お悔やみの言葉は故人を悼み遺族に寄り添う言葉です。「お悔やみ申し上げます」の使い方や言い換え、相手別例文、マナーを解説。失礼なく弔意を伝えたい方、言葉選びに迷う方におすすめです。
お悔やみの言葉は、突然の訃報に接した際に、故人を悼む気持ちと遺族への慰めの心を伝える大切なものです。しかし、その場の状況や相手との関係性にふさわしい言葉を選ぶことは、時に難しいと感じるかもしれません。
「『お悔やみ申し上げます』だけでいいのだろうか?」「他にどんな言葉がある?」「メールやLINEで伝えても失礼にならないか?」など、どのように弔意を表せばよいか迷ってしまう方も多いでしょう。
この記事では、「お悔やみ申し上げます」の正しい使い方から、状況に応じた言い換え表現、相手別の具体的な例文、そして注意すべきマナーまで詳しく解説します。お悔やみの言葉の伝え方やマナーに不安を感じている方は、ぜひご一読ください。
「お悔やみ申し上げます」の使い方
「お悔やみ申し上げます」は、故人の死を悼む気持ちを表すお悔やみの言葉の一つです。お悔やみの言葉とは、亡くなった方を偲び、悲しんでいる遺族の方々へ慰めの気持ちを伝えるためのものです。
お悔やみ言葉の中には、口頭でのみ使用するものと、文章でのみ用いる表現があります。しかし「お悔やみ申し上げます」は、口頭と文章のどちらの場面でも使えます。どの言葉を選ぶべきか迷った際には、「お悔やみ申し上げます」と伝えるのが無難でしょう。
お悔やみの言葉は、基本的にはお通夜や葬儀で伝えます。訃報を電話で受けたときは、その電話で伝えましょう。お通夜や葬儀に参列できない場合、電話や弔電などで伝えることが望ましいです。
伝える際は、長々と話さず簡潔に、そして故人を悼む気持ちと遺族を気遣う心を込めましょう。
「お悔やみ申し上げます」以外のお悔やみ言葉
お悔やみの気持ちを伝える言葉は、「お悔やみ申し上げます」だけではありません。状況や相手との関係性に応じて使い分けられる、代表的なお悔やみ言葉をいくつか紹介します。
ご愁傷様です(口頭のみ使える)
「ご愁傷様です」は、相手の心の傷や悲しみを心配し、同情する気持ちを表す言葉です。「愁傷」という言葉自体に、憂い傷むという意味が含まれています。遺族の深い悲しみに寄り添うニュアンスを持つ表現です。
この言葉は、主にお通夜や葬儀の場で、遺族に対して直接口頭で伝える際に用いられます。メールや手紙といった文章でのお悔やみには、通常使用しない表現なので注意しましょう。
ご冥福をお祈りします(文章のみ使える)
「ご冥福をお祈りします」は、故人があの世で安らかに過ごせるよう、幸福を祈るという意味の言葉です。「冥福」とは、仏教において死後の幸福を指します。故人の安らかな眠りを願う気持ちを込めた表現となります。
この表現は、弔電やメール、手紙などの書き言葉として使用するのが一般的です。なお、冥福という表現は仏教ならではのもので、神道やキリスト教では使いません。
哀悼の意を表します(文章のみ使える)
「哀悼の意を表します」は、故人の死を深く悲しみ、悼む気持ちを表す言葉です。「哀悼」という言葉に、人の死を嘆き悲しむという意味が込められています。
こちらも「ご冥福をお祈りします」と同様に、主に弔電や弔辞、お悔やみ状などの書き言葉として用いられる表現です。「謹んで哀悼の意を表します」のように、頭に「謹んで」を付けるとなお丁寧です。
残念でなりません(口頭と文章の両方で使える)
「残念でなりません」は、故人の死を惜しみ、非常に心残りであるという気持ちを表す言葉です。突然の訃報に対する驚きや、生前お世話になったことへの恩返しなど、もっと何かできたのではないかという悔しい気持ちを表せます。比較的、親しい間柄で使われることも多い表現です。
この言葉は、「お悔やみ申し上げます」と同様に、口頭と文章の両方で使えます。お通夜や葬儀で直接伝える場面や、電話、メール、手紙など、さまざまな状況で使うことが可能です。
【相手別】お悔やみ言葉のかけ方
お悔やみの言葉は、誰に伝えるかによって、かける言葉や表現のニュアンスが異なります。ここでは、相手別にどのような言葉をかければよいか、具体的な例文を交えて解説します。
親を亡くした相手
【例文1】
この度は誠にご愁傷様です。お父様(お母様)の突然のことで、さぞお力落としのこととお察しいたします。どうかご無理なさらないでください。
