法事にお供え物は必要でしょうか?持参するべきお供え物の相場や選び方、渡し方のマナーまでを詳しく解説します。失礼にならないためのポイントもお伝えします。
法事に招かれた際、「お供え物は必要?」「何を選べば失礼にならない?」と悩んだ経験がある方は少なくないはず。お供え物が必要かどうかや、選ぶべきものは宗派や地域によって異なることもあります。しかし、基本的なマナーを押さえておけば大きく間違ってしまうことはないでしょう。
この記事では、法事のお供え物の相場、選び方、のし紙の書き方、渡し方までわかりやすく解説します。失礼のない形でご遺族に気持ちを伝えられるよう、正しい知識を身につけましょう。
法事とは
法事とは、故人の冥福を祈るために行う仏教の供養儀式です。正式には僧侶による読経などの法要と、親族らの会食を含めた全体の行事を指します。初七日や四十九日、一周忌など節目ごとに営まれ、故人を偲ぶ大切な機会です。
法事はいつ行われる?
法事は、故人の冥福を祈り、供養の気持ちを表すために定期的に行われる儀式です。亡くなった日から数えて節目となる日に、遺族や親族が集まって行います。代表的な法事のタイミングは次の通りです。
初七日 | 亡くなった日から7日目に行う法事です。最近では葬儀と合わせて行われることも増えてきています。 |
四十九日 | 故人が成仏するとされる節目の日に行われる法事です。 |
一周忌 | 命日から1年後に行われる法事です。 |
三回忌・七回忌・十三回忌・・・ | 命日を起点とした年忌法事です。 |
法事のタイミングや回数は仏教の宗派や地域によって多少異なります。最近では参列者の負担や予定を考慮して、複数の法事を一度に行う繰り上げ法要や合同法要も増えてきています。
法事には誰が参列する?
基本的に、法事には喪主を中心とした遺族や親族、故人と縁の深かった知人や友人などが招かれます。参加者の範囲は法事の規模によって異なり、初七日や四十九日などは親族中心、一周忌や三回忌までは親しい知人を含めるケースが一般的です。
法事はどこで行われる?
法事の会場は主に次のような場所が選ばれます。
- 自宅
- 斎場の法要室・会館
- 納骨堂・霊園の会場
参列者数やアクセスの利便性、供養の形式などに応じて場所や形式を選べます。
法事のお供え物は必要?
法事においては、お香典に加えてお供え物を持参するのが一般的なマナーとされています。お香典は金銭を包むことで弔意を示すものです。それに対して、お供え物は故人への供養の品を贈るためのものです。お香典とお供え物の両方を用意することで、より丁寧で誠意ある対応となります。
特に親族や故人と近しい関係にあった場合、お香典のみではやや素っ気ない印象を与えるケースもあります。お供え物にはお菓子や果物など、消えものを中心に選ばれることが多く、3,000〜5,000円程度が相場です。
ただし、最近では親族側から「香典・供物のご辞退」を伝えるケースもあります。そのため、案内状の記載を事前によく確認しましょう。
遺族との関係性や宗派によって対応が異なる
お供え物を用意するかどうかは、遺族との関係性や宗教的背景によっても変わります。
親戚や仕事関係など、ある程度形式を重んじる場では、お供え物を持参するほうが無難です。その一方で、親しい友人との集まりやカジュアルな家族の法要などでは、香典のみで問題ない場合もあります。
また、仏教の宗派によっては、お供え物に適した品が異なることもあります。宗派をあらかじめ確認しておくと、より失礼のない対応ができます。
会食がある場合はお供え物を持参したほうが良い
法事のあとに会食が用意されている場合は、おもてなしを受ける側として何も持参しないのは避けた方が良いでしょう。たとえ香典を包んでいたとしても、お供え物を添えることで、遺族への感謝と敬意を表せます。
会食の準備には費用や手間がかかるため、参列の負担を軽減しつつ誠意を示す姿勢が大切です。お供え物を渡すことで、会食のもてなしに対する返礼の意味合いも含まれます。どうしても都合がつかない場合や、遠方からの参列で荷物が増えてしまう場合には、事前に配送手配をしておくのも1つの方法です。事前にその旨を伝えたり、どこに配送すべきかを確認したりしておきましょう。
法事のお供え物の相場
法事のお供え物を選ぶ際、「いくらくらいの品を用意すれば良いのか」と悩む方は多いでしょう。高すぎると遺族に気を遣わせてしまい、安すぎると失礼にならないか心配です。関係性の相場感や選び方のポイントを整理しておきましょう。
一般的なお供え物の金額目安
一般的に、法事のお供え物の相場は3,000円〜5,000円前後です。
・親族の場合 :5,000円前後
・友人・知人・近所の場合 :3,000円程度
特に気をつけたいのは、香典とお供え物のバランスです。たとえば香典に1万円を包む場合、お供え物は3,000円前後にとどめるのが一般的です。逆に香典が少額な場合、お供え物の価格が目立ちすぎないように注意が必要です。
高価すぎるお供え物は避ける
