慶弔とは、結婚や葬儀など人生の節目に関わる慶事・弔事の総称です。本記事では、慶弔休暇や見舞金、マナーの基本がわかります。社会人としての常識を身につけたい方におすすめです。
慶弔とは、結婚や出産、葬儀など、人生の節目に関わる「お祝いごと」と「お悔やみごと」の総称です。そうした場面では、職場での休暇や金銭のやり取り、服装や言葉遣いなど、社会人としてのマナーが求められます。
「慶弔休暇ってどんなときに取れるの？」「お祝い金や香典はいくらが妥当？」と、迷うことも多いのではないでしょうか。
本記事では、慶弔に関する基本的な知識から、休暇の申請方法、見舞金やマナーのポイントまで、わかりやすく解説します。慶弔の場にきちんと対応したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
慶弔（けいちょう）とは
慶弔（けいちょう）とは、結婚や出産などのお祝い事（慶事）と、葬儀や法事といったお悔やみ事（弔事）をあわせた言葉です。
慶事には結婚式や出産祝い、成人式など、人生の節目となるお祝いごとがあります。弔事は主に、葬儀、通夜、法要など、故人を偲び悼む儀式のことです。
こうした慶弔の行事に参加する際はもちろん、会社を休む場合も、社会人としてマナーを守ることが大切です。
慶弔休暇とは
慶弔休暇とは、結婚式やお通夜・葬儀など、慶事や弔事を理由に仕事を休める制度のことです。家族や親族の行事に参加するための時間を確保できる仕組みとして、多くの企業が取り入れています。
ただし、慶弔休暇は法律で定められたものではありません。企業が独自に設けている福利厚生の一環であるため、慶弔休暇がない会社もあります。慶弔休暇が有給か無給かも、会社によって異なります。
慶弔休暇の日数の目安
慶弔休暇の日数は会社により異なりますが、おおまかな目安は次のとおりです。
| 休暇の理由 | 日数の目安 |
| 結婚（本人） | 5日ほど |
| 結婚（子ども・兄弟姉妹） | 1〜2日 |
| 出産（配偶者の出産） | 2～3日 |
| 死亡（配偶者） | 10日 |
| 死亡（子ども・父母） | 3～7日 |
| 死亡（祖父母・兄弟姉妹） | 1〜3日 |
| 死亡（配偶者の父母） | 1〜3日 |
慶弔休暇の目安日数
慶弔見舞金とは
慶弔見舞金とは、結婚や出産、親族の不幸などがあった従業員に対して、会社から支払われるお金のことです。お祝いの気持ちやお悔やみの気持ちを会社として表すための制度のひとつです。
この見舞金も、慶弔休暇と同じく法律で義務づけられているものではありません。企業が任意で取り入れている福利厚生のひとつであり、支給の有無や金額の基準は会社によってさまざまです。
また、慶弔見舞金は会社の経費として計上できます。ちなみに、勘定科目は福利厚生費です。取引先への見舞金として使う場合は、接待交際費となります。
慶弔見舞金の金額の目安
慶弔見舞金の金額は会社により異なりますが、おおまかな目安は次のとおりです。
| 慶弔の内容 | 金額の目安 |
| 結婚祝い（本人） | 10,000〜50,000円 |
| 出産祝い（本人または配偶者） | 5,000〜30,000円 |
| 死亡弔慰金（本人） | 30,000〜100,000円 |
| 死亡弔慰金（家族） | 10,000〜50,000円 |
| 災害見舞金 | 20,000〜100,000円 |
| 傷病見舞金 | 10,000〜30,000円 |
慶弔見舞金の目安額
慶弔休暇を取る方法とマナー
慶弔休暇を取得する際は、会社のルールに従って、丁寧に手続きを進めることが大切です。突然の事情であっても、周囲への配慮や最低限の連絡は忘れずに行いましょう。
休暇の申請に必要な書類
会社によっては、休暇申請の際に書類の提出を求められることがあります。葬儀であれば、会葬礼状や死亡診断書などが該当します。
提出の有無や書類の種類は企業ごとに異なるため、申請前に担当部署や就業規則で確認しておくと安心です。
直属の上司に対面か電話で相談する
休暇の取得を希望する場合は、まず直属の上司に伝えるのが基本です。続柄や行事の日程、予定している休暇期間を具体的に説明しましょう。
対面または電話での連絡が望ましく、できるだけ早めに相談することが大切です。やむを得ず口頭で先に伝える場合も、後から正式に申請書を提出するのがマナーです。
メールで連絡する場合
早朝や移動中などで電話や対面が難しいときは、まずメールで事情を伝えるのも一つの方法です。後ほど改めて口頭で補足することを前提に、簡潔でわかりやすい文面を心がけましょう。
メールには、続柄、休暇の期間、葬儀の日程など、必要な情報を漏れなく記載します。
【メールの例文】
件名：忌引き休暇取得のお願い
〇〇様
お疲れ様です。〇〇部の〇〇です。
私事で恐縮ですが、このたび（続柄）の（名前）が逝去いたしました。
つきましては、下記の通り忌引き休暇を取得させていただきたく、ご連絡いたしました。
