終活とは、老後や死後に備えて暮らしや財産を整理することです。おひとりさまは身近に頼れる人が少ないため、早めの準備が安心につながります。独身で老後に不安を感じている方に向けた終活ガイドです。
終活とは、老後や死後に備えて、自分の暮らしや財産、思いを整理しておくことです。あらかじめ準備しておくことで、将来の不安を軽くし、自分らしい最期を迎える助けになります。
とはいえ、終活には多くの手続きや考えることがあります。特に相談できる人や手伝ってくれる人が少ないおひとりさまにとって、「一人では無理かもしれない」「そもそも独身なら必要ないのでは?」と感じている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、おひとりさまが終活するメリットや具体的な進め方、利用できる制度などをわかりやすく紹介します。終活を始めるべきか悩んでいる方や、一歩を踏み出したいと考えている独身の方は、ぜひ参考にしてみてください。
そもそも終活とは
終活とは、人生の終わりに向けて自分の暮らしや思いを整理していくことです。具体的には、財産や持ち物を整理したり、介護や医療の希望をまとめたり、葬儀やお墓について考えたりします。
あらかじめ準備を進めておくことで、将来への不安が和らぎ、これからの時間を安心して過ごしやすくなります。心に余裕が生まれ、今後の生活に対して前向きになれるでしょう。
近年は、身近に頼れる家族がいない方や、老後を一人で迎える方が増えています。そうしたなかで、自分の意志をきちんと形にしておく終活の大切さが、ますます注目されるようになってきました。
おひとりさま(独身)でも終活が必要な理由
おひとりさまの場合、終活するかどうかは自由です。ただ、老後や死後に備えておくことで、老後の暮らしが整いやすくなり、将来に対する不安も軽くなっていきます。
一方で、何の準備もしないまま年齢を重ねていくと、急な体調不良や判断力の低下により、必要な手続きができなくなる恐れがあります。身近に相談できる人がいない場合、住まいや財産の管理が滞ることもあるでしょう。
終活を進めておけば、そうしたリスクを未然に防げます。たとえば、希望する医療や介護をあらかじめ伝えておいたり、信頼できる人に事務手続きを任せられるようにしたりすれば、もしものときも安心です。自分らしく、納得のいく最期を迎えるためにも、おひとりさまにとって終活は大きな支えとなるはずです。
おひとりさまが終活するメリット
おひとりさまが終活に取り組むことで得られるメリットは、実はとても多くあります。ここでは、代表的な5つのメリットを紹介します。
その後の生活が充実する
終活を進めると、自分にとって本当に大切なものが見えてきます。暮らしや気持ちがすっきりと整理され、日々の時間をより丁寧に過ごせるようになるでしょう。
物や思いに振り回されることが減るため、気持ちに余裕が生まれます。これまで後回しにしていた趣味や学びにも、前向きな気持ちで取り組めるようになるでしょう。
経済的な安心感につながる
財産や持ち物を整理すると、自分がどれだけの資産を持っているかがはっきりとわかります。老後の資金計画も立てやすくなり、将来への備えができます。
資金の使い道が明確になることで、無駄な出費を減らせるのも利点です。結果として、老後に必要なお金をしっかり確保でき、経済的な不安を軽くすることにつながります。
老後や死への不安が軽くなる
老後にどんな医療を受けたいのか、最期をどう迎えたいのかを決めておくと、先の見えない不安が少しずつ和らいでいきます。自分の今後を自分の意志で選べることが、安心感にもなります。
「何も決まっていないこと」が不安のもとになることも多いです。終活を通じて考えを整理しておくことは大きな意味があります。気持ちが落ち着き、今を穏やかに過ごせるようになるでしょう。
周囲の負担を軽くできる
おひとりさまでも、亡くなった後の手続きや片づけなどは誰かにしてもらわなければなりません。生前に準備しておくことで、その人たちの負担を軽くできます。
「どこに何があるかわからない」「どうすればいいのかわからない」という状態を避けられるため、遺された人も落ち着いて対応しやすくなります。感謝とともに、心穏やかに送り出してもらえるでしょう。
財産を自分の希望に沿って使える
終活では、遺言書の作成や生前整理などを通じて、財産の行き先を自分で決められます。特定の団体に寄付したり、信頼できる友人に残したりと、自分の想いを反映させられます。
もし何の準備もなければ、法定相続人がいない場合は財産が国庫に入れられてしまいます。遺言書を通して意思表示することで、大切にしていたものを納得のいく形で託せます。
【7ステップ】おひとりさまの終活の進め方
終活は一気にすべてを進める必要はありません。無理のないペースで、できることから取り組むことが大切です。ここでは、終活の進め方を7つのステップに分けて紹介します。
