喪中の正月は、故人を偲び、新年のお祝い事はタブーです。この記事では喪中の正月にタブーなこと、しても良いこと、年賀状の対応などを詳しく解説します。喪中の過ごし方で迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
喪中の正月は、正月飾りやおせち料理など、新年を祝う行為はタブーとされています。しかし、お雑煮や年越しそばは食べても良く、初詣も忌明けであれば問題ないなど、判断に迷うことも多いのではないでしょうか。
「喪中の正月って、具体的に何をしたらダメなの?」「どこまで自粛すればいいのかわからない」と悩んでいる方もいるかもしれません。
この記事では、喪中の正月にタブーとされていること、避けた方がいいこと、しても良いことを詳しく解説します。また、喪中はがきや年賀状の対応についても紹介します。喪中の正月をどのように過ごせば良いか悩んでいる方は、ぜひ最後までお読みください。
喪中の正月でタブーなこと
喪中の正月は、故人を偲び、静かに過ごす期間です。新年を祝う行為は、故人への哀悼の気持ちと矛盾するため、いくつかのタブーがあります。
正月飾り
喪中の正月には、正月飾りをしてはいけません。正月飾りは、新年を祝い、年神様を迎えるためのものなので、喪中にはふさわしくありません。具体的には、門松や鏡餅などを飾るのがタブーです。
新年の挨拶
喪中の正月には、「あけましておめでとうございます」「新年おめでとうございます」といった新年の挨拶をしてはいけません。これらの言葉は、新年を祝う言葉であり、喪中ではタブーです。
ただし、喪中でも「おめでとうございます」という言葉を避ければ、新年のあいさつはできます。喪中は「今年もよろしくお願いします」といった挨拶にとどめましょう。このように、相手への感謝の気持ちを伝えることは、失礼にはあたりません。
おせち料理
喪中の正月には、おせち料理を食べるのはタブーです。おせち料理は、新年を祝うための特別な料理であり、喪中にはふさわしくありません。
代わりに「ふせち料理」と呼ばれる料理があります。ふせち料理は、精進料理を基本とし、お祝い事に用いられる食材を避けて作られます。扱っているお店は少ないですが、仕出し店や大手通販サイトなどで購入できます。
年賀状
喪中の正月には、年賀状を出してはいけません。年賀状は、新年を祝う挨拶状であり、喪中にはふさわしくありません。
代わりに、喪中はがき(年賀欠礼状)を送りましょう。喪中はがきは、年賀状をやり取りしている相手に、喪中であることを伝えるための挨拶状です。
ただし、仕事の取引先には普段通り、年賀状を出しても構いません。
喪中の年賀状について、詳細は記事後半で解説しています。
喪中の正月で避けた方がいいこと
喪中の正月には、タブーとまではいかないものの、避けた方がいいこともあります。故人を偲び、慎ましい行動を心がけることが大切です。
ここでは、喪中の正月に避けた方がいいことを紹介します。
旅行
喪中の正月は、旅行を避けた方がいいでしょう。旅行は娯楽の要素が強く、喪中の過ごし方としてはふさわしくないと考えられます。
ただし、近場へのお出かけ程度であれば問題ありません。気分転換になるような場所へ行くことは、故人も望んでいるかもしれません。
結婚式の開催や出席
喪中の正月は、結婚式の開催や出席を避けた方がいいでしょう。結婚式はお祝い事であり、喪中の行動としてはふさわしくありません。
近年では、親しい友人の結婚式などへの参加を避けるケースは少なくなっています。参加を考える場合は、新郎新婦の親族の中に喪中を気にする人がいるかどうかを確認しましょう。
新築やリフォーム
喪中の正月は、新築やリフォームを避けた方がいいでしょう。これらは、生活環境を大きく変えることであり、お祝い事と捉えられることがあります。
契約済みの場合はキャンセルや延期はできません。しかし、契約前なら、喪が明けるまで待つのもひとつの選択肢です。
金額の大きな買い物
喪中の正月は、金額の大きな買い物を避けた方が無難です。喪中に金額の大きな買い物をすると、「保険金で買ったのかもしれない」と噂される恐れもあります。
どうしても必要なものでなければ、喪が明けてから購入を検討しましょう。不要な誤解を避けるためにも、慎重な行動が必要です。
喪中の正月でしてもいいこと
喪中の正月は、故人を偲び静かに過ごす期間ですが、すべての行動を制限する必要はありません。ここでは、喪中の正月でも問題なく行えることを紹介します。
親族の集まり
喪中の正月でも、親族で集まることは問題ありません。故人を偲び、思い出を語り合うことは、残された人々の心を癒すことにもつながります。
集まる際は、派手なお祝い事は避け、静かに過ごすようにしましょう。故人を偲ぶ会として、食事を共にすることも良い供養になります。
大掃除
喪中の正月でも、大掃除をしても問題ありません。大掃除は、新年を迎えるための準備であり、お祝い事ではありません。
むしろ、家を清めることは、故人を気持ちよく送り出すことにもつながります。
ただし、神棚の掃除は、忌明けまで待ちましょう。神棚は神道に由来するもので、神道では「忌明けまで、遺族には死の穢れがある」と考えられているためです。そのため、忌中は神棚を白い半紙や布で覆い隠す「神棚封じ」をし、掃除やお参りを避けましょう。
お歳暮
