お通夜や告別式を省略して火葬のみを行う直葬(火葬式)。近年、遺族の負担を減らせる観点から直葬は増加しています。直葬の費用相場や内訳、オプション追加の注意点、費用を抑えるためのポイントを解説します。
近年、「シンプルに故人を見送りたい」「葬儀費用をできるだけ抑えたい」などの理由から、お通夜や告別式をせずに火葬のみを行う直葬を選ぶご家族が増えています。しかし、費用を安く抑えられる反面、「何にいくらかかるか」「どこまでがプランに含まれているか」「追加でどのような費用が発生するか」を確認せずに進めると、思っているよりも費用がかさんでしまうことも。
本記事では、直葬の費用相場を具体的な内訳や費用を抑えるポイントなどと合わせてわかりやすく解説します。
直葬とは
直葬とは、お通夜や告別式などの儀式をせず、法律で定められた安置期間(24時間)を経た後、火葬のみで見送る葬儀形式です。一般的な葬儀と比べて準備が少なく、費用を大幅に抑えられる点が大きな特徴です。近年では火葬式と表現されることもあり、都市部を中心に選択する人が急増しています。
お通夜や告別式がないため時間的な拘束がなく、遺族や参列者の負担が小さいことから、「身内だけで静かに送りたい」「最低限の形で見送りたい」といった希望に合致する形式として定着しつつあります。
直葬が選ばれる4つの理由
直葬が急増している背景には、社会・経済・価値観の変化が複合的に影響しています。
1.葬儀に対する価値観の変化
近年、「形にこだわらずシンプルに見送りたい」「残された家族に負担をかけたくない」といった考え方が広まり、儀礼よりも気持ちを重視するシンプル葬が主流になりつつあります。
2. 経済的負担の軽減
葬儀費用の全国平均は100万〜150万円前後と言われ、その負担の大きさから、「最低限の費用で見送りたい」というニーズが高まっています。直葬であれば20万円前後で行える地域も多く、経済的メリットが大きい点が選ばれる理由のひとつです。
3. 核家族化・高齢化による参列者の減少
地方から都市部へ移住する人が増え、地元の親族が近くにいない、参列者を集めにくいなどの状況が増えました。このため、大人数を集める葬儀よりも身内だけの直葬が適しているケースが多くなっています。
4. コロナ禍による葬儀の簡素化
感染対策として葬儀が縮小されたことをきっかけに、「シンプルな形でも問題ない」と考える人が増え、直葬という選択が広く受け入れられるようになりました。
直葬の費用相場
直葬は葬儀の中で最も費用を抑えやすい形式と言われます。おおよその相場は10万〜30万円台で、地域やプラン内容、特に火葬場が民営である場合などは、40万円を超えるケースもあります。
お通夜や告別式をしない分格安になると思われがちですが、火葬に必要な最低限の費用や追加料金などにより総額が変動します。そのため、正しい相場を把握しておきましょう。
直葬の費用相場は地域差も大きく、都市部では火葬料自体が高額なため、同じプランでも地方よりも費用が高くなる傾向があります。特に東京・神奈川は火葬場の混雑や使用料の影響で、直葬でも25〜40万円台が一般的といわれています。その一方で、東北や九州など公営火葬場が多い地域では10万円台で収まるケースも多数あります。
直葬にかかる費用の内訳
直葬は一般的に費用が抑えられる印象があります。しかし、実際には複数の要素が積み重なって総額が決まります。あらかじめ内訳を理解しておくことで、予算オーバーを回避しやすくなり、後悔のない選択に繋がります。直葬で必ず発生する費用や状況によって追加されやすい費用を、できるだけ具体的にお伝えします。
1. 火葬料・火葬場使用料
直葬で最も基本となる費用が火葬料です。地域差が非常に大きく、数千円〜10万円以上と幅があります。特に東京・神奈川など都市部は民営が中心のため、直葬でも火葬料だけで高額になるケースがあります。
公営火葬場の場合
自治体が運営しているため比較的安く、3,000円〜2万円台が目安です。
民営火葬場の場合
設備が充実している分、5万円〜10万円前後かかることも珍しくありません。
葬儀社の直葬プランの料金には、火葬料が含まれていないことが一般的です。そのため、見積書で必ず確認が必要です。
2. 搬送・安置費用
直葬では、故人の搬送と安置が必須です。これらが最も追加費用の発生しやすいポイントになります。
寝台車(搬送車)は、病院から安置施設、安置施設から火葬場などの移動に必要です。料金の相場は回数や距離などによって算出されます。プランにより算出方法が異なるので、事前に確認しておきましょう。一般的なプランは次の通りです。
- 1回につき1万5,000円〜3万円前後