STEP1.まずは断捨離からはじめよう
最初の一歩として、持ち物の整理から始めてみましょう。使っていない家具や服、本などを手放すことで、空間も気持ちもすっきりします。
断捨離を通じて身の回りが整うと、心にもゆとりが生まれます。部屋が片づくことで生活も快適になり、終活全体への意欲も自然と高まっていくでしょう。
こちらの記事では、終活の断捨離はどう進めればいいのか、断捨離後の注意点とあわせて解説しています。
「終活は断捨離から!早めに始めるべき3つの理由と整理のコツ」
STEP2.エンディングノートを少しずつ書こう
思いついたときに少しずつ、自分の希望や考えをエンディングノートに書き留めていきましょう。無理にすべて埋めようとしなくても大丈夫です。
書いておくことで、自分の意志が伝わりやすくなり、家族や周囲の人の迷いや不安も減らせます。今後の方針を整理するうえでも役立ちます。
エンディングノートの選び方や書き方、何を書けばいいのかは、こちらの記事で解説しています。
エンディングノートを無理なく始めるには?書き方と選び方のコツ、全部教えます
STEP3.財産を整理し、資金計画を立てよう
通帳や証券、不動産の書類などを確認し、資産の全体像を把握しておきましょう。必要に応じて、売却や現金化も検討してみてください。
資産を把握することで、老後や終活にかかる費用を見通しやすくなります。必要な支出に備えられるようになり、経済的な安心につながります
STEP4.葬儀やお墓の準備をしよう
希望する葬儀の形式や、納骨先について考えておきましょう。資料を集めたり、事前相談をしたりするのもおすすめです。
準備をしておくことで、いざというときに迷いやトラブルを避けやすくなります。自分らしい最期を実現するための大切なステップです。
あんしん祭典では、葬儀の事前相談を承っています。相談は無料、葬儀費用の積み立てもできるので、気になる方はお気軽にご相談ください。
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STEP5.自分の死後にペットをどうするか決めよう
ペットを飼っている場合は、万が一の際に誰に託すのか、どう暮らしてほしいのかを決めておきましょう。引き取り先と事前に話しておくことが大切です。
備えがあることで、ペットが困らずに済みます。自分自身の心の負担も軽くなります。
ペットの性格や習慣、健康状態をノートにまとめておくと、新しい飼い主が助かるでしょう。
STEP6.終活で使える契約・制度を検討しよう
老後や死後に関する意思を形にするための契約制度があります。判断能力が低下した際にお金を管理してもらったり、死後の手続きを進めてもらったりできる契約・制度です。
このような契約や制度を活用すれば、自分の希望に沿った生活や死後の対応が実現しやすくなります。詳しくは後ほど解説するので、ぜひ、このまま記事を読み進めてください。
STEP7.遺言書を書こう
財産を特定の人や団体に渡したい場合は、遺言書を作成しましょう。特に相続人がおらず、自分の死後に財産が国に渡ることに抵抗があるなら、検討する価値があります。
遺言書があれば、財産の行き先を自分で決められます。ただし、そういった希望がなければ、必ずしも書く必要はありません。
なお、遺言書に法的な拘束力を持たせるには、決められた要件に沿って書く必要があります。自力で法的に有効な遺言書を書くのは難しいので、下記の記事を参考に、専門家への相談を考えてみましょう。
はじめての遺言書相談ガイド|無料の窓口や専門家の選び方、手続きの流れ
おひとりさまの終活で使える契約・制度
おひとりさまが自分らしく安心して老後を過ごすためには、いくつかの契約や制度を活用すると効果的です。ここでは、終活に役立つ4つの契約・制度を紹介します。
死後事務委任契約
死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後の手続きを信頼できる人に任せる契約です。
依頼できる内容は、遺品整理や家の明け渡し、公共料金の解約、葬儀の手配など多岐にわたります。契約によって範囲を決められます。
身近に頼れる家族がいない方や、死後の手続きを第三者に任せたい方に適しています。遺された人の負担を減らしたい場合にも有効です。
任意後見制度
任意後見制度は、判断能力があるうちに、将来支援してもらいたい相手をあらかじめ決めておく制度です。判断能力が低下した後に、効力が発生します。
後見人には、日常の金銭管理や預貯金の出し入れ、介護サービスの契約、施設入所の手続きなどを任せられます。支援内容は契約時に細かく決められるため、自分の希望に沿った支援を受けられます。
将来、認知症などによって意思表示が難しくなることを心配している方におすすめです。金銭管理や生活面のサポートを事前に託せるのが特徴です。
