縁起が悪いと思われがちですが、遺影撮影は人生の大切な節目。後悔しないための服装・メイク・表情・写真館の選び方を詳しく解説します。
遺影は葬儀や法要で故人を偲ぶための大切な写真です。近年では、生前に自分らしい遺影を撮影しておきたいと考える方も増えています。しかし、いざ準備しようとすると「どんな服装で撮ればいい?」「自然な表情を残すには?」など疑問が多いものです。
本記事では、遺影撮影を検討する方のために、準備の流れや写真館の選び方、撮影時のポイントをわかりやすく解説します。
遺影撮影とは
遺影とは、葬儀や法要などで祭壇に飾られる写真です。故人の姿を後世に残し、親族や友人がその人らしさを思い出すための大切な役割を担います。遺影は単なる写真ではなく、残された人々が故人を偲ぶ心の拠り所となる存在です。そのため、遺影には清潔感や穏やかさがあり、見る人が安心できる印象が求められます。
遺影はかつて、亡くなった後にアルバムやスナップ写真の中から選ばれることが一般的でした。しかし、ピントが合っていなかったり、表情が硬かったりと「これではしっくりこない」と悩む遺族も少なくありません。そうした背景から、近年ではあらかじめ遺影用として準備しておく方が増えてきています。
遺影が使われる場面
遺影は主に以下の場面で使用されます。
- 葬儀や告別式:祭壇に飾られ、参列者が故人を偲ぶ際に目にする最も大切な写真。
- 法要や法事:年忌法要や月命日など、節目ごとの供養で仏壇や会場に飾られる。
- 仏壇や家庭での供養:日常的に故人を思い出すため、リビングや仏間に飾られる。
つまり遺影は一度の葬儀だけでなく、その後も長く家族の生活に寄り添う存在です。だからこそ、納得のいく表情や姿を残すことが重要です。
生前撮影が増えている理由
最近では、生前に遺影を撮影する選択をする人が増えています。その理由は大きく3つあります。
1. 自分らしい姿を残したい
元気なうちに撮影することで、自然な笑顔や本来の人柄が伝わる写真を残せます。
2. 家族の負担を減らせる
葬儀の準備で忙しい遺族が写真探しに追われることを防ぎ、スムーズに葬儀を進められます。
3. 終活の一環としての需要
エンディングノートやお墓の準備と同じく、「自分の最期を自分で決めたい」という思いが広がり、生前撮影が注目されるようになりました。
このように、遺影は亡くなってから用意するものから、生きているうちに自分らしく準備するものへと変化してきています。
遺影撮影を行う4つのメリット
遺影を生前に撮影しておくのには、いくつかのメリットがあります。代表的なメリットを4つお伝えしていきます。
1. 自分らしい写真を残せる
生前に遺影を撮影する最大のメリットは、自分らしい姿を残せる点です。日常のスナップ写真や証明写真を遺影として使うと、表情が硬かったり、背景が不自然だったり、その人らしさが伝わらないケースも少なくありません。
プロのカメラマンに依頼することで、自然な笑顔や落ち着いた雰囲気を引き出してもらえます。そのため、故人を偲ぶ家族や友人に安心感を与える一枚を残せます。
2. 家族の負担を軽減できる
葬儀の準備は時間との戦いです。特に遺影の準備は、葬儀社から急ぎで「使用する写真を用意してください」と求められることが多く、遺族が慌ただしくアルバムを探し回る状況になりがちです。
生前に撮影しておけば、家族が焦って写真を選ぶ必要がなくなり、精神的にも大きく負担を減らせます。
3. 写真を選ぶ際のトラブルを避けられる
遺影を準備する際、家族の意見が割れることもよくあります。「この写真は笑顔がいい」「いや、こちらの方がフォーマルでふさわしい」といった議論が起き、遺族の間で小さな争いに発展することも。
本人が生前に「これを遺影にしてほしい」と準備しておけば、そのようなトラブルを避けられます。
4. 人生の節目を記念にできる
遺影撮影は単なる最期の写真ではなく、人生の節目を彩る記念写真としても活用できます。還暦、古希、喜寿、米寿など、長寿祝いのタイミングで撮影することで、記念写真として家族に喜ばれます。本人にとっても「元気で過ごせた」という実感を得られる良い機会になるでしょう。
遺影撮影をする際の4つのポイント
遺影撮影時、押さえておきたいポイントを4つ紹介します。
1. 服装選びのポイント
遺影において服装は印象を大きく左右します。基本的には清潔感があり、落ち着いた色合いの洋服が好まれます。男性はスーツやジャケット、女性はシンプルなブラウスやワンピースなどが一般的です。
ただし、必ずしもフォーマルである必要はなく、その人らしい普段着を選ぶのもひとつの方法です。派手すぎる柄や露出が多い服は避け、ナチュラルで品のあるスタイルを意識するとよいでしょう。
2. メイクと髪型
女性はナチュラルメイクを心がけると、柔らかく温かみのある表情に仕上がります。濃いメイクよりも、健康的で自然な印象が大切です。男性も眉や髪型を整えるだけで、きちんとした印象を与えられます。
また、髪型は整髪料を使いすぎず、普段通りの雰囲気を少し整える程度が好まれます。
3. 背景色や小物の選び方
スタジオ撮影の場合、背景色はブルーやグレーなど落ち着いた色が多く選ばれます。表情や服装が映える背景を選ぶことで、より自然でバランスの取れた写真になります。小物を持ち込む場合は、帽子や眼鏡など本人のイメージを象徴するものを検討するとよいでしょう。
ただし、過度な装飾は写真全体の調和を損ねる場合があるため注意が必要です。
4. 表情づくり
遺影撮影では、自然で穏やかな表情が大切です。カメラの前で緊張すると顔がこわばりがちですが、軽く口角を上げる程度の微笑みで十分に優しい雰囲気が伝わります。写真を見る家族や友人が「その人らしい」と感じられる表情を意識しましょう。
5. 姿勢やポーズ
猫背や不自然な体勢は、写真全体の印象を損ねてしまいます。背筋を伸ばし、肩の力を抜いて座ると上品で落ち着いた雰囲気になります。手の位置は膝の上や軽く組むなど、シンプルなポーズが無難です。スタジオによっては椅子や小物を使った自然なポーズも提案してくれるため、相談してみると良いでしょう。
6. カメラマンとのコミュニケーション
良い遺影を残すためには、カメラマンとのコミュニケーションも大切です。撮影前に「できるだけ自然に撮ってほしい」「少し明るい雰囲気で残したい」など、自分の希望をしっかり伝えましょう。経験豊富なカメラマンは会話をしながら緊張をほぐし、自然な表情を引き出してくれます。
遺影撮影のための写真館・スタジオの選び方
自分らしい遺影を遺すためには、写真館やスタジオ選びも重要です。どのような点に注意しながら選ぶべきか、4つのポイントをご紹介します。
遺影撮影に対応しているか
すべての写真館やスタジオが、遺影撮影を前提としたプランを用意しているわけではありません。七五三や成人式、家族写真が中心のスタジオも多いため、まずは公式サイトや問い合わせで遺影撮影に対応しているかを確認しましょう。遺影専用プランがあるスタジオなら、背景やレタッチ方法なども安心して任せられます。
実績や口コミのチェック方法
スタジオ選びで重要なのが実績と口コミです。公式サイトに掲載されている作例やお客さまの声をチェックし、自然な表情や落ち着いた雰囲気の写真が撮れているかを確認しましょう。
また、Googleマップや口コミサイトで評判を調べると、カメラマンの対応やアフターサービスの満足度も把握できます。
写真データの納品形態
遺影は葬儀や法要の場で使うだけでなく、その後も家族が手元に残します。そのため、プリントだけでなく データ納品が可能かどうかを確認しましょう。データがあれば、将来的にサイズ変更や焼き増しが必要になった際にも柔軟に対応できます。
また、アルバムやフォトフレームの有無も比較のポイントになります。
アフターサービス
遺影は一度準備すれば終わりではありません。法要や仏壇用にサイズを変更したり、焼き増ししたりするケースが多いため、アフターサービスが整っているスタジオを選ぶと安心です。特に、数年後でもデータを保管してくれるスタジオであれば、家族が困ったときにすぐ依頼できます。
遺影撮影を通じて自分らしさを未来に残そう
遺影は葬儀や法要の場面だけでなく、その後も家族の暮らしの中で長く目にされる大切な写真です。だからこそ「自然な表情で自分らしく残したい」と考え、生前に準備をする人が増えています。
服装や表情、撮影場所にこだわることで、見る人に安心感を与え、故人らしさをしっかりと伝える一枚を残せます。また、生前に遺影を撮影しておくことは、家族の負担を減らし、写真選びのトラブルを避けられるでしょう。
遺影撮影は縁起でもないものではなく、自分の生き方を映すものであり、未来の安心のための準備のひとつです。本記事を参考に、自分らしい遺影を残すための第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
あんしん祭典では見学会やイベントの一環として、遺影の無料撮影を行うこともあります。葬儀と撮影、両方の知識を持ったカメラマンが、ご本人さまらしさを大切に丁寧に撮影します。終活相談会を同時開催することも多いので、興味のある方はぜひご参加ください。


