終活とは、人生の終わりに向けた準備のことです。体力や気力があり、時間の余裕もできる60代から始めることで、心に余裕を持って進められます。本記事では60代から終活を始めるメリットや進め方を紹介。これからの暮らしを見直したい方におすすめの記事です。
終活とは、自分の人生の最終章に向けて身の回りや気持ちを整理しておくことです。できるだけ早い段階から取り組むことで、将来への備えがしやすくなり、60代はそのスタートに適した時期といえるでしょう。
しかし、終活には時間も手間もかかります。財産や不動産の整理など複雑なこと発生します。「何から始めればいいのかわからない」と感じて、なかなか手を付けられずにいる方も少なくありません。
本記事では、60代から始める終活の進め方やメリット、注意点までを丁寧に解説します。これからの人生を安心して過ごすための準備を整えたい方は、ぜひ参考にしてください。
60代で終活を始める人が多い3つの理由
60代は、人生の節目を迎える時期です。仕事や子育てを終え、少しずつ時間に余裕が出てきます。そんな中、自分のこれからを考えて「そろそろ終活を始めてみよう」と思う人が増えています。
理由1．定年退職で時間が増えるから
定年を迎えると、仕事に追われる毎日が一段落し、時間のゆとりが生まれます。これまで忙しさの中で後回しにしていたことにも、自然と目が向くようになるでしょう。
ゆっくりと腰を据えて、これからのことを考えたり身の回りを整えたりできるのは、この時期ならでは。落ち着いて物事に取り組めるため、宗亜kつも一つひとつを丁寧に進められるでしょう。
理由2．子どもが独立し気持ちに余裕ができるから
子どもが独立し、親としての役目にひと区切りつく60代。気持ちに余白ができ、「これからは自分のための時間を大切にしたい」と思うようになる人も多いのではないでしょうか。
家族のために過ごしてきた日々から少し離れて、自分の生き方を見つめ直す。その余裕が、終活を始めるきっかけになることもあります。
理由3．気力や体力が残っているから
60代は、まだまだ心も身体も元気な時期です。だからこそ、「今のうちに動いておこう」と考える人が多くいます。先延ばしにせず、前向きな気持ちで取り組めるのも、この時期に終活を始める人が多い理由のひとつです。
気力も体力もあるうちに、自分の意志でしっかりと準備を進めておけば、将来の不安を減らすことにもつながります。
60代で終活を始める3つのメリット
60代から終活を始めると、これからの暮らしがより充実したものになります。ここでは、早めに始めることで得られる3つのメリットを紹介します。
メリット1．セカンドライフを考えやすくなる
終活を通じて、これからの生活を見直すきっかけが生まれます。何を大切にして生きたいか、どんな暮らし方をしたいかが見えてくるようになります。
先の見通しが立つことで、漠然とした不安が減り、毎日の過ごし方にメリハリが出るでしょう。気持ちも前向きになり、第二の人生がより豊かなものになっていきます。
メリット2．家族の負担を軽くできる
身の回りを整理したり、希望を伝えたりしておくことで、家族はいざというときも迷わずに行動できます。遺品整理や相続などで悩む場面も少なくなるでしょう。
事前に準備しておけば、家族は精神的な負担を感じずに済みます。残された人が困らずにいられることは、なによりの思いやりになります。
メリット3．老後や死への負担を軽くできる
終活を進めておくと、自分の老後への備えが整い、気持ちにも余裕が生まれます。医療や介護、万が一の備えも考えやすくなります。
準備ができていることで、突然の体調変化にも慌てず対応できます。また、自分らしい最期を選ぶための土台もつくれるため、死への不安も小さくなるでしょう。
60代の終活ですべき6つのこと
60代は、体力も判断力もまだ十分にあるため、終活を始めるのに適したタイミングです。ここでは、60代の終活ですべき6つのことを紹介します。
1．断捨離
まずは自宅にある不要なものを見直し、少しずつ手放していきます。使わなくなった衣類や雑貨、読まなくなった本など、処分しやすいものから始めましょう。判断に迷うものは一時保留にしても構いません。
物が減ることで生活動線が整い、日々の暮らしが快適になります。また、亡くなった後の遺品整理の負担を減らせるため、家族にとっても助けになります。
2．家族との話し合い
終活は自分ひとりで完結するものではありません。自分の希望を家族に伝えたうえで、葬儀の形式やお墓の準備、相続の方針などを話し合いましょう。
あらかじめ意向を共有しておくことで、いざというときに家族が迷わず対応できます。話し合いを通じて信頼関係が深まり、トラブルの防止にもつながります。
3．財産の整理、一覧の作成
預貯金や不動産、有価証券、保険など、すべての財産を把握し、一覧表にまとめましょう。相続人を決める場合は、その内容と意向も明記しておくと安心です。
