葬儀の見積もりは、費用を抑えるためにも、納得のいく内容で送り出すためにも、大切な準備です。本記事では費用の内訳や見積もりの味方、葬儀社の比較ポイントがわかります。葬儀の費用に不安がある方や、事前に準備を進めたい方におすすめです。
葬儀にかかる費用は、宗教者へのお布施も含めると200万円近くになることもあります。決して安いものではないからこそ、しっかりと内容を確認しながら進めることが大切です。
できるだけ費用は抑えたいけれど、故人をきちんと見送りたいという思いもあり、どこで折り合いをつけたらいいのかわからず悩んでいる方も多いでしょう。
本記事では、葬儀の見積もりの取り方や見方、注意すべきポイントについてわかりやすく解説します。葬儀の費用に不安を感じている方や、納得できる内容で送り出したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
葬儀の見積もりを取るのが大切な理由
葬儀の見積もりを取っておくことで、全体の費用感が見えてきます。どの部分にどれくらいの費用がかかるのかを把握できれば、自分たちの希望に合わせて内容を調整でき、不要な項目を避ける判断もしやすくなります。
見積もりを取らずに進めてしまうと、あとになって「こんなにかかるとは思わなかった」と戸惑うことにもなりかねません。最初の説明では安く見えても、細かな費用が後から追加されて、結果的に高額になるケースもあります。
事前に見積もりを確認しておけば、不明点をその場で相談でき、費用に対する不安も軽減されます。心の準備ができるだけでなく、葬儀当日も安心して見送りができるでしょう。
葬儀社から見積もりを取る方法
見積もりを取る方法は大きく分けて「直接相談する方法」と「インターネットや電話などを使う方法」があります。それぞれの特徴や向いているケースを押さえて、自分たちに合った手段を選びましょう。
直接相談する
葬儀社の店舗や相談窓口に足を運び、対面でスタッフと話しながら見積もりを取る方法です。希望する葬儀の内容や予算、参列者の人数などを伝えることで、具体的な見積もりをその場で作成してもらえます。
対面相談の良さは、細かな点をその場で確認できることです。パンフレットだけではわからない内容も詳しく説明してもらえます。
ただ、実際に店舗まで足を運ぶ手間がかかります。また、時間の都合がつかない人にはやや不便かもしれません。
担当者と顔を合わせて話したい方や、細かい部分まで直接相談しながら決めていきたい方に向いています。施設の雰囲気を見ておきたい場合にも、対面での相談はおすすめです。
インターネットや電話で見積もりを取る
自宅からでも、葬儀社のホームページや問い合わせフォームを通じて見積もり依頼ができます。電話やメール、最近ではチャットに対応している葬儀社もあり、質問や要望を文章で伝えることも可能です。
この方法は手軽で時間を選ばずに相談できます。ただ、対面に比べると説明の行き違いが起きやすいという面もあります。担当者と直接会話しない分、細かなニュアンスが伝わりにくいこともあるかもしれません。
忙しい方や遠方に住んでいる方、まずはざっくりとした費用感を知りたい方に向いています。電話が苦手な方には、チャットやメールを活用するとスムーズに相談できるでしょう。
葬儀の見積もりに含まれる項目
葬儀費用にはさまざまな要素が含まれており、それぞれの内訳を見ることも大切です。ここでは主にどのような項目が見積もりに含まれるのかを紹介します。
葬儀そのものにかかる費用
葬儀そのものにかかる費用とは、式を執り行うために必要な、基本的な費用のことです。葬儀の規模や形式によって金額に差はありますが、見積もりの中で中心的な部分となります。
- 式場使用料
- 棺や骨壺などの物品費
- 遺体搬送費、霊柩車の手配
- 人件費(司会進行や案内スタッフなど)
- ドライアイスや安置施設などの遺体管理費
- 祭壇の設営や装飾にかかる費用 など
参列者への接待費用
接待費用とは、葬儀に参列してくれた方への対応にかかる費用を指します。人数によって費用が大きく変動するため、変動費として扱われます。
- 通夜振る舞いや精進落としの料理代
- 香典返し
- 返礼品 など
※返礼品と香典返しの違い