お供え物はあくまで故人への供養の品です。そのため、高価すぎるものや目立つ品は避けたほうが無難です。相場を大きく超える1万円以上の品を持参すると、受け取る側に過剰な気遣いをさせてしまいます。
また、法事には複数の参列者が集まります。自分だけ極端に高価なものを用意してしまうと、場の空気を乱す原因にもなりかねません。感謝や敬意の気持ちを込めることは大切ですが、控えめで上品な品選びと金額設定がマナーある対応といえるでしょう
法事におすすめのお供え物5選
お供え物にはさまざまな種類がありますが、法事の場で喜ばれやすい品をジャンル別に紹介します。
1. 小分けで配りやすい焼き菓子・羊羹など
参列者に配りやすい小分け包装の焼き菓子や羊羹は、法事のお供え物として定番です。日持ちもよく、後から皆で楽しめるため好まれます。
2. 日持ちする果物・缶詰セット
りんごやみかんなど季節の果物や缶詰の詰め合わせも人気です。鮮度を保ちやすく、保存期間が長いものが好まれます。
3. 線香・ろうそくなど仏具系
仏事に欠かせない線香やろうそくも、実用的で喜ばれるお供え物です。品質の良いものを選び、きれいな包装を心掛けましょう。
4. 季節の花(白・紫系)
白や紫の落ち着いた色合いの花は、どの宗派でも無難な選択です。生花の場合は枯れにくい品種を選びましょう。鉢植えもおすすめです。
5. 故人が好きだった飲み物やお酒(要配慮)
故人の好みに合わせてお酒やお茶を選ぶこともあります。ただし、遺族の考えを尊重することが大切です。好ましくない場合もあるため、事前に確認するのが望ましいでしょう。
法事で避けた方がいいお供え物3選
法事のお供え物には、避けた方がよい品もあります。故人や遺族への配慮を欠かさず、次のようなものは控えましょう。
殺生を連想するもの
仏教では生き物の命を尊ぶため、肉類や魚介類は不適切とされています。故人の好みに合わせて贈りたい場合は、事前に親族への確認を済ませておきましょう。
香りの強い食品
強い香りは嫌悪感を与えやすく、場の雰囲気を損ねる場合があります。法事にはさまざまな関係者が足を運びます。周りへの配慮があるものを選びましょう。
現金・商品券など
現金や商品券のような、あまりにも直接的なものは香典と混同される恐れがあります。法事のお供え物としては不適切であるため、避けましょう。
お供え物にかけるのし紙のマナー
法事のお供え物には、のし紙をかけるのが基本マナーです。のし紙には見た目の丁寧さだけでなく、故人への供養の気持ちを伝える意味も込められています。お供え物を準備する際に知っておきたいのし紙のマナーを4つお伝えします。
のし紙
お供え物にかけるのし紙は、包装紙の外側にかける“外のし”が一般的です。内のしの方が控えめな印象がありますが、弔意をしっかり伝えるのが目的のため、法事ではあえて見えるようにします。
水引
水引の種類にも注意が必要です。基本的にはほどけない結び切りのタイプを使いますが、時期によって色が変わる点に注意しましょう。
・四十九日まで :白黒または黒銀の水引
・四十九日以降の法要:双銀または黄白(地域差あり)
表書き
表書きは宗派や時期によって適切なものを選びましょう。間違えると失礼になることもあるため、必ず事前に確認しておきましょう。
表書き | 時期 | 宗派 |
御霊前 | 四十九日まで | 浄土宗、天台宗、真言宗など |
御仏前 | 四十九日以降 | 浄土真宗 |
御供、御香典 | 問わない | 問わない |
宗派がわからない場合や迷うときは、御供、御香典にしておくと無難です。
連名の書き方・名前の入れ方
お供え物に名前を入れる場合、個人ならフルネーム、連名なら3名までが目安です。それ以上になる場合は“〇〇一同”とまとめ、代表者の氏名を左下に小さく書くのが一般的です。会社や団体名で出す場合は、会社名の下に部署名・名前を添えると丁寧です。
お供え物の渡し方
品物を準備しても、渡し方を間違えると気まずい思いをしてしまうことも。
一般的に、持参したお供え物は受付時に渡します。会場に受付がない場合は、喪主や施主に挨拶するタイミングで手渡すと良いでしょう。お供え物は祭壇に飾ってもらうことが多いため、あまり遅いタイミングでは控えた方が無難です。このとき、袋や風呂敷から出して手渡しましょう。風呂敷や袋はあくまで運搬用です。どうしてもそのまま渡す必要がある場合は、「袋ごとどうぞ」と一言添えて渡すと丁寧です。
また、次のような簡単な言葉を添えると、より丁寧な印象になります。
「お供え物をお持ちしました。ご仏前にお供えください。」
「ささやかですが、お供えにさせていただければと思います。」
「故人を偲ぶ気持ちを込めて、お持ちしました。」
堅苦しくなりすぎる必要はありませんが、気持ちを込めたひと言が好印象につながります。
法事のお供え物はマナーを守って想いを贈りましょう
法事のお供え物には金額、品物の種類、渡し方など細かなマナーが求められます。しかし、最も大切なのは故人を偲ぶ気持ちを丁寧に伝えることです。
宗派や地域によって習慣の違いもあるため、不安な場合は事前に遺族に確認しておくと安心です。今回紹介した基本マナーを参考に、心のこもったお供え物を用意しましょう。