お彼岸に「やってはいけないこと」は、実は特にありません。この記事では、お彼岸の意味や期間、すべきこと、避けるべきことなどを詳しく解説します。ご先祖様との過ごし方に迷いや不安がある方におすすめです。
お彼岸は、春と秋に訪れるご先祖様を供養する大切な期間です。この時期には、「〇〇をしてはいけない」という話を耳にすることもあるでしょう。しかし、さまざまな情報があり、迷信なのか、本当なのか、混乱してしまう方もいるのではないでしょうか。
この記事では、お彼岸に「やってはいけないこと」とされていることの真偽や、お彼岸の過ごし方について解説します。お彼岸の過ごし方に迷いがある方、ご先祖様をどのように供養すれば良いか知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
お彼岸とは
お彼岸とは、春分の日と秋分の日を中日とした、前後3日間を合わせた7日間のことです。この期間には、ご先祖様を供養するさまざまな仏事が行われます。
お彼岸は、仏教の教えと日本の古くからの風習が結びついたものです。「彼岸」という言葉は、サンスクリット語の「paramita(パーラミター)」を語源とし、「悟りの境地」を意味しています。
現在では、お墓参りや仏壇の掃除など、ご先祖様を偲び感謝を伝える期間として広く認識されています。故人を思い出し、家族の絆を深める大切な機会です。
お彼岸の期間
お彼岸は春と秋の年2回あります。春分の日と秋分の日を中日として、それぞれ前後3日間を合わせた7日間がお彼岸の期間です。
2025年の春のお彼岸は、3月17日から3月23日までです。秋のお彼岸は、9月20日から9月26日までとなります。
お彼岸にやってはいけないことはない
お彼岸は本来、煩悩を払い、悟りの境地を目指すための修行期間であり、先祖供養を行う期間です。忌中や喪中とは異なり、特別に「やってはいけないこと」はありません。
しかし、お彼岸には避けた方が良いとされることもいくつか存在します。ここからは、お彼岸に「しない方が良いこと」と「した方が良いこと」を紹介。「やってはいけない」と誤解されがちなことについて、なぜ誤解されているのかも解説していきます。
お彼岸にやらない方が良いこと
お彼岸は、ご先祖様を供養し、故人を偲ぶ期間です。そのため、この時期には避けた方が良いとされる行動がいくつかあります。
お見舞い
お彼岸の時期のお見舞いは、相手に不幸を連想させてしまうかもしれません。お彼岸はご先祖様を供養する期間、お墓参りに行く期間であり、お彼岸のお参りはお墓参りを連想させるからです。
どうしてもお見舞いに行きたい場合は、事前に相手の状況を確認し、お彼岸の時期を避けるなどの配慮が必要です。言葉遣いにも気を付けましょう。
お宮参り
お宮参りは、赤ちゃんの誕生を祝い、健やかな成長を願う行事です。このようなお祝い事は、お彼岸の期間にはふさわしくないと考えられています。
また、お宮参りをはじめとする神事(神道に由来する儀式や行事)は、仏事(仏教に由来する儀式や行事)と同時に行ってはいけないという考え方もあります。
そのため、お宮参りを行う場合は、お彼岸の期間を避けるのが一般的です。どうしても都合がつかない場合は、神社に相談してみると良いでしょう。
水辺で遊ぶ
お彼岸の時期は、水難事故に遭いやすいという言い伝えがあります。お彼岸やお盆には供養されていない霊が、水中で足を引っ張るといわれているためです。昔は、海や川での水遊びは控えるようにと伝えられていました。
現代では迷信とされていますが、お彼岸は強風や台風が発生しやすい時期でもあります。安全のためにも水辺でのレジャーは十分に注意しましょう。特に子ども連れの場合は、目を離さないようにしてください。
結婚式
お彼岸は、慶事である結婚式には向かないと考える人もいます。ご先祖様を供養する期間に、お祝い事は避けるべきという考え方です。
お彼岸はご先祖様の供養で忙しい時期でもあります。そのため、お彼岸の結婚式は迷惑になるという考え方もあります。
しかし、近年では、お彼岸の結婚式を気にしない人も増えています。両家でよく話し合い、双方が納得できる形であれば問題ありません。
彼岸花を持ち帰る
彼岸花は、お墓などに咲いているイメージが強く、「不吉な花」と考える人もいます。「彼岸花を持ち帰ると火事になる」という迷信もあります。そのため、家に持ち帰ることを嫌がる人もいるでしょう。