資産の全体像が見えると、相続手続きがスムーズになります。また、使わない不動産などは早めに売却しておくことで、老後資金や終活費用にあてることも可能です。
4．デジタル終活
スマートフォンやパソコンに保存された写真や書類、ネットバンクやSNSのアカウントなどを整理し、ログイン情報やパスワードは紙や専用ノートなどに控えておきましょう。
万が一のときに、家族がアカウントを把握できないと手続きが進まず、資産や大切な記録が失われることもあります。このようなデジタル終活は、今後ますます重要性を増していくでしょう。
デジタル終活の重要性や進め方は、こちらの記事で解説しています。
デジタル終活とは？PC・スマホのデータの残し方・隠し方
5．エンディングノートの作成
介護や医療の希望、葬儀の形式や連絡してほしい相手、自分史や感謝の気持ちなどを、エンディングノートに自由に書き記していきましょう。専門のノートも売っていますが、エンディングノートに決まった書式はなく、自分の言葉で想いや希望を残せます。
ノートがあれば、家族があなたの意向に沿って判断しやすくなります。突然の入院や万一の際にも、周囲の不安を和らげる手助けとなります。
エンディングノートの選び方や書き方は、こちらの記事で解説しています。
エンディングノートを無理なく始めるには？書き方と選び方のコツ、全部教えます
6．遺言書の作成
遺言書は、特定の人に財産を渡したい場合や、相続トラブルの懸念がある場合に検討します。エンディングノートとは異なり、遺言書には法的効力があるため、確実に希望を通したい場合におすすめです。
ただし、遺言書に法的拘束力を持たせるには、決まった形式に則って書かなければなりません。専門家に相談し、公正証書遺言など正しい形式で残しておけば、相続時に意志がしっかり反映されます。
遺言書の相談を誰にすればいいのかわからない方、専門家に手伝ってもらいながら法的拘束力のある遺言書を作りたい方は、こちらの記事をお読みください。
はじめての遺言書相談ガイド｜無料の窓口や専門家の選び方、手続きの流れ
7．葬儀やお墓の準備
希望する葬儀の規模や内容、費用、宗教形式などを考えてみましょう。生前に見積もりを取ったり、契約しておくと安心です。お墓も希望の場所や形式を早めに決めておくとスムーズです。
準備が整っていれば、いざというときに家族が慌てずにすみます。また、希望通りの形で見送ってもらえるという安心感が、自分の気持ちを穏やかにしてくれるはずです。
あんしん祭典では葬儀の生前相談や、葬儀に向けた積み立てができます。葬儀の生前相談や積み立てが気になる方は、こちらのページをご覧ください。
葬儀の準備を早めにしておきたい方はこちら
60代の終活を上手に進めるポイント
終活を無理なく、気持ちよく進めるためには、進め方にも工夫が必要です。ここでは、60代のうちに意識しておきたい4つのポイントを紹介します。
始めやすいことから取り掛かる
最初は手をつけやすい断捨離や書類の整理など、負担が少ないことから始めましょう。身の回りの整理は、気持ちの整理にもつながります。
はじめから難しい内容に取り組もうとすると、気が重くなって手が止まってしまいます。無理のない範囲から進めていくことで、終活へのモチベーションも自然に高まります。
少しずつ進める
終活を一度に終わらせる必要はありません。1日1つの作業でも、積み重ねていけば着実に前に進みます。
一気に進めようとすると体力的にも精神的にも疲れてしまいます。ペースを崩さず、継続することを意識しましょう。
専門家や業者に相談・依頼する
相続や遺言、葬儀の準備など、自分では判断が難しい内容は専門家に相談することで安心して進められます。信頼できる業者や士業と連携しておくとスムーズです。
無料相談などを活用しながら、複数の選択肢を比べて検討することが大切です。いきなり契約せず、納得してから次のステップに進みましょう。
あんしん祭典でも、信頼できる専門家の紹介が可能です。相続や財産の整理など、専門家に相談したいことがある方は、下記ページをご覧ください。
専門家に相談したい方はこちら
老後や死後に備えた契約を検討する
見守りサービスや葬儀の生前契約、死後事務委任契約など、必要に応じた契約を検討しておくことで、安心して日々を過ごせます。
内容や費用、サービス提供の条件をよく確認し、自分に合ったものを選ぶことが大切です。将来の変化に柔軟に対応できるかどうかも確認しておきましょう。
| 契約・サービス名 | 概要 | おすすめの方 |
| 財産管理委任契約 | 財産管理を家族や便年などに委任する契約。預貯金の管理や税金の支払いなどを代行してもらえる | 判断能力の低下に備えたい方、入院などで長期間家を空ける方 |
