遺影とは、故人を偲ぶために飾る写真のことです。本記事では遺影の選び方や飾り方、処分方法までをわかりやすく解説します。遺影に使う写真で迷っている方や、初めて準備をする方におすすめです。

遺影とは、葬儀や法要の際に飾られる故人の写真のことです。故人の生前の姿を残し、手を合わせる対象として、葬儀後も大切に飾られます。

とはいえ、「どんな写真を使えばいいの？」「飾り方や処分の方法って決まっているの？」と、不安や迷いを感じている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、遺影にふさわしい写真の選び方や撮影方法、飾り方や処分方法まで、わかりやすく解説します。初めて遺影を準備する方や、写真選びで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

遺影とは

遺影とは、お通夜や葬儀、法事のときに飾られる、故人の写真のことです。葬儀が終わったあとも、仏壇の近くや家の中に置かれ、手を合わせるときのよりどころになります。

生前の姿を写真で残しておくことで、その人を思い出しやすくなったり、面と向かって言葉をかけているような気持ちになれたりする。そんな存在が遺影です。

遺影に使う写真や撮影のしかたには、これといった決まりはありません。どんな写真を選ぶかは、家族の気持ち次第です。フォーマルな写真である必要もなければ、無理に笑っている顔を選ばなければいけないわけでもありません。その人らしさが感じられる一枚であれば、どんな写真でも遺影になります。

遺影に適した写真

遺影に使う写真は、かしこまったものに限らず、見た人が「その人らしいな」と感じられるものが適しています。笑顔や自然な表情が写っていれば、それだけで十分です。特に決まりはないので、家族が心から「これがいい」と思える写真を選ぶのがいちばんです。

故人が気に入っていた写真

生前に本人が「この写真、気に入ってるんだ」と話していた写真があれば、それが遺影にぴったりです。お気に入りの服を着ていたり、良い表情をしていたりと、その人らしさが詰まっています。本人の気持ちを尊重した選び方は、家族にとっても納得感を与えてくるでしょう。

家族が気に入っている写真

家族が「この表情が好き」「このときの思い出がよみがえる」と感じる写真も、遺影にふさわしい一枚です。見るたびに温かい気持ちになれる写真は、心の支えになります。誰か一人の意見ではなく、家族で話し合って決めると、より納得のいく写真を選べます。

遺影の選び方

遺影に使う写真を選ぶときは、「その人らしさ」が伝わるかどうかが大切なポイントです。そのうえで、写真の写りや服装、背景など、いくつか気をつけたい点があります。

故人らしさ

遺影を見る人が「この人らしいな」と感じられる写真は、それだけで心に残ります。表情や雰囲気、服装などが自然で、その人らしさがにじみ出ているものを選ぶのが理想です。

その人らしさを感じる写真かどうかは、家族や親しい人が見てどう思うかが一つの判断材料になります。写真を見たときに、その人の声やしぐさが思い浮かぶかどうかを目安にしてみてください。