返礼品は参列当日に手渡すもので、香典返しは四十九日以降に改めてお礼として贈る品です。いただいた香典の金額が多かった相手に対し、香典額の3分の1~半分の金額の香典返しを贈るのが一般的です。
宗教者へのお礼は見積もりに含まれない
宗教者に対するお礼、いわゆるお布施や謝礼は、一般的に葬儀社の見積もりには含まれません。
宗教者へのお礼の内訳と目安額は次のとおりです。ただし、宗派や地域、依頼する内容によって金額に幅があるため、個別に確認する必要があります。
項目 | 概要 | 金額目安 |
お布施 | お通夜や葬儀、枕経などの読経料 | 3万~5万円ほど |
戒名料 | 戒名を付けてもらったお礼。戒名のランクにより金額目安が変わる | 10万~100万円以上 |
御車代 | 宗教者の移動にかかるお金 | 5,000~1万円ほど |
御膳料 | 食事に代えて渡す金銭。宗教者が会食に参加しない場合に渡す | 5,000~1万円ほど |
宗教者へのお礼の目安
これらは、葬儀社の見積もりには含まれませんが、希望を伝えて相談すれば、目安を教えてもらえます。見積もりの依頼時や確認時に、あわせて確認しておくと安心です。
葬儀の見積もりを取る際のポイント
見積もりをただ依頼するだけでなく、いくつかのポイントを意識することで、より正確で納得のいく判断ができるようになります。ここでは、見積もりを取る際に押さえておきたい注意点を紹介します。
HPやパンフレットからわかるのは「参考価格」
葬儀社のホームページやパンフレットに記載されている価格は、あくまで目安と考えましょう。実際の費用は、葬儀の内容や参列者の人数、地域の慣習などによって大きく変わります。
自分たちの希望を伝えずに参考価格だけで判断すると、実際にかかる費用との差に驚くこともあります。きちんと希望を伝えたうえで見積もりを出してもらうことが、正確な費用を知るための第一歩です。
複数社から見積もりを取る
1社だけでなく、複数の葬儀社から見積もりを取り、比較しましょう。それぞれの費用の内訳やサービス内容を見比べることで、価格だけでは見えない違いが明らかになります。
比較することで、費用が妥当かどうかもわかるようになります。また、各社の対応の丁寧さや説明のわかりやすさも判断材料となり、安心して依頼できる葬儀社を見つけやすくなります。
各社同じ条件で見積もりを取る
見積もりを依頼する際は、各社に対して同じ条件を伝えましょう。参列者の人数、葬儀の規模、希望する内容などを統一することで、金額やサービス内容を正確に比較できます。
条件をそろえずに見積もりを取ってしまうと、何が違って金額に差が出ているのかがわかりません。同じ土俵で比べることで、納得のいく選択ができます。
見積もりをなかなか出してくれない葬儀社は避ける
見積もりを出すのを渋る、あるいは明確な金額を提示しない葬儀社には気を付けましょう。費用が不透明なまま契約してしまうと、後から思わぬ出費が発生するかもしれません。
早い段階で見積もりを提示し、丁寧に説明してくれる葬儀社のほうが信頼できます。不安を感じる対応をされた場合は、無理に依頼せず他を検討しましょう。
お布施の目安額も聞いておく
お布施は見積もりに含まれないことが一般的ですが、希望を伝えれば目安を教えてくれる葬儀社もあります。戒名の有無やランク、読経の回数によって金額が異なるため、あらかじめ確認しておくと安心です。
目安を把握しておくことで、全体の予算を立てやすくなります。あとから金額を知って慌てることがないよう、見積もりを取るタイミングで一緒に確認しておくと良いでしょう。
葬儀の見積もりを見る際のポイント
見積もりが手元に届いたら、金額だけを見るのではなく、その中身をしっかり確認しましょう。ここでは、見積もりを読み解くときに意識しておきたいポイントを紹介します。
見積もりの総額と内訳を見る
まずは見積もりの総額を確認し、どのような内訳になっているかを丁寧に見ていきましょう。項目ごとの金額を把握することで、何にいくらかかっているのかが見えてきます。
内訳を確認すれば、必要な項目と不要な項目を見極められます。無理なく予算を調整できるうえ、あとから追加費用が発生するリスクも減らせます。
固定費用と変動費用を分けて考える
