エンディングノートとは、自分の希望や、資産情報などの大切な情報をまとめるノートです。本記事ではエンディングノートを書くメリットや書き方、選び方がわかります。終活を考え始めた方や家族に備えを残したい方におすすめの記事です。
エンディングノートとは、人生の終わりに向けて、自分の希望や大切な情報をまとめておくためのノートです。万が一のときに備えて、家族や身近な人が迷わず対応できるようにする目的があります。
しかし、エンディングノートには資産情報や契約サービスの一覧などをまとめる必要があり、いざ書き始めてみると大変です。「何から書けばいいのかわからない」「そもそも必要なの?」と感じている方もいるかもしれません。
本記事では、エンディングノートの基本的な役割から、書くメリット、選び方や書き方のコツまでを解説します。終活を意識しはじめた方や、大切な人のために備えておきたい方は、ぜひお読みください。
エンディングノート(終活ノート)とは
エンディングノートとは、自分のこれからと最期について考え、大切なことをまとめておくノートのことです。医療や介護の希望、資産の情報、葬儀についての考え、大切な人へのメッセージなど、さまざまなことを書き残します。
ノートに書き出しておくことで、自分自身の気持ちも整理しやすくなり、家族や身近な人の負担も軽くなります。自分の意思が明確になっていれば、いざというときに周囲が迷わず動けるからです。
人生100年時代といわれる今、体が元気なうちに自分の考えをまとめておこうという人が増えています。突然の入院や認知症などで判断が難しくなる前に、少しずつでも書き始めておくと安心です。
遺言書との違い
遺言書は、主に自分の財産を誰にどのように渡すかを決めるための書類です。定められた形式に則って書かれ、条件を満たせば法的な効力を持ちます。
それに対してエンディングノートには、法的な効力はありません。ただし、医療や介護に関する希望、家族への思いなど、遺言書では伝えきれないことを自由に書けるという良さがあります。形式に縛られず、自分の言葉で気持ちを残せるのが大きな違いです。
エンディングノートを書くメリット
エンディングノートには、自分の気持ちや大切な情報を整理するだけでなく、人生を前向きに見つめ直す効果があります。書く過程で自分の考えや希望が明確になり、身の回りの整理にもつながります。
また、自分にもしものことがあったとき、家族が戸惑わずに対応できるよう備えることもできます。将来の安心感を得るために、エンディングノートは大きな助けになります。
自分の希望や生き方を見つめ直せる
エンディングノートを書くと、自分がどのような最期を迎えたいか、誰に何を伝えたいかといった「人生の終わり」を考える機会が生まれます。その過程で、これまでの経験や大切にしてきた価値観と向き合うことになり、自分が本当に望む生き方に気づくことができます。
自分の意思や希望が明確になると、これからの生活にも迷いが少なくなります。日々の選択に自信を持てるようになり、今後の人生をより充実したものにしていくきっかけになるでしょう。
保有資産を把握でき、整理しやすくなる
資産情報をノートに書き出すことで、自分がどのような財産を持っているかを整理できます。口座や保険、株式、不動産、借入などを整理することで、全体像が把握しやすくなります。
保有資産を早めに整理しておけば、相続時に家族が混乱せずに済むでしょう。情報が整っていれば手続きもスムーズになり、無用なトラブルや不安を防げます。自分自身にとっても、老後の生活設計が立てやすくなるメリットがあります。
家族の負担を軽くできる
エンディングノートには、自分の医療や介護、葬儀の希望なども記せます。エンディングノートを通して明確に意思表示しておくことで、家族は「どうすればよいのか」と悩まずに済みます。
家族にとって特に負担となるのは、決断の迷いです。ノートに希望が記されていれば、遺された人が自分を責めることなく行動できます。結果として、家族間のトラブルも起こりにくくなり、後悔も減るでしょう。
大切な人に素直なメッセージを残せる
エンディングノートには、形式にとらわれず自由な言葉を残せます。日頃は照れくさくて伝えられない感謝やねぎらい、謝意などを、自分の言葉で丁寧に綴ってみてはいかがでしょうか。
こうしたメッセージは、遺された人にとって大きな心の支えになります。悲しみのなかでも前を向く力となり、後悔のない別れにつながります。思いを伝えることで、自分自身も安心して人生の最終章を迎えられるでしょう。
死への不安が軽くなる
エンディングノートを書くことは、自分の死や判断力の衰えといった現実と正面から向き合うことでもあります。最初は不安や抵抗があっても、考えを整理し、形にするうちに少しずつ心が落ち着いていくでしょう。
また、ノートに自分の意思を残しておくことで、死後のことで家族が争ったり混乱したりする不安も減ります。「自分の人生は自分で決められる」という安心感が得られ、今を穏やかに生きる力にもなっていきます。
エンディングノートにはどんなノートがおすすめ?
