族年金の受給資格がある方の範囲や優先順位、意外と知られていない受給の条件について、わかりやすく丁寧にお伝えします。

そもそも遺族年金の「受給資格」とは

遺族年金の受給資格とは、簡単に言うと「亡くなった方の年金を受け取れる権利」のことです。

家族を亡くした際、誰もが自動的にお金を受け取れるわけではありません。国が定めた要件をクリアしたうえで、さらに家族の中で誰がもらうかといった優先順位が決まっています。

遺族年金の受給資格がある人の範囲と優先順位

遺族年金には、もらえる人の範囲と、受け取る順番が厳格に決まっています。亡くなった方がどの年金に入っていたかによって、対象者の幅が変わります。

遺族基礎年金をもらえる人(自営業・フリーランスなど)

対象は「子」を中心とした非常に限定的な範囲です。遺族年金を受給する優先度が高い順に記載しています。

①子のある配偶者

②子

ここでいう「子」とは、原則として「18歳になった年度の末日(高校卒業まで)」の間にある未婚の子どもを指します。なお、障害がある場合は20歳に達するまでを指します。

子どもがいない、あるいはすでに子どもが成人している場合、配偶者であっても遺族基礎年金の受給資格は一切ありません。自営業の方などの場合は、特に子どもの有無が受給の分かれ目となります。

遺族厚生年金をもらえる人(会社員・公務員など)

会社員・公務員などの場合は対象が広がり、もっとも優先順位が高い一人だけが受け取れます。遺族年金を受給する優先度が高い順に記載しています。

① 子のある配偶者

② 子

③ 子のない配偶者

④ 父母

⑤ 孫

⑥ 祖父母

配偶者と子どもに関するルール

「子のある配偶者(①)」と「子(②)」は同順位ですが、基本的には配偶者が代表して受け取ります。そのため、配偶者が受給している間は子どもの年金が一旦止まる仕組みです。

なお「配偶者」には事実婚(内縁関係)のパートナーも含まれますが、「子ども」については亡くなった方と法律上の親子関係がある実子または養子に限られます。そのため、養子縁組をしていない子どもは対象外です。

子のない配偶者に関するルール

妻(夫が死亡)の場合、30歳未満であれば「5年間」の限定支給となりますが、30歳以上であれば一生涯受給できます。夫(妻が死亡)の場合、妻の死亡時に55歳以上であることが条件で、受給開始は60歳からです。

しかし、遺族基礎年金を合わせて受給できる場合は、遺族基礎年金をあわせて受給できる場合に限り、55歳から60歳の間であっても遺族厚生年金を受給できます。

父母・祖父母に関するルール

父母(④)や祖父母(⑥)については、亡くなった当時55歳以上であることが条件です。実際の受給開始は60歳からとなります。

受給資格の鍵となる「生計を維持されていた」の基準

遺族年金を受給する優先順位が上位であっても、亡くなった方に「養われていた」という実態がなければ受給資格は認められません。

受給資格の鍵を握る「生計を維持されていた」の基準は、以下で判断されます。

1.収入の基準:年収850万円未満であること

遺族年金を受け取る方の年収が850万円(所得なら655.5万円)未満であれば、生計を維持されていたとみなされます。

もし今この金額を超えていても、「定年退職が近い」「病気で退職予定」など、5年以内に年収が下がる見通しがあれば認められる場合があります。

2.生活の実態:別居していても認められる

原則として同居が条件ですが、単身赴任、学業、介護などで別居していた場合でも「家計が一つであったこと」を証明できれば受給できる可能性が高いでしょう。具体的には、以下のような実態が重視されます。