財産管理等委任契約
財産管理等委任契約とは、判断能力に問題がなくても、財産管理や手続きなどを第三者に任せられる契約です。これに対して、先述の「任意後見制度」は判断能力が低下してから効力が発生します。
支援内容としては、銀行口座の管理、公共料金や医療費の支払い、介護保険の申請手続きなどを依頼できます。生活面の実務的なサポートを中心に委任できます。
体力的な不安がある方や、信頼できる人に日常的な支払い・契約などの管理をお願いしたい方におすすめです。
家族信託制度
家族信託制度は、自分の財産を信頼できる家族に託し、一定のルールに基づいて管理・運用してもらう制度です。財産の権利を「財産から利益を受ける権利」と「財産の運用や管理ができる権利」に分け、後者のみを家族に託します。
たとえば、不動産を所有しているなら、その運用や売却を家族に任せられます。運用や売却の結果得られたお金は、自分が受け取れます。なお、認知症などで判断能力が低下した後に、信託契約を結ぶのは難しいです。
認知症への備えをしながら、財産の使い道を柔軟に決めておきたい方に適しています。相続だけでなく、生前の資産活用にも対応できるのがメリットです。
おひとりさまの終活をうまく進めるポイント
おひとりさまが安心して終活を進めるには、いくつか意識しておきたいポイントがあります。ここではおひとりさまが終活を進める6つのコツを紹介します。
相続人が誰なのか把握しよう
まずは、自分に法定相続人がいるかどうかを確認しましょう。たとえば離婚後にずっと連絡を取っていない子ども、兄弟姉妹、甥や姪などがいれば、その人たちが相続人になり得ます。戸籍を取り寄せることで、相続権を持つ人を明確にできます。
相続人の有無を把握しておけば、遺言書が必要かどうかがわかりやすくなります。
家族と相談しながら進めよう
可能であれば、家族(兄弟姉妹や甥・姪など)や親しい人と終活について話し合う時間を持ちましょう。気持ちや希望を共有しておくことが大切です。
意思疎通ができていれば、万が一のときも家族が迷わずに行動できます。誤解や不安を防ぎ、お互いにとって納得のいく形をつくりやすくなります。
地域や社会とのつながりをつくろう
地域のイベントに参加したり、ボランティア活動に関わったりすることで、人とのつながりが生まれます。見守りサービスの利用も検討してみましょう。
日常的な交流があると、もしものときにも異変に気づいてもらいやすくなります。孤立を防ぎ、心の安心にもつながります。
医療やケアの希望を明確にしよう
どのような治療を望むか、延命措置についてどう考えるかなどを、あらかじめ考えておきましょう。エンディングノートに書いておくのも一つの方法です。
医療や介護の場面で判断を委ねる必要があるとき、希望が明確になっていれば周囲の負担も減ります。
生前整理で老後資金や終活費用を確保するのもアリ
使っていない持ち物や不動産を整理し、売却することで、現金を手元に残せます。老後や終活に必要な費用を把握しておくことも大切です。
早めに生前整理を始めることで、老後資金や終活にかかる費用をしっかり準備できます。
生前整理とは何か、どのように進めればいいのかは、こちらの記事で解説しています。
生前整理はいつやる?今でしょ!暮らしやすい部屋をつくり、家族の負担を減らすコツ
デジタル終活も忘れずに
SNSやネットバンク、サブスクリプションなどの情報を一覧にしておきましょう。ログイン情報や解約方法もメモしておくと安心です。
このようなデジタル遺産の整理をしておけば、死後の手続きがスムーズに進みます。大切な情報の漏えいや放置を防ぎ、周囲の手間を大きく減らせます。
こちらの記事ではデジタル終活の進め方を詳しく解説しています。
デジタル終活とは?PC・スマホのデータの残し方・隠し方
おひとりさまの終活では、終活支援サービスも検討しよう
おひとりさまの場合、終活に取り組もうと思っても、相談できる相手や手伝ってくれる人が少なく、思うように進まないかもしれません。
そんなときに頼りになるのが、終活支援サービスです。エンディングノートの書き方や財産整理の進め方、遺言書の作成サポート、死後の手続き代行まで、幅広く対応してくれるサービスもあります。プロに相談することで、安心して終活を進められるでしょう。
終活は、残された人の負担を軽くするためにも、自分の意思を正しく伝えるためにも大切です。だからこそ、信頼できる支援サービスを上手に活用しながら、無理なく着実に進めていきましょう。
あんしん祭典でも、終活支援サービスを提供しています。LINEで手軽に相談でき、相続や遺言に関するアドバイス、介護施設の紹介などが可能。エンディングノートの無料プレゼントもしています。
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