喪中の正月でも、お歳暮を贈ることは問題ありません。お歳暮は、日頃の感謝を伝える贈り物であり、お祝い事ではありません。
ただし、水引のかかったのし紙は使わないようにしましょう。代わりに無地の奉書紙か白い短冊をかけ、そこに「御歳暮」と書きます。包装紙も派手なものは避けましょう。
四十九日を過ぎていない忌中の場合は、時期をずらして「寒中御見舞」として贈るのが一般的です。
除夜の鐘
喪中の正月でも、除夜の鐘を聞いたり、つきに行ったりすることは問題ありません。除夜の鐘は煩悩を払い、新年を迎えるための行事であり、お祝い事ではありません。
鐘の音を聞きながら、故人の冥福を祈るのも良いでしょう。静かに新年を迎える準備ができます。
年越しそば
喪中の正月でも、年越しそばを食べることは問題ありません。年越しそばは、長寿を願う縁起物であり、お祝い事ではありません。
細く長いそばのように、故人とのつながりが長く続くように願いを込めていただきましょう。喪中では家族で静かに食べるのが一般的です。
お雑煮
喪中の正月でも、お雑煮を食べることは問題ありません。お雑煮は地域や家庭によって具材や味付けが異なり、それぞれの家の味を受け継ぐもので、お祝い事ではありません。
お正月にお餅を食べる習慣は、平安時代から続いているといわれています。ただし、お祝いの意味合いが強い鏡餅は避けましょう。
お年玉
喪中の正月にお年玉を渡すことは、本来はタブーとされています。お年玉は、新年を祝う意味合いが強いからです。
しかし、子どもたちにとっては楽しみなものです。「お年玉」として渡すのはタブーですが、「お小遣い」として渡すのは問題ありません。表書きを変え、ポチ袋ではなく無地の封筒で渡してあげるといいでしょう。
初詣
喪中の正月でも、初詣に行くことは問題ありません。ただし、忌中の間は、神社への参拝はタブーとされています。
忌明け後であれば、神社へのお参りは問題ありません。故人の冥福を祈り、感謝の気持ちを伝えましょう。
なお、忌中に神社へのお参りがタブーなのは、神社が神道の宗教施設だからです。神道では死を穢れと捉え、忌中の遺族は死の穢れが強いと考えられています。そのため、仏教の宗教施設であるお寺へのお参りは、忌中であっても問題ありません。
喪中の年賀状の対応
喪中の際は、年賀状のやり取りにも配慮が必要です。ここでは、喪中の年賀状の対応について、基本的なマナーを紹介します。
仕事の取引先には年賀状を送っても良い
喪中の場合でも、仕事の取引先には年賀状を送っても問題ありません。仕事上の付き合いと個人的な喪中は区別して考えられます。
ただし、デザインは落ち着いたものを選び、個人的な近況報告は控えましょう。あくまでもビジネスライクな挨拶状として送るのがマナーです。
年内に喪中はがきを送る
喪中の場合は、年賀状の代わりに喪中はがき(年賀欠礼状)を送りましょう。喪中はがきは、11月中旬から遅くとも12月初旬までに届くように送るのがマナーです。
喪中はがきには、誰が亡くなったのか、故人との続柄などを明記します。相手への感謝の気持ちと、喪中につき新年の挨拶を控える旨を伝えましょう。
年賀状を受け取ったら寒中見舞いを送る
喪中はがきを出さずに年賀状を受け取ってしまった場合は、寒中見舞いを送りましょう。寒中見舞いは、松の内(1月7日)が明けてから立春(2月4日頃)までに送るのがマナーです。
寒中見舞いでは、年賀状をいただいたお礼と、喪中であったため挨拶を控えたことを伝えます。相手の健康を気遣う言葉も添えましょう。
喪中の範囲
喪中になるのは、一般的に二親等までの親族が亡くなった場合です。しかし、故人との関係性や親しさによっては、三親等でも喪中とすることがあります。
次の表を参考に、自分が喪中になるのかならないのかを考えましょう。
親等 | 具体的な続柄 |
一親等 | 配偶者とその父母、父母とその配偶者、子とその配偶者 |
二親等 | 兄弟姉妹、配偶者の兄弟姉妹、祖父母、配偶者の祖父母、孫とその配偶者 |
三親等 | 曽祖父母、叔父叔母(伯父伯母)とその配偶者、甥姪 |
親等と具体的な続柄
喪中の期間
喪中の期間は、故人との関係性(続柄)によって異なります。これは、明治時代に定められ、昭和22年に廃止された「服忌令」という法律が元になっています。服忌令は現在では廃止されていますが、現代でも喪中の期間を考えるうえで参考にされています。
一般的な喪中の期間は、次の通りです。
- 父母、配偶者、子:12~13ヵ月
- 兄弟姉妹、祖父母、孫:3~6ヵ月
- 曽祖父母、叔父叔母(伯父伯母)、甥姪:1~3ヵ月
ただし、これはあくまで目安であり、故人との関係性や地域の慣習によって異なります。
喪中の正月はお祝い事を避けよう
喪中の正月は、故人を偲び、静かに過ごす期間です。新年を祝う行為はタブーとされています。ただし、お雑煮や年越しそばなど、お祝い事のように見えても、実は宗教的な意味合いが薄く、しても良いこともあります。
お年玉は、表書きや渡し方を工夫すれば贈っても構いません。年賀状は仕事関係の相手には送っても良い、年賀状が届いてしまったら寒中見舞いを出すなど、相手によって対応が異なります。故人や残された家族のことを考え、適切に判断しましょう。
喪中ではこれらのタブーなことを気にしながら、一周忌の法要もしなければなりません。
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