これは主に口頭で伝える際の例文です。相手の体調を気遣う一言を添えるとよいでしょう。
【例文2】
この度は、心よりお悔やみ申し上げます。お母様(お父様)のご逝去の報に接し、大変驚いております。ご家族の皆様のご心痛はいかばかりかとお察しいたします。
こちらは少し距離のある相手や、メールなどの文章で伝える場合に使える丁寧な表現です。
配偶者を亡くした相手
【例文1】
この度は誠にご愁傷様でございます。ご主人様(奥様)のこと、残念でなりません。お力落としのことと存じますが、どうぞご自愛ください。
配偶者を亡くした方の悲しみは計り知れません。その深い悲しみに寄り添う気持ちを表します。
【例文2】
この度は、心からお悔やみ申し上げます。奥様(ご主人様)の突然の訃報に、言葉も見つかりません。お子様たちもいらっしゃいますし、何か私にできることがあれば、いつでもお声がけください。
遺された家族を気遣う言葉を加えるのもいいでしょう。
子どもを亡くした相手
【例文1】
この度は、誠にご愁傷様です。何と申し上げてよいか、言葉もございません。おつらいことと思いますが、どうかお体を大切になさってください。
お子様を亡くした方に言葉をかける際は、非常に慎重さが求められます。シンプルに、深い悲しみに寄り添う気持ちを伝えるのがよいでしょう。
【例文2】
この度は、心よりお悔やみ申し上げます。ご子息様(ご息女様)のご逝去を知り、本当に残念でなりません。ご家族の皆様のお気持ちを思うと言葉になりません。
励ますのではなく、ただ相手の気持ちに寄り添い、故人を悼む気持ちを伝えます。
仕事関係者
【例文1】
この度は、心よりお悔やみ申し上げます。〇〇様(故人名)には、生前大変お世話になりました。突然のことで、ただただ驚いております。
仕事関係者へ伝える際は、相手との関係性を踏まえつつ、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。故人への敬意を示す一文を加えます。
【例文2】
この度は、誠にご愁傷様です。〇〇部長(役職名など)には、公私にわたりご指導いただきました。仕事のことは私どもで対応しますので、どうかご心配なさらないでください。
遺族である仕事関係者の状況を気遣い、業務に関する配慮を示すことも大切です。
友人・知人
【例文1】
この度は本当に残念だったね…。〇〇(故人名)さんのこと、信じられない気持ちだよ。つらいだろうけど、無理しないでね。
親しい友人であれば、少しくだけた表現で、自分の素直な気持ちや相手を心配する気持ちを伝えてもよいでしょう。
【例文2】
この度は、心よりお悔やみ申し上げます。突然のことで、とても驚いています。何か私に手伝えることがあったら、いつでも連絡してください。
相手を気遣い、具体的なサポートを申し出ることで、寄り添う気持ちがより伝わります。
メールやLINEでのお悔やみ言葉の伝え方
本来、お悔やみの言葉は直接会って伝えるか、電話や弔電を用いるのがマナーです。しかし、現代では親しい間柄など、状況によってはメールやLINEで伝えるケースも見られます。
ただし、これらはあくまで略式の方法であり、相手や状況をよく考えて使わなければなりません。
メールで伝える際の注意点
メールでのお悔やみは、普段から仕事でメールのやり取りをしている相手や、遠方に住んでいてすぐに駆けつけられない友人・知人などに送る場合に使えます。相手がメールをあまり確認しない場合や、目上の方に対しては避けた方が無難でしょう。
メールを送る際は、件名を見ただけでお悔やみだとわかるように記載します。本文では時候の挨拶などは省略し、簡潔にお悔やみの言葉と相手を気遣う言葉を述べます。故人や自分の氏名は必ず明記しましょう。また、忌み言葉を避け、返信は不要である旨を添える配慮も大切です。
LINEで伝える際の注意点
LINEでのお悔やみは、ごく親しい友人や同僚など、普段からLINEで頻繁にコミュニケーションを取っている相手に限られます。相手がLINEでの連絡を許容している場合や、取り急ぎ訃報への反応を伝えたい場合などが考えられるでしょう。目上の方や、それほど親しくない相手に送るのは失礼にあたるため、絶対に避けるべきです。