撮影時期

なるべく最近の写真を選ぶと、参列者にも違和感なく受け入れてもらえます。年齢に合った自然な姿が写っていることがポイントです。

選ぶときは、亡くなる数年前〜直近の写真かどうかを意識しましょう。古すぎる写真だと、実際の印象と差が出てしまいます。

ただし、闘病生活が長かった場合などは、元気だった頃の写真を選ぶのもいいでしょう。

画質やピント

遺影は引き伸ばして使うため、画質が良く、ピントが合っている写真が望ましいです。ぼやけていたり暗かったりすると、せっかくの表情が伝わりにくくなります。

スマートフォンの写真でも、元の画像サイズが大きく、明るくはっきり写っていれば問題ありません。拡大したときに粗さが目立たないか確認しておくと安心です。

服装

あまり派手すぎず、普段の姿に近い服装の方が、その人らしさが伝わりやすくなります。かしこまりすぎる必要はありません。

スーツや着物でなくても、清潔感があって、色合いが落ち着いているものが選ばれやすいです。お気に入りの服を着ている写真も良い選択肢になります。

目線

正面を向いていて、目線がカメラに向いている写真は、見る側に安心感を与えます。まっすぐな視線は、語りかけるような印象を与えてくれるでしょう。

ただし、横顔や少しうつむいた表情でも、その人らしさが出ていれば問題ありません。違和感がないかを確認しながら選んでみてください。

背景

背景がすっきりしていると、顔がはっきり見えて、遺影として使いやすくなります。ごちゃごちゃした背景や暗い雰囲気のものは避けた方が無難です。

人物がしっかり目立っているか、背景に余計なものが写っていないかをチェックしましょう。必要であれば、背景を加工して整えることもできます。

背景を加工する場合、白やグレー、ブルーなどの単色でまとめるのが一般的です。

遺影を撮影できる場所

遺影に使う写真は、すでにあるものを選ぶだけでなく、新たに撮影することもできます。プロに撮ってもらえば、明るく自然な表情をきれいな写真で残せるでしょう。

写真館

写真館では、プロのカメラマンが丁寧に撮影してくれます。ライティングや背景にもこだわってもらえるので、仕上がりがとてもきれいです。撮影中に表情のアドバイスを受けられることもあり、自然な笑顔を引き出してもらえるのが魅力です。

ただし、写真館によっては遺影撮影が得意でないこともあります。事前に目的を伝え、相談しましょう。また、服装や髪型の準備は自分でしなければならないため、撮影前に身だしなみをしっかり整えておきましょう。

葬儀社

最近では、葬儀社で生前の遺影撮影を受け付けているところも増えています。葬儀に関する知識があり、遺影にふさわしい写真を撮るポイントも心得ています。撮影から加工、フレーム選びまで一括でお願いできることも多いです。

ただし、すべての葬儀社が撮影に対応しているわけではないため、事前に確認しましょう。撮影スペースが限られていることもあるため、背景やライティングなどの仕上がりにこだわりたい場合は、サンプル写真を確認しておくと安心です。

遺影撮影サービス

遺影専門の撮影サービスでは、生前遺影や終活写真として、より自然な雰囲気で撮影できます。自宅や公園など、希望の場所に出張して撮影してくれるサービスもあり、リラックスした状態で写真を残せます。

一方で、出張費用がかかったり、地域によっては対応していなかったりすることも。日程調整や料金についてしっかり確認し、自分に合ったサービスを選びましょう。

遺影の探し方

遺影に使う写真は、あらかじめ用意されていないこともあります。その場合、手元にある写真の中から探すことになりますが、意外と身近なところで「これだ」と思える一枚が見つかることもあります。ここでは、遺影に使える写真を探す方法を紹介します。

アルバムから探す

アルバムには、自然な表情が写った写真がたくさん残っています。特に家族旅行や行事の写真は、笑顔やその人らしい表情が見つかりやすいです。

探すときは、できるだけ最近の写真に近いものから見ていきましょう。古い写真でも雰囲気が良ければ候補になりますが、画質が荒くないか、今と印象が違いすぎないか、注意が必要です。

家族や友人・知人のスマートフォンから探す

家族や親しい友人のスマートフォンの中には、日常の中で撮った自然な写真が残っていることがよくあります。集合写真の中の一部を切り出して使うことも可能です。

この場合、画質やピントがしっかりしているかを確認しましょう。また、必要に応じてトリミングや背景の加工を行うことで、よりきれいな遺影に仕上げられます。

故人のスマートフォンから探す

故人のスマートフォンには、自撮りや日常の写真など、その人らしさが詰まった写真が残っているかもしれません。本人が気に入って撮った写真が見つかる可能性もあります。

ただし、ロックがかかっていて中が見られないケースも多く、パスコードがわからないとアクセスできません。状況によっては、携帯会社や専門業者に相談する必要があります。見つからない場合は、他の手段で探す方向に切り替えることも大切です。

遺影の飾り方

遺影は、葬儀が終わったあとも家族のそばで大切に飾られるものです。どこに置くか、どんなフレームを使うかなど、迷うことも多いですが、明確な決まりがあるわけではありません。

家族が自然に手を合わせられるような、落ち着ける場所に飾るのが基本です。ここでは、遺影を飾るときに考えておきたいポイントを紹介します。

フレームの選び方

遺影のフレームは、写真の印象を大きく左右します。派手すぎない落ち着いた色や、木目調などの自然なデザインがよく選ばれています。インテリアになじみやすいフレームを選ぶと、日常生活の中でも違和感なく飾れるでしょう。