エンディングノートは、決まった形式でなければいけないということはありません。自分に合った書きやすいノートやツールを選ぶことが、無理なく続けるためのポイントです。
キャンパスノート
市販のノートを使えば、自由な形式でエンディングノートを作成できます。思いついたことを順不同で気軽に書き始められるのが特徴です。
自分のペースで自由に記入できる点がメリットですが、情報が整理されにくく、内容が抜けやすいという面もあります。
自分の思考を言葉にすることが得意な方や、自由に書きたいタイプの方に向いています。
市販のエンディングノート
文具店や書店などで購入できるエンディングノートには、記入項目があらかじめ用意されています。ガイドに沿って書き進められるため、はじめての方でも取り組みやすくなっています。
必要な情報をもれなく書ける点がメリットですが、項目が多く、気が重くなると感じる人もいるかもしれません。
内容をきちんと整理して残しておきたい方や、何から書けばよいか迷ってしまう方に適しています。
行政が配布しているフォーマット
自治体によっては、無料でエンディングノートの様式を配布しているところもあります。必要事項が一通りまとまっており、手軽に利用できる点が特徴です。
コストをかけずに基本的な情報を整理できるのが利点ですが、内容が簡素な場合や、項目が少ないと感じることもあります。
まずは試しに書いてみたい方や、必要最低限の情報を手早くまとめておきたい方に向いています。
WordやExcel
パソコンを使ってエンディングノートを作る場合、WordやExcelで自由にレイアウトを整えながら作成できます。書き直しや修正もしやすく、保存や共有も簡単です。
編集や更新がしやすいのがメリットですが、パソコン操作に不慣れな場合は扱いづらく感じることもあります。
パソコンに慣れていて、定期的に内容を見直したい方、デジタルで管理したい方におすすめです。
エンディングノートに書くこと
エンディングノートには、万が一のときに備えて必要な情報を記しておきます。内容が整理されていれば、家族や周囲の人が迷わず対応できるでしょう。
個人情報
エンディングノートの冒頭には、自分の基本的な情報を記入します。以下の内容をまとめておくとよいでしょう。
- 氏名(ふりがな付き)
- 生年月日
- 現住所
- 本籍地
- 血液型
- 宗教・宗派
- マイナンバー
- 緊急連絡先やかかりつけ医の情報
これらの情報があれば、行政手続きや葬儀の準備などをスムーズに進められます。家族が迷わず動けるため、負担を軽くできます。
資産情報
自分が所有している財産について、できる限り正確に記録しておきます。主に以下のような内容が該当します。
- 銀行口座の情報(銀行名・支店名・口座番号など)
- 株式・投資信託・債券などの金融資産
- 不動産の所在地や登記情報
- 現金や貴金属などの資産
- 借入金やローンの有無
資産の全体像を記録しておくことで、相続手続きがスムーズに進みます。漏れや誤解を防げるため、家族間のトラブルも回避しやすくなります。
また、自分にはどのような資産があり、それを現金化したらいくらくらいになるのかも把握できます。生前に資産を整理し、老後資金を調達するためにも、資産情報の整理は役立ちます。
保険情報
加入している保険の種類や内容をまとめて記入します。たとえば以下のような項目です。
- 生命保険、医療保険、がん保険などの保険会社名と契約内容
- 保険証券の保管場所
- 保険金の受取人名
保険情報がはっきりしていれば、請求漏れや手続きの遅れを防げます。
親族・血族の情報
親族関係を整理し、家族構成がわかるようにしておきます。記載する内容の例は以下の通りです。
- 両親、配偶者、子ども、孫、兄弟姉妹などの氏名・続柄・連絡先
- 亡くなっている親族の情報(没年など)
相続手続きや葬儀の案内、戸籍の確認などに役立ちます。親族関係が明確であれば、無用な混乱を避けやすくなります。
親族の範囲や親等の数え方は、こちらの記事で解説しています。
葬儀やお墓の希望
自分の葬儀についての考えを記録しておくと、残された人が判断しやすくなります。
- 葬儀の形式(家族葬、一般葬、無宗教など)
- 呼んでほしい人、呼ばなくてよい人のリスト
- 埋葬方法やお墓の希望(一般墓、樹木葬、納骨堂など)