・定期的な仕送りが行われていた

・健康保険の扶養に入っていた

・定期的に連絡を取り合い、家計の補助(生活費の負担など)があった

遺族年金の受給には、亡くなった方から経済的な支えを受けていたことと、日常的な交流がポイントです。

3.事実婚(内縁関係):戸籍にとらわれない

婚姻届を出していない事実婚や内縁関係であっても、法律上の夫婦と同様に生計をともにしていた実態があれば、遺族年金の受給資格が認められるケースがあります。

受給のためには客観的な証明が必要ですが、住民票の続柄が「妻(未届)」となっていることや、健康保険の扶養に入っているといった公的な記録がもっとも強力な証拠です。

もし記録がない場合でも、連名の郵便物や公共料金の支払い、葬儀で喪主を務めた実績などを積み重ねることで、夫婦としての実態を認めてもらえる可能性があるでしょう。

遺族年金はいくらもらえる?

遺族年金の受給額は、亡くなった方が加入していた年金の種類と、残された家族の状況によって決まります。

遺族基礎年金の場合

国民年金から支給される「遺族基礎年金」は、基本となる年金額に子どもの人数に応じた加算額を足して計算します。

受給額の計算式

誰が受け取るか、また受取人の生年月日によって基本額が異なります。

受取人基本年金額(年額)計算式
配偶者(昭和31年4月2日以後生まれ)831,700円基本額+子の加算額
配偶者(昭和31年4月1日以前生まれ)829,300円基本額+子の加算額
子ども本人が受ける場合831,700円基本額+2人目以降の子の加算額

子の加算額(上乗せされる金額)

子どもの人数に応じて、以下の金額が基本額にプラスされます。加算額は、第1子・第2子の場合は各239,300円、第3子以降は各79,800円です。

遺族基礎年金の支給額目安(年額)

「昭和31年4月2日以後生まれの配偶者」が受け取る場合のシミュレーションです。

子どもの人数基本年金額子どもの加算額遺族基礎年金額(年額)
1人831,700円239,300円1,071,000円
2人831,700円239,300円+239,300円1,310,300円
3人831,700円239,300円+239,300円+79,800円1,390,100円

遺族基礎年金は、子どもの人数によって金額が大きく変動するのが特徴です。子どもが18歳(高校卒業)の年度末を過ぎると、子どもの分の加算がなくなります。

遺族厚生年金の計算(会社員・公務員など)

会社員や公務員の方が亡くなった場合に支給される「遺族厚生年金」は、その方の生前の収入や加入期間に応じて決まる「報酬比例」といった仕組みで計算されます。

受給額の計算式

基本的には、亡くなった方が将来受け取るはずだった「老齢厚生年金(報酬比例部分)」の4分の3の金額が支給されます。

若くして亡くなった場合など、厚生年金の加入期間が25年(300か月)に満たないときは、「300か月加入していたもの」とみなして計算します。これにより、加入期間が短くても一定の年金額が保障されるのが特徴です。

「報酬比例部分」の出し方は少し複雑ですが、制度が大きく変わった「2003年(平成15年)4月」を境に、前後の期間を分けて計算したものを合計します。

2003年3月まで:平均標準報酬月額 × 7.125/1,000 × 加入月数

2003年4月以降:平均標準報酬額  × 5.481/1,000 × 加入月数

被保険者の給与水準が高かった場合や、長期間厚生年金に加入していた場合は、遺族厚生年金の受給額も高くなります。

遺族厚生年金の支給額目安(年額)

加入期間がすべて2003年4月以降で、合計300か月(25年)とみなして計算した場合のシミュレーションです。

平均標準報酬額(月収)遺族厚生年金の年額目安月額換算
200,000円約247,000円約20,000円
300,000円約370,000円約31,000円
400,000円約493,000円約41,000円
500,000円約617,000円約51,000円

実際の受給時には、これに遺族基礎年金や中高齢寡婦加算などが加算されるため、手元に届く合計額はさらに多くなります。

遺族年金の「中高齢寡婦加算」と「経過的寡婦加算」とは

夫を亡くした妻には、年齢や状況に応じて「中高齢寡婦加算」と「経過的寡婦加算」という2つの加算制度が用意されています。これらは、妻が老齢年金を受け取るまでの生活を支えるための仕組みです。