ガラス面が反射して見えにくい場合は、反射防止加工のあるフレームもおすすめです。また、長く飾ることを考えて、しっかりとした作りのものを選ぶと安心です。

遺影を飾る場所

遺影は仏壇の「中」や「上」に飾るのは避けましょう。仏壇の中は仏様の空間とされているためです。仏壇の上も、仏様を見下ろす形になってしまいます。仏壇の横や近くの棚、壁などに飾るのが良いでしょう。

他にも、家族が自然に手を合わせやすい場所や、毎日目にする場所がおすすめです。ただし、絶対的なルールではないので、家のつくりやスペースに合わせて、無理のない場所を選んでかまいません。

遺影を飾る期間

遺影を飾る期間に明確な決まりはありません。四十九日や一周忌などの節目までは飾るという人もいれば、何年もそのまま手を合わせ続ける家庭もあります。

気持ちの整理がつくまでは飾っておきたい、という方もいれば、仏壇に位牌だけを残して写真はしまうという選択をする方もいます。飾るかどうか、いつまで飾るかは家族の気持ちを大切にして決めるのがいちばんです。

遺影の処分方法

故人を偲ぶ大切な遺影ですが、時間の経過とともに「そろそろ整理したい」と感じることもあります。引っ越しや仏壇の片づけ、心の区切りがついたタイミングなど、処分を考える場面は人それぞれです。

ただ、写真とはいえ故人の顔が写っているものです。捨てることに抵抗がある方、捨てるにしても丁寧に扱いたいと考える方が多いのではないでしょうか。ここでは、遺影の主な処分方法を紹介します。

お焚き上げする

もっとも丁寧な方法として選ばれるのが「お焚き上げ」です。お寺や神社で、感謝の気持ちを込めて焼納してもらうことで、遺影を仏様や神様のもとにお返しできます。

お焚き上げを依頼する際は、直接持ち込むほか、郵送で受け付けている寺社もあります。事前に予約が必要なこともあるため、依頼先に確認してから申し込みましょう。写真だけでなく、フレームやガラスの取り外しが必要な場合もあるため、分別の準備もしておくとスムーズです。

なお、菩提寺があるなら菩提寺に、ないなら近くの寺社に依頼するのが一般的です。

家庭ごみとして処分する

宗教的なこだわりがない場合や、お焚き上げが難しい場合は、家庭ごみとして処分することも可能です。写真は紙製なので「可燃ごみ」に分類されることが多く、地域の分別ルールに沿って処分できます。

ただし、処分する前に半紙などで包んでから捨てたり、手を合わせてからゴミ袋に入れたりと、心の区切りをつける工夫をする方も多いです。そのひと手間が、気持ちの整理にもつながるかもしれません。

葬儀後に葬儀社に引き取ってもらう

葬儀をお願いした葬儀社によっては、不要になった遺影を引き取ってくれる場合もあります。写真の処分に困ったときは、一度相談してみると良いでしょう。お焚き上げに代わる対応をしてくれる場合もあります。

ただし、すべての葬儀社が対応しているわけではないため、葬儀の際や葬儀後のアフターサポート時に確認しておくと安心です。引き取り後の扱いについても、事前に聞いておくと気持ちよく任せられるでしょう。

遺影の選び方や飾り方にルールはない

遺影に使う写真や飾り方には、これといった決まりごとはありません。大切なのは、故人らしさが感じられ、家族が納得できるかどうかです。かしこまらず、心から「これがいい」と思える一枚を選び、自分たちらしい形で故人を見送りましょう。

あんしん祭典では見学会やイベントの一環として、遺影の無料撮影を行うこともあります。葬儀と撮影、両方の知識を持ったカメラマンが、ご本人さまらしさを大切に丁寧に撮影します。終活相談会を同時開催することも多いので、興味のある方はぜひご参加ください。

もちろん、葬儀後の遺影の引き取りも可能です。遺影の選び方や撮影に関する相談も受け付けておりますので、お困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。