希望が明確になっていれば、家族の負担が軽くなり、トラブルの防止にもつながります。自分らしい最期を迎える準備にもなります。
医療や介護の希望
治療や介護について、どのような対応を望むかをあらかじめ記しておきます。
- 延命治療に対する考え
- 入院・在宅介護などの希望
- 認知症や重病時の意思表示について
判断力が低下したときでも、自分の意思が伝わるようになります。家族にとっても、後悔のない選択がしやすくなります。
ペットの情報と希望
ペットを飼っている場合は、その世話や引き取り先についても記入しておきましょう。
- 種類・名前・年齢・性格・病歴などの基本情報
- 飼育上の注意点や日々の習慣
- 引き取りを希望する人や施設
万が一の際にもペットが安心して暮らせるように準備しておくことは、飼い主の責任でもあります。
各種書類の保管場所
重要な書類の保管場所をまとめて記録しておきます。
- 通帳、保険証券、権利書などの書類の場所
- 鍵や印鑑の保管場所
家族が書類を探し回る手間を減らせます。スムーズに手続きを進めるためにも、具体的に記すことが大切です。
契約サービスの一覧
自分が契約しているサービスを一覧でまとめておきます。
- 電気・ガス・水道などの公共料金
- 携帯電話、インターネット、サブスクサービスなど
- クレジットカード、ネットバンクなどの情報
未払いの請求や不要な契約を放置しないためにも、一覧化しておくことが重要です。家族が解約手続きをしやすくなります。
デジタル遺品の情報
パソコンやスマホに残されたデータ、各種アカウントの情報などを整理しておきます。
- SNS、メール、クラウドサービスのIDとパスワード
- ネットバンキング、仮想通貨などのアカウント
- 写真や文章などのデジタルデータの取り扱い希望
デジタル遺品は見落とされがちですが、今や重要な財産の一部です。適切に処理してもらうためにも、わかりやすくまとめておくことが大切です。
デジタル遺品とは何か、どのように整理すればいいのか、詳しくはこちらの記事で解説しています。
エンディングノートを書くコツ
エンディングノートは一度に完璧に仕上げる必要はありません。気負わず、少しずつ取り組むことで、続けやすくなります。書く際のちょっとした工夫で、内容も伝わりやすくなるでしょう。
読みやすい字で書く
エンディングノートを書くときは、ていねいで読みやすい字を意識しましょう。クセの強い字や略字は避け、誰が読んでもわかるように書くことが大切です。
読みやすさを意識することで、内容の誤解や読み違いを防ぎ、家族が安心してノートを活用できるようになります。
最初からきれいに書こうとしない
一度で完成させようとせず、まずは思いつくことからメモ感覚で書いてみましょう。あとから見直して修正する前提で進めると、気楽に書き始められます。
完璧を求めすぎると、書く手が途中で止まってしまいます。
書きやすいことから書き始める
全体を順番通りに書く必要はありません。気になっていること、書きやすい情報から自由に始めるのがおすすめです。
書きやすい部分から手をつけることで、気持ちのハードルが下がります。少しずつ書き進めるうちに、自然と他の項目にも手が伸びていきます。
家族や親族と相談しながら書く
エンディングノートは一人で書くのではなく、家族や身近な人と相談しながら進めるのも大切です。医療や介護、葬儀の希望などは特に話し合っておくと安心です。
相談しながら書くことで、家族との認識のズレを防げます。自分の考えを理解してもらいやすくなり、万が一のときの不安も軽くなります。
エンディングノートを書いて、今後の人生を見つめ直そう
エンディングノートには、保有資産や契約しているサービス、重要書類の保管場所など、多くの情報を整理して書き残す必要があります。すべてを一度に書こうとすると負担が大きいです。完璧を目指すより、まずは思いついたことをメモ程度にまとめていきましょう。
エンディングノートは、自分の意思や情報を整理するだけでなく、家族への思いやりとしても大きな意味を持ちます。今後の人生を安心して過ごすためにも、できることから少しずつ取り組んでみてください。自分一人で進めるのが難しいと感じた場合は、ファイナンシャルプランナーや終活支援サービスなど、専門家の力を借りるのもひとつの方法です。
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