見積もりには、条件にかかわらず一律でかかる「固定費用」と、条件によって変動する「変動費用」があります。
固定費用には式場使用料や棺、霊柩車の費用などが含まれ、見積もりと実際の請求額が変わることは基本的にありません。
変動費用には参列者の人数に応じた料理代や返礼品代、搬送距離や安置日数によって変わる費用などがあります。葬儀当日にならないと実際の費用がわからず、見積もりと請求書の金額が変わることも珍しくありません。
それぞれを分けて考えることで、何が変動要因になっているのかが明確になります。たとえば参列者の人数が増えればそのぶん費用が上がるといった見通しが立てやすくなり、準備がしやすくなります。
お布施以外の全項目が入っているか確認する
葬儀の見積もりには、基本的にお布施は含まれていません。お布施以外の費用についてはすべて見積書に記載されているか、確認しましょう。
すべての項目が明記されていれば、見積もりの抜け漏れに気づきやすくなります。想定外の費用があとから発生するのを防ぐためにも、見積書の内容は細かくチェックしておきましょう。
見積もり額が極端に低い葬儀社は避ける
他社と比べて明らかに見積もり額が安い葬儀社を見つけたら、なぜ安いのかを慎重に確認しましょう。オプションがほとんど含まれていなかったり、グレードアップによって後から費用が増える仕組みになっていたりすることもあります。
見積もりが安くても、最終的に他社より高額になるケースも少なくありません。安心して依頼できるかどうかは、説明のわかりやすさや誠実な対応があるかどうかを見ましょう。
葬儀費用を抑えるポイント
葬儀にはある程度の費用がかかりますが、内容を工夫すれば無理のない範囲で費用を抑えられます。ここでは、費用を抑えるために意識しておきたいポイントを紹介します。
不要なものから省いていく
費用を抑えたいときは、まず本当に必要なものと、そうでないものを見極めましょう。祭壇の装飾や式場の演出などは希望に応じて省けるため、見積もりの中で「なくてもよい」と思う項目があれば検討してみましょう。
こだわる部分にしっかり費用をかけながら、全体の予算をバランスよく抑えられます。
失礼のない範囲で返礼品や料理のグレードを下げる
返礼品や通夜振る舞い、精進落としの料理などは、参列者に対する感謝の気持ちとして大切なものです。しかし、これらのグレードによって費用は大きく変わります。量や品数を工夫することで、相手に失礼のない範囲で調整することも可能です。
グレードを少し下げるだけでも、参列者の人数が多い場合には大きく節約できます。ある程度の品質を保ちつつ、無理なく費用を抑えるための工夫です。
できれば事前相談で見積もりを取っておく
費用を抑えるためには、できるだけ早い段階で見積もりを取っておきましょう。とくに事前相談であれば、冷静に内容を検討でき、複数社の見積もりを比較する余裕も生まれます。
慌ただしい中で決めてしまうと、不要なオプションをつけてしまったり、納得のいかないまま契約してしまったりするかもしれません。事前に準備しておけば、内容にも費用にも納得したうえで安心して葬儀に臨めるでしょう。
葬儀の事前相談とは何か、どんなことがわかるのかは、こちらの記事で解説しています。
「葬儀の事前相談はいつする?今でしょ!わかることや大切な理由、決めること」
葬儀の見積もりはできれば複数社から、事前相談で
葬儀にかかる費用は、宗教者へのお布施も含めると総額で200万円近くになることもあります。決して安いサービスではないからこそ、見積もりをしっかり取って、内容をよく検討することが大切です。
もちろん、費用が安ければそれで良いという話ではありません。大切な人をきちんと見送りたいという気持ちを大切にしながら、予算とのバランスをとって、納得のいくプランを考えることが重要です。その判断の土台となるのが、見積もりというわけです。
納得できる葬儀を実現するためにも、できれば複数の葬儀社に事前相談して、見積もりを取りましょう。
あんしん祭典でも、事前の相談や見積もりが可能です。Web上で簡単な条件を指定して、おおまかな価格をシミュレーションすることもできます。葬儀費用にお悩みの方は、まずはシミュレーションから試してみてください。