| 任意後見契約 | 判断能力が低下した際、あらかじめ後見人を選んでおく契約。判断能力の低下後に効力を発揮する | 認知症への不安がある方 |
| 見守り契約 | 定期的に安否や生活状況を確認してもらえる。任意後見契約が有効になる前（判断能力がある内）に使える | 家族と離れて暮らしている方、独身の方 |
| 死後事務委任契約 | 亡くなった後の手続きを第三者に任せられる。葬儀の手配や行政手続きはもちろん、SNSへの死亡告知なども可能 | 身寄りのない方、家族に負担をかけたくない方 |
| 民事信託 | 財産を信頼できる相手に管理、処分してもらえる | 特定の目的のために財産を残したい方 |
| ペット関連の契約 | ペットの世話を判断能力の低下や死後に、別の人に続けてもらうための契約 | ペットを飼っている方、ペットの将来が不安な方 |
終活で検討したい契約・サービス
60代の終活でやってはいけないこと
終活では、物を整理したり手続きを進めたりする中で、つい勢いに任せてしまうこともあります。しかし、あとから後悔しないためにも、注意すべき点があります。ここでは、終活中に避けたい行動を紹介します。
無理に捨てない
「終活のために捨てなければ」と気負ってしまい、大切なものまで処分してしまうのは避けるべきです。判断に迷うものを無理に手放すと、あとから「取っておけばよかった」と後悔するかもしれません。
迷ったときは「保留ボックス」を用意し、一定期間置いてから再度見直すのが安心です。一度捨ててしまうと手元に戻せないため、焦らず時間をかけて判断しましょう。
貴重品や書類は基本的に捨てない
通帳や印鑑、保険証書、不動産関係の書類など、重要な物は終活の中で誤って処分しないよう気を付けましょう。捨ててしまうと、後の手続きが煩雑になったり、資産が見つけられなくなったりする恐れがあります。
どの書類が必要かわからない場合は、すぐに捨てずにまとめて保管しておきましょう。書類は量があってもそうかさばらないので、引き出しやファイルにとりあえずまとめておく、という対応でも良いでしょう。心配なときは専門家に相談するのもひとつの方法です。
60代の終活の心構え【夫婦編】
夫婦で過ごすこれからの時間をより良くするためにも、終活はふたりで協力しながら進めましょう。ここでは、夫婦で終活に取り組む際の心構えを紹介します。
夫婦で相談しながら進める
終活は一人で抱え込まず、夫婦で話し合いながら進めることが大切です。お互いの希望を共有することで、無理なく納得のいく形を見つけやすくなります。
意見の違いが出ることもありますが、早い段階で話し合っておくことで、いざというときに困らずに済みます。相手任せにせず、日常会話の中で少しずつ話題にするのがポイントです。
家族に相談したり手伝ってもらったりする
夫婦だけで完結させようとせず、子どもや身近な家族にも相談してみましょう。希望や方針を伝えておくことで、家族もいざというときに動きやすくなります。
家族にとっても自分たちの意向や、同準備を進めているのかが見えているほうが安心です。ただし、あくまで相談や共有の姿勢で、押しつけにならないよう配慮しましょう。
60代の終活の心構え【独身編】
身近に相談相手がいないからこそ、独身の終活は丁寧に進めたいものです。ここでは、自分らしい老後と最期を迎えるために意識しておきたい心構えを紹介します。
法定相続人を把握する
自分に万一のことがあったときに、誰が財産を受け取ることになるのかを確認しましょう。兄弟姉妹や甥・姪など、思わぬ人が相続人になる場合もあります。
相続人を把握せずにいると、財産の分配が自分の意志と異なる形になることがあります。希望がある場合は遺言書などで明確に残す必要があります。
財産管理は専門家に任せる
通帳や不動産、証券口座などの管理は、信頼できる専門家に任せるのも良いでしょう。信託や成年後見制度などの活用も選択肢のひとつです。
万が一、判断能力が低下したときに備えておくことで、トラブルや不正のリスクを減らせます。契約前には制度の仕組みや手数料について十分に確認しておきましょう。
60代は終活のベストタイミング
終活は「いつから始めなければならない」と決まっているものではありません。しかし、早めに取りかかることで、心にも時間にもゆとりを持って準備を進められます。元気なうちに始める終活には、多くのメリットがあるのです。
そうした意味でも、60代は終活を始めるのに最適なタイミングです。時間的な余裕があり、気力や体力もある今だからこそ、自分のこれからに向き合いやすくなります。「まだ早いかな」と思っている方こそ、この機会に少しずつ動き始めてみてはいかがでしょうか。
「何から手を付けたら良いかわからない」「専門家に相談しながら、確実に進めていきたい」という方は、あんしん祭典の終活サポートサービスをご活用ください。LINEで友だち登録するだけで、無料で終活の相談ができます。