- 10km〜20kmまで基本料金、それ以上は追加
- 深夜・早朝(22:00〜5:00)は割増料金
搬送回数が多いほど費用も増えるため、プランに何回分含まれているか確認が必要です。
安置料は、安置室の種類によって価格が異なります。
自治体の安置室:5,000円〜8,000円/日
民間・冷蔵安置室:1万〜1万5,000円/日
付き添い可能な安置室:2万〜3万円/日
火葬場の混雑などで数日待つ場合、安置料が最も総額に影響する要因となります。
3. 棺・骨壺・納棺代などの物品費用
直葬とはいえ、必要な物品が複数あります。基本的に、最初の見積もりは最もシンプルなプランとなります。「少し良いものを」とグレードアップすると1〜3万円の追加が発生しがちです。しっかりと予算を決めたうえで希望を叶えていきましょう。
棺は物品費用の中でもっとも費用差が出ます。
最低ランク(布張り・白木):2万〜3万円
一般ランク(桐・布張り上質):3万〜7万円
高級ランク(彫刻・布地高級仕様):10万円以上
骨壺もグレードにより費用が大きく異なります。
白無地:5,000円〜1万円
デザイン壺:1万〜3万円
高級仕様:3万〜5万円
4. 式場・宗教者・返礼品・飲食などの費用
直葬は儀式しない形式であるものの、希望によっては追加される費用もあります。
僧侶に読経や戒名してもらう場合は、以下のような費用が発生します。
お布施:3万〜5万円程度
戒名授与:5万〜20万円以上
直葬は参列者が少人数のため、返礼品や会葬礼状は不要とされます。しかし、用意する場合は親族用の返礼品(1,000〜2,000円)や最後の挨拶用の礼状を準備するケースもあります。
会食をする場合には、1名あたり3,000〜6,000円ほど追加になることがあります。
直葬費用を抑えるための3つのポイント
直葬は葬儀形式の中でも比較的費用を抑えやすいものの、実際には「思ったより高くなった」という声も多くあります。費用を適切に管理し、想定外の出費を避けるために、あらかじめ注意すべき点を押さえておきましょう。ここでは、直葬の総額を最小限にするためのポイントを解説します。
1. 複数社から見積もりをもらう
直葬にかかる費用は葬儀社によって大きく異なります。そのため、必ず複数社から見積もりを取ることが重要です。
同じ「直葬プラン」と書かれていても、搬送回数、安置日数、ドライアイス追加、火葬料の有無などの含まれている項目が異なり、総額10万円以上の差が生まれるケースがあります。
見積書は一式○万円ではなく、項目別の明細をもらいましょう。
2. 見積もりに含まれる項目を確認する
直葬で最もトラブルになりやすいのが、「この料金に何が含まれているか」を正確に把握しないまま依頼してしまうことです。特に確認すべきは以下です。
- 火葬場使用料が含まれているか
- 安置料の日数(1日目のみの場合)
- 搬送距離(何kmまで無料か)
- 深夜・早朝の割増料金の有無
- ドライアイスは何回分か
- 棺・骨壺のグレード
追加が発生しやすい項目を事前に理解しておくことで、提示金額と実際の支払額の差を抑えられます。
3. 公営火葬場を利用する
直葬費用を抑える最大のポイントは、公営火葬場を利用することです。
公営火葬場の使用料は3,000円〜2万円台と非常に安価であり、民営火葬場に比べて5〜10万円以上節約できるケースもあります。
ただし、利用条件や予約の混雑などがあるため、葬儀社と相談して早めに手配しましょう。
直葬費用は内容の理解が大切
直葬は、お通夜や告別式をせず火葬のみで見送るシンプルな葬儀形式です。総額を抑えたいご家族にとって大きな選択肢となっています。費用相場は10万〜30万円前後が中心で、他の葬儀形式に比べて負担が少ない点が魅力です。
しかし実際には価格が大きく変動し、安いと思って選んだプランでも追加費用が発生するケースがあります。そのため、プランに何が含まれていて、何が含まれていないのかを細かく確認し、複数社で見積もりを比較することがとても重要です。
大切な方をどう見送るかは、ご家族にとって一度きりの大切な決断です。費用の安さだけで選ばず、故人の想い・家族の希望・必要な工程を丁寧に整理しながら最適な葬儀の形を選び、後悔のない見送りにつなげましょう。
直葬について「費用がどれくらいになるのか」「どこまでシンプルにできるのか」「追加費用は必要なのか」など、不安な点は誰にでもあります。そんな時は、葬儀のプロが在籍するあんしん祭典へ相談するのがおすすめです。「費用はできるだけ抑えたい。でも、故人らしい見送り方も大切にしたい」そんなご家族の想いに寄り添ってくれるので、一度相談してみると具体的なイメージが掴めるでしょう。


