終活とは人生の終わりに向けて情報や物を整理することです。終活をしておけば、残された家族の負担を軽くできます。親の終活を手伝うことは、相続や介護の備えにもなります。本記事では子どもは親の終活をどのように手伝えばいいのか、切り出し方とあわせて解説します。
終活とは、人生の終わりに向けて持ち物や財産を整理し、介護や医療、葬儀に関する希望を残しておくことです。自分の思いを形にするだけでなく、残される家族の負担を軽くすることもできます。
とはいえ、いざ親の終活について考えると「どう切り出したらいいのか」「どこから始めればいいのか」と悩む方も多いでしょう。親の気持ちを大切にしながら進めたいと思っても、切り出し方に迷ってしまうことは珍しくありません。
本記事では、親の終活を手伝うメリットや具体的にできること、話を切り出す方法を解説します。親に終活を促したいけれど進め方がわからない方や、親子で安心して準備を始めたい方に役立つ内容です。
親の終活を手伝うメリット
親の終活に子どもが関わることで、将来の不安を和らげる効果があります。生活や財産に関する情報を整理し、親の思いを共有することで、いざというときの準備が整うからです。
終活は単なる事務的な作業ではなく、親子の対話を深める機会にもなります。ここからは、親の終活を手伝う具体的なメリットを紹介します。
将来の遺品整理の負担を減らせる
親が元気なうちに持ち物を整理すると、後に子どもが行う遺品整理の負担が大幅に減ります。不要な物をあらかじめ処分しておくことで、残された家族は必要な物の判断に迷わずに済むからです。
特に一人で片づけるのが難しい大量の物を抱えている家庭では、早めに一緒に進めておくことをおすすめします。
財産を正確に把握できる
親と一緒に財産を整理することで、預金や不動産、保険などの全体像が見えてきます。後になって口座や証書が見つからないといったトラブルを避けられるのが大きなメリットです。
資産状況を把握できれば、相続や老後の生活設計についても現実的な話し合いがしやすくなります。特に親が複数の金融機関や保険を利用している場合に有効です。
相続の相談ができる
親の終活を通じて、遺言や相続の意向を事前に確認できます。兄弟姉妹で後から意見が食い違うのを防ぎ、相続手続きを円滑に進められるのが大きなメリットです。
話しにくいテーマですが、早めに共有しておけば家族間の不和を防ぐ効果もあります。特に不動産の分け方や事業承継など、分配が複雑になりやすい家庭で役立ちます。
親の希望や意志を確認できる
医療や介護、葬儀に関する希望をあらかじめ聞けるのも大きなメリットです。本人が意思を伝えられなくなったとき、家族が迷わず判断できるようになるからです。
事前に希望を聞いておけば、親の意志を尊重した選択ができます。特に延命治療や介護施設の利用といった、判断が難しい場面で役立ちます。
親子の絆が深まる
終活を一緒に進める過程で、親子の会話が増え、昔の思い出を振り返る機会が生まれます。物の整理を通じて親子でこれまでの人生を振り返ったり、感謝の気持ちを共有したりできるのは大きな喜びです。
終活は単なる作業にとどまらず、親子の関係性をより深める時間になります。普段はゆっくり話す機会が少ない家庭にこそ、親子での終活はおすすめです。
親の終活で子どもが手伝えること
親の終活は一人で進めるには大変な作業が多くあります。子どもがサポートに入ることで、終活がスムーズになり、親の思いを形にしやすくなります。ここからは、子どもが実際に手伝えることを紹介します。
エンディングノートの作成
エンディングノートは、親の人生観や希望、財産の情報などを書き残す大切なノートです。子どもは一緒に書き進めながら、記入しやすいように質問を投げかけたり、書きづらい部分を代筆したりすると良いでしょう。親の思いを整理する手助けができます。
ただし、親の意見を尊重し、無理に埋めさせようとしないことが大切です。一緒に作成することで、普段話しにくい将来の希望を自然に確認でき、親子で共有できます。
遺言書の作成
遺言書は財産の分け方や意志を明確に残すために不可欠です。子どもは書き方や公正証書遺言の作成手続きなど、情報収集や専門家への相談を手伝うと良いでしょう。親にとって複雑な制度を整理し、理解を助けられます。
注意したいのは、子どもが内容に強く口を出さないことです。あくまで親が自分の意志を遺すための書類であるため、サポートは中立的にしましょう。適切に作成できれば、将来の相続トラブルを防ぎ、家族全体に安心をもたらします。
なお、遺言書にはいくつかの種類があります。また、「遺留分」について知らずに書くと、遺言書に書いたとおりの財産分配ができなくなる恐れもあります。
遺言書の種類についてはこちらの記事を、遺留分についてはこちらの記事をお読みください。
整理整頓と断捨離