LINEで送る場合も、メールと同様にお悔やみとわかるような書き出しを心がけ、本文はより簡潔にまとめます。スタンプや絵文字は使わず、真摯な気持ちを伝えることに専念してください。返信不要の旨を伝えるのも忘れてはいけません。
後日、改めて電話や弔問などで丁寧にお悔やみを伝えるのが望ましいです。
メールやLINEのお悔やみ言葉の例文
ここでは、メールやLINEでお悔やみを伝える際の具体的な例文を、相手別に紹介します。
親を亡くした相手
件名:〇〇(自分の氏名)よりお悔やみ申し上げます
本文:この度は、お父様(お母様)のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。突然のことで、さぞお力落としのこととお察しいたします。ご多忙とは存じますが、どうぞご無理なさらないでください。返信のお気遣いは不要です。
これは、丁寧さを意識した例文です。
〇〇(相手の名前)へ
お母様(お父様)のこと、聞きました。突然のことで本当に驚いています。今は大変だと思いますが、どうか無理しないでください。何か手伝えることがあれば、いつでも連絡してね。返信は不要です。
こちらは少し親しい相手向けの、相手の状況を気遣う気持ちを込めた例文です。
配偶者を亡くした相手
件名:〇〇(自分の氏名)よりお悔やみ申し上げます
本文:この度は、ご主人様(奥様)のご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます。ご家族の皆様のご心痛はいかばかりかと、胸が痛みます。今はただ、故人のご冥福を心よりお祈りいたします。返信は不要です。
配偶者を亡くした深い悲しみに寄り添う、丁寧な気持ちを表す例文です。
〇〇さん
ご主人(奥さん)のこと、本当に残念です。今は何と言っていいか分からないけれど、〇〇さんのことが心配です。一人で抱え込まないでくださいね。返信は気にしないでください。
親しい間柄で、相手を強く気遣う気持ちを前面に出した例文となります。
子どもを亡くした相手
件名:〇〇(自分の氏名)よりお悔やみ申し上げます
本文:この度は、ご子息様(ご息女様)のご逝去に際し、心よりお悔やみ申し上げます。あまりに突然のことで、言葉も見つかりません。今はただ、安らかなお眠りをお祈りしております。ご返信には及びません。
言葉を選び、シンプルながら最大限の配慮を示すことを心がけた例文です。
〇〇へ
〇〇ちゃん(君)のこと、聞きました。信じられなくて、まだ気持ちの整理がつきません。つらすぎると思うけど、どうか自分を責めないでください。今は何もできないかもしれないけど、ずっとそばにいます。返信はいらないからね。
より個人的な関係の場合、深い悲しみに寄り添う気持ちを伝えます。
仕事関係者
件名:〇〇(自分の氏名・会社名)よりお悔やみ申し上げます
本文:この度は、〇〇様(故人名)のご逝去の報に接し、心より哀悼の意を表します。生前は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。ご遺族の皆様におかれましては、どうぞご無理なさらないでください。返信はご不要です。
ビジネスメールとして、丁寧かつ簡潔にまとめた例文です。
件名:〇〇(自分の氏名)より
本文:この度は、お父様(お母様)のこと、心よりお悔やみ申し上げます。大変な時とは存じますが、業務のことはどうぞ気になさらないでください。チームでしっかり対応いたします。落ち着かれましたら、またご連絡いただければ幸いです。返信はお気遣いなく。
業務への配慮を示すことで、相手を安心させることも大切です。
友人・知人
〇〇(相手の名前)
おばあ様のこと、聞いたよ。突然で驚いた…。大丈夫?今は大変だと思うけど、無理しないでね。何かできることがあったら、遠慮なく言ってね。返信は気にしないで。
親しい友人向けの、LINEなどで率直な気持ちを伝える例文です。
件名:〇〇(自分の氏名)よりお悔やみ申し上げます
本文:〇〇様
この度は、お身内(続柄が分かれば具体的に)のご不幸に際し、心よりお悔やみ申し上げます。突然のことで、さぞご心痛のこととお察しいたします。どうぞお力落としされませんように。返信は不要です。
少し距離のある知人向けの、丁寧なメール例文となります。
お悔やみ言葉のマナー