中高齢寡婦加算(40歳〜65歳になるまで)

会社員や公務員の夫を亡くした妻が、年金(老齢基礎年金)を受け取り始める65歳までの間、家計の大きな助けとなる上乗せ給付です。

対象は以下の条件を満たしている妻で、支給額は年額612,000円(令和6年度)〜623,800円(令和7年度案)です。

1. 夫が亡くなった時に40歳以上65歳未満で、子どもがいない妻

2. 子どもが成長し、遺族基礎年金がもらえなくなった時点で40歳を超えている妻

子どもがいない(または独立した)妻は、国から「遺族基礎年金」が支給されなくなります。減ってしまった分をカバーし、年金受給が始まる65歳までを支えてくれるのが特徴です。

経過的寡婦加算(65歳以降)

中高齢寡婦加算が終了する65歳以降に、遺族厚生年金へ上乗せされる給付です。年金制度の切り替わりによって、65歳になった途端に受給額が減ってしまうのを防ぐための役割を持っています。

原則として昭和31年(1956年)4月1日以前に生まれた妻が対象で、具体的には以下のパターンが当てはまります。

1.昭和31年4月1日以前に生まれた妻が65歳以上で遺族厚生年金を受け取る権利が発生した場合

2.中高齢寡婦加算が適用されていた昭和31年4月1日以前生まれの妻が、65歳に到達したとき

加算される金額は「老齢基礎年金」と「経過的寡婦加算」を合計したときに、ちょうど65歳までの中高齢寡婦加算と同じくらいの金額になるように設定されています。

注意すべき、遺族年金の受給資格を失ってしまうケース

遺族年金は、受給が決まれば一生受け取れるとは限りません。家族の状況に変化があった際、受給する権利(受給権)を失ってしまうケースがあります。

「知らずに遺族年金の受給が止まって困ってしまった」ということがないよう、注意すべきポイントを確認しておきましょう。

再婚したとき(事実婚・内縁関係を含む)

遺族年金の受給資格を失う中でも特に多いケースです。新しく婚姻届を出したときはもちろん、届け出をしていなくても、実態として新しいパートナーと同居し家計をともにしている(事実婚)とみなされると、遺族年金を受け取る資格はなくなります。

これは「新しい家族によって生計が維持されるようになる」といった考えにもとづいています。

子どもが18歳の年度末を過ぎたとき

子どもが高校を卒業する年齢(18歳になった年度の3月31日)を過ぎると、子どもの受給資格がなくなります。同時に、親が受け取っていた「子のある配偶者」としての遺族基礎年金も終了です。

なお、子どもに障害がある場合は20歳になるまで継続されます。

30歳未満で子どものいない妻

夫を亡くした際、子どもがいない30歳未満の妻については、遺族厚生年金の受給期間が一生涯ではなく「5年間」といった期限付きになります。

30歳未満で子どものいない妻は、何年後まで遺族年金を受給できるのかしっかり把握しておきましょう。

養子縁組をしたとき

子どもが、亡くなった方や残された親以外の方(叔父・叔母など)の養子になった場合も、原則として受給資格を失います。

ただし、直系血族(祖父母など)の養子になった場合や、親の再婚相手と養子縁組をする場合など、例外的に資格を失わないケースもあります。

遺族年金は「誰が、いつまで」もらえるか、早めに確認して備えよう

遺族年金は、残された家族の暮らしを守るための非常に心強い制度です。しかし、「誰がもらえるのか」「いつまで続くのか」といった受給の条件は、家族構成や年齢によって一人ひとり細かく異なります。

「うちは共働きだけど、夫ももらえるの?」「今の収入で基準をクリアできている?」など、少しでも不安や疑問を感じたら、まずは専門家へ相談して正確な状況を把握しておくことが、何よりの安心に繋がります。
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