何より、彼岸花には毒があり、誤って口にすると死に至る場合もあります。このような危険性を踏まえ、彼岸花に気を付けさせるために、「彼岸花を持ち帰ると火事になる」という迷信が広まったのかもしれません。
小さなお子さんやペットがいる家庭では、特に気を付けましょう。
お彼岸にしても良いこと
お彼岸にやってはいけないとされているものの、実は明確な根拠がなく、単なる誤解であるものもあります。
納車
お彼岸の時期の納車は避けるべきという考え方がありますが、これは誤解であり、問題ありません。
仏教では「喪」の期間に新しいこと始めるのを避けるべきという考え方があり、これがお彼岸の納車(新しい車を使い始めること)を避けるべきという誤解につながったのでしょう。また、供養の期間であるお彼岸の納車は「あの世へ車で行く」というイメージにつながり、縁起が悪いと考える方もいるようです。
しかし、お彼岸は喪の期間ではありません。「あの世で車に行く」も迷信です。むしろ、ご先祖様に新しい車を見てもらう良い機会と捉えることもできます。
引っ越し
お彼岸の引っ越しは、「ご先祖様をないがしろにしている」と思われるのではないかと心配する人もいるようです。
お彼岸は供養の期間です。準備に手間がかかる引っ越しをすることで、十分な供養ができなくなるのではと、心配する人もいるでしょう。
しかし、これも気にする必要はありません。特に春のお彼岸は新生活がスタートする時期でもあり、引っ越しを避けるのが難しいこともあるでしょう。
何より、新生活のスタートである引っ越しを、ご先祖様もきっと応援してくれています。
土いじり
お彼岸に土いじりをしてはいけないという誤解は、お彼岸と「土用」の期間の混同により生まれました。
土用とは、立春・立夏・立秋・立冬の前の18日間のことです。土をつかさどる神様が地中にいるとされる期間であり、土いじりを避けるべきといわれています。
しかし、土用は立春・立秋の前、お彼岸は春分・秋分の前後であるため、期間は被りません。仏教にも、お彼岸に土いじりをしてはいけないという戒律はありません。
お彼岸にした方が良いこと
お彼岸には、ご先祖様を供養するために、ぜひ行いたいことがいくつかあります。
お墓参り
お彼岸はあの世とこの世が最も近づく、供養の期間です。お墓参りをして、ご先祖様を供養しましょう。
お墓参りの際は、お墓をきれいに掃除し、お花やお線香、故人の好物などをお供えします。お墓の前で静かに手を合わせ、故人を偲びましょう。
仏壇掃除
お彼岸は、仏壇を掃除するのにちょうどいい時期です。普段はなかなか手が回らない細かい部分まで、丁寧に掃除しましょう。
仏壇をきれいにすることで、ご先祖様も気持ちよく過ごせます。掃除が終わったら、お花やお線香、お供え物を整えましょう。
お供え物
お彼岸のお供え物には、故人の好物や季節の果物、お菓子などが一般的です。ぼたもち(春)やおはぎ(秋)も、お彼岸のお供え物としてよく知られています。
お供え物は、故人への感謝の気持ちを表すものです。心を込めて選び、お供えしましょう。何をお供えすれば良いか迷う場合は、お店の人に相談してみるのも良いでしょう。
彼岸会への参加
お彼岸の時期には、多くのお寺で「彼岸会(ひがんえ)」と呼ばれる法要が行われます。彼岸会に参加し、ご先祖様の供養をするのもいいでしょう。
彼岸会では、僧侶による読経や法話などが行われます。参加することで、仏教の教えに触れ、心を清めることもできます。
なお、彼岸会には落ち着いた服装で参加しましょう。男性は黒やグレーのスーツ、女性は黒のワンピースやアンサンブルが良いでしょう。
また、彼岸会に参加する際はお布施も必要です。3,000~1万円をお布施として包み、持参しましょう。
お布施の包み方や渡し方については、こちらの記事で解説しています。
お布施の封筒はどう選ぶ?書き方や渡し方、金額相場などのマナー
お彼岸は心静かに過ごそう
お彼岸は春分の日と秋分の日を中日とし、それぞれ前後3日間を合わせた計7日間の期間です。この期間にご先祖様を供養します。
お彼岸に「やってはいけないこと」は特にありませんが、一般的に「しない方が良い」とされることもあります。しかし、最も大切なのは故人を偲び、感謝の気持ちを持つことです。心静かに過ごし、ご先祖様とのつながりを感じる機会にしましょう。
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