お悔やみの言葉を伝える際には、故人や遺族に対して失礼にならないよう、マナーを守らなければなりません。
知らず知らずのうちに相手を不快にさせたり、深い悲しみの中にいる遺族をさらに傷つけたりしないよう、基本的な注意点をしっかり確認しておきましょう。
口頭と文章、どちらで使える言葉か確かめる
お悔やみの言葉の中には、口頭でのみ使うのが適切な表現や、その反対に文章でのみ用いるべき表現があります。誤った使い方をすると、意図せず相手に失礼な印象を与えてしまうかもしれません。
例えば、「ご愁傷様です」は主に口頭で使う言葉であり、メールや手紙に書くのは一般的ではありません。「ご冥福をお祈りします」や「哀悼の意を表します」は書き言葉として使われることが多く、口頭で直接伝えると不自然に聞こえることがあります。
忌み言葉を使わない
忌み言葉とは、不幸が繰り返されることや、死、苦しみを直接連想させる言葉です。このような言葉を使うと、深い悲しみの中にいる遺族の気持ちをさらに害したり、縁起が悪いと感じさせたりするかもしれません。
具体的には、「たびたび」「重ね重ね」といった不幸が重なることを連想させる重ね言葉は避けましょう。また、「死ぬ」「死亡」といった直接的な表現の代わりに「ご逝去」「お亡くなりになる」などを使います。「生きていた頃」は「ご生前」、「浮かばれない」なども使わないように心がけてください。
死因を尋ねない
故人が亡くなった原因、つまり死因について尋ねることは、お悔やみの場では絶対に避けるべきです。死因は非常にデリケートな問題であり、根掘り葉掘り聞くことは、相手の悲しみを増し、心を深く傷つける行為になりかねません。
「何が原因だったのですか」「病気だったのですか」といった直接的な質問はもちろんのこと、噂話をするような態度や、憶測で死因について話すことも慎むべきです。遺族から話があった場合のみ、静かに耳を傾けましょう。
励ましの言葉は避ける
遺族を元気づけたいという気持ちから、つい励ましの言葉をかけてしまいがちですが、これも避けるべきです。「頑張って」「元気を出して」といった言葉は、かえってプレッシャーになったり、自分の感情を否定されたように感じたりするかもしれません。
具体的には、「頑張ってください」「元気を出してください」「しっかりしないと」などの言葉は避けましょう。「あなたが悲しんでいると故人も悲しむよ」といった言い方も、遺族の気持ちに寄り添っているとはいえません。安易な励ましよりも、静かに寄り添う姿勢を示すことが大切です。
宗教に応じた言葉遣いをする
日本では仏式の葬儀が多いですが、故人や遺族が信仰する宗教によって、死生観や葬儀の形式が異なります。お悔やみの言葉も宗教に合わせて使い分けましょう。特に仏教用語である「冥福」「供養」「成仏」などは、他の宗教では使わないのがマナーです。
神道では、故人は家の守護神になると考えられています。仏教用語を避け、「御霊(みたま)のご平安をお祈り申し上げます」や「御安霊(ごあんれい)の安らかならんことをお祈りいたします」といった表現を用いるようにしましょう。「安らかにご永眠されますようお祈りいたします」という言い方も可能です。
キリスト教では、死は神に召され、天国で安息を得ることと考えられています。そのため、「お悔やみ申し上げます」という言葉も避けることがあります。「安らかな眠りにつかれますよう、お祈りいたします」や「神様のもとで安らかに憩われますように」といった表現が適切です。カトリックの場合は「永遠の安息をお祈りいたします」なども使われます。
なお、細かな宗派によって異なることもあるので、不安な場合は宗教者や葬儀社に確認してください。
「お悔やみ申し上げます」は口頭でも文章でも使える
これまで見てきたように、お悔やみの言葉には「ご愁傷様です」のように主に口頭で使うものや、「ご冥福をお祈りします」のように文章でのみ用いるものがあります。
「お悔やみ申し上げます」は、口頭と文章のどちらの場面でも使える丁寧な表現です。どの言葉を選ぶべきか迷った場合は、この「お悔やみ申し上げます」を使うのが最も無難でしょう。
お悔やみの言葉は、亡くなった方を悼み、深い悲しみの中にいるご遺族に寄り添う気持ちを伝えるためのものです。何よりも、故人を偲び、遺族を思いやる心を込めて伝えることを忘れないでください。