持ち物の整理は終活の中でも負担が大きい作業です。力も体力もある子どもが手伝うことで、親の負担を大きく減らせます。相談しながら一緒に進めることで、親も気持ちを整理しながら、手放す判断がしやすくなります。アルバムや衣類などを仕分けながら、必要か不要かを一緒に考えていくとスムーズです。
ただし、親の思い入れが強い品に関しては、無理に処分を勧めないことが大切です。手伝うことで親の希望を聞くこともでき、将来の遺品整理の際、「これは本当に捨てて良いのか?」という迷いを減らせるでしょう。
デジタル終活
デジタル終活では、親が利用しているメールアカウントやSNS、ネット銀行などの情報を整理します。IDやパスワードを一覧にまとめたり、不要なサービスを解約したりといった作業を子どもが手伝うと効率的です。
注意点として、親のプライバシーを尊重しつつ進めることが大切です。一緒に整理を進めることで、死後に家族がログインできず困る状況を防ぎ、デジタル遺品のトラブルを減らせます。
デジタル終活の具体的な進め方や注意点は、こちらの記事で解説しています。
介護や医療の希望を聞いておく
親が将来どのような介護や医療を望むのかを、具体的に話し合っておきましょう。延命治療の希望や介護施設の利用などについて、子どもが質問しながら聞き取ると整理しやすくなります。
親の気持ちを否定せず、あくまで意見を尊重する姿勢を持つことが大切です。希望を確認しておけば、親が意思伝達できない状態になったときでも、判断に迷わずに済みます。
葬儀やお墓の希望を聞き、相談に乗る
葬儀の形式や規模、埋葬先について事前に話をしておくと、後の準備がスムーズになります。子どもは希望を聞き取り、費用や方法を一緒に調べてあげましょう。
ただし、親にとっては重い話題でもあるため、無理に進めないことが肝心です。前もって相談しておくことで、親の思いを尊重した形で送り出せると同時に、家族間の意見の食い違いを防ぐことにもつながります。
親の終活を手伝うときのポイント
親の終活を手伝うときは、やみくもに進めるのではなく、相手の気持ちや家族全体の状況を考えながら進めることが大切です。ここからは、親の終活を手伝うときに意識したいポイントを紹介します。
終活を無理強いしない
親が気乗りしないときに強引に話を進めると、かえって抵抗感を生むことになります。まずは親のペースを尊重し、気持ちを聞きながらゆっくり取り組む姿勢を持ちましょう。
相手のペースを尊重することで、親は安心して自分の思いを話せるでしょう。結果として、自然な形で終活を受け入れてもらえるはずです。
親が元気なうちに終活を促す
体力や判断力があるうちに準備を始めると、選択肢も多く、本人の意思をしっかり反映できます。親が元気なうちに、少しずつ具体的な話題を出していくと良いでしょう。
早めに取り組むことで、急な病気や介護が必要になったときにも慌てず対応できます。親の希望を叶えやすくなり、子どもの安心にもつながります。
よく相談・確認しながら進める
終活の内容は財産や医療など重要なことが多いため、一方的に進めず、必ず親と相談しながら決めましょう。途中で方向性を確認し合うことで、行き違いを防げます。
この姿勢を保つことで、親が「自分の意思が尊重されている」と実感できます。結果的に信頼関係が深まり、終活をスムーズに進められるでしょう。
兄弟姉妹にも相談する
親の終活に関する話は、子ども全員で共有しましょう。兄弟姉妹と情報共有しながら進めると、不公平感や不信感を避けられます。
事前に相談しておけば、相続や介護をめぐる意見の食い違いも減らせます。家族全体で協力する体制が整い、親にとっても安心できる環境をつくれます。
親に嫌がられない終活の切り出し方
親に終活を勧めたいと思っても、いきなり話題にすると、親は構えてしまうかもしれません。自然に切り出す工夫が大切です。ここからは、無理なく話を始める具体的な方法を紹介します。
自分から終活を始めてみる
まずは自分自身が終活をしてみて、それを話題にするのが効果的です。エンディングノートを書き始めたことや、身の回りを整理していることを伝えると、親も関心を持ちやすくなります。
自分が実際に取り組む姿を見せることで、終活が特別なことではないと感じてもらえます。
親にとってのメリットを伝える
「荷物が減ると気持ちが軽くなる」「希望を残せば自分も家族も安心できる」といった、親にとってのメリットをわかりやすく伝えましょう。子どものためではなく、親のための準備だと意識してもらう工夫が必要です。
メリットを伝えることで、終活を前向きに受け止めてもらえます。親が自分から終活に興味を持ち、スムーズに話を進められるようになります。
身近な人の終活エピソードを話してみる
親しい親戚や友人が終活に取り組んだ話をきっかけにするのも効果的です。「〇〇さんがエンディングノートを書いて安心していたよ」「□□さんは断捨離で部屋がすっきりして、気持ちが明るくなったって言