・休暇期間：〇月〇日〜〇月〇日
・葬儀日程：〇月〇日（通夜）、〇月〇日（告別式）
急なご連絡となり申し訳ありません。
ご迷惑をおかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。
（署名）
引き継ぎをする
休暇中に業務が滞らないよう、引き継ぎをしておきましょう。事前に進行中の案件や期限の近い仕事がある場合は、誰に何を任せるかを整理し、引き継ぎの準備を進めましょう。
緊急連絡先を伝えておくと、いざというときも安心です。
出勤時に挨拶をする
慶弔休暇から復帰した際には、上司や同僚へひと言挨拶を伝えるのがマナーです。「休暇をいただきありがとうございました」「ご迷惑をおかけしました」など、感謝と配慮の気持ちを簡潔に伝えるだけで、印象は大きく変わります。
特に弔事の場合は、無理のない範囲で一礼やお礼の言葉を添えるようにしましょう。
【例文1：結婚式で休んだ場合】
このたびは結婚に伴う休暇をいただき、ありがとうございました。
おかげさまで無事に式を終えることができました。
しっかり気を引き締めて、また業務に取り組んでまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
【例文2：忌引き休暇だった場合】
このたびは忌引き休暇をいただき、ありがとうございました。
急なことでご迷惑をおかけして申し訳ありませんでしたが、おかげさまで無事に故人を見送ることができました。
本日からまた、気持ちを切り替えて仕事に励んでまいります。今後ともよろしくお願いいたします。
慶事のマナー
結婚式など、慶事の招待を受けたときは、なるべく早めに出欠の返事を出すのがマナーです。返信ハガキが同封されている場合は、記載された期限を守り、丁寧な言葉で返信しましょう。やむを得ず欠席する場合も、失礼のない表現で気持ちを伝えるようにします。
当日の服装にも気を配りましょう。男性は黒やネイビーなど落ち着いた色のスーツに、白いシャツとネクタイが基本です。ネクタイはシルバーのような、華やかな色がいいでしょう。
女性は華やかさを意識しつつも、派手すぎず上品なワンピースやドレスが好まれます。肌の露出や全身白のコーディネートは避けるのが一般的です。
ご祝儀の金額は、関係性や地域の習慣によって異なりますが、友人や同僚であれば3万円ほどが目安です。金額は偶数を避け、「割り切れる数字」にならないようにするのが慶事のマナーとされています。
弔事のマナー
訃報の連絡や葬儀の案内を受け取ったら、まずはできるだけ早く出欠の連絡をしましょう。お通夜や葬儀の日時・場所を確認し、出席できる場合は時間に余裕をもって行動することが大切です。やむを得ず欠席する場合、欠席の理由を伝える必要はありません。
服装は、男女ともに黒を基調とした喪服が基本です。男性は黒のスーツに白シャツと黒いネクタイを着用し、靴や靴下も黒でそろえます。
女性は黒のワンピースやスーツを着用し、肌の露出を控えた落ち着いた装いが望まれます。アクセサリーは結婚指輪以外つけないのが一般的です。真珠のネックレスやピアスは着けても構いませんが、粒が小ぶりなものを選び、ネックレスは一連のもののみにしましょう。
香典の金額は、故人との関係性によって異なります。友人や知人であれば5,000円前後が目安です。親族の場合は1万円〜3万円程度とされることが多いです。新札は避け、香典袋の表書きや中袋への記入も、マナーに沿って丁寧にしましょう。
お悔やみの言葉を伝える際は、慎重に言葉を選んでください。「重ね重ね」「たびたび」「再び」などの重ね言葉は避け、簡潔に「このたびはご愁傷様でした」「心よりお悔やみ申し上げます」などの表現を使いましょう。気持ちを伝えることを第一に、控えめで落ち着いた対応を心がけてください。
葬儀の詳しいマナーは、こちらの記事で解説しています。
慶事と弔事が重なった場合
結婚式などの慶事と、葬儀などの弔事が同じ時期に重なった場合は、弔事を優先するのが一般的です。弔事は予定の変更も後からの穴埋めもきかないため、先に予定していた慶事であっても、欠席の判断をすることがあります。
やむを得ず慶事を優先する場合は、弔事側には事情は説明せず、お詫びの気持ちを簡潔に伝えましょう。慶事を優先する場合には、故人との縁が薄い、結婚する方との血縁が近いといったケースが多いです
マナーを守って慶弔の行事に参加したり休暇を取ったりしよう
慶弔の場面では、思いやりや礼儀がとても大切です。会社の制度や周囲への配慮を忘れず、落ち着いて行動しましょう。基本的なマナーを押さえておけば、安心して行事に参加したり、休暇を取得したりできます。
あんしん祭典では、大切な方を亡くした方へのアフターフォローサービスを提供しています。弔事に関する疑問や不安がある、法要で何をすればいいのかわからない、行政手続きをサポートしてほしいという方は、お気軽にお問い合わせください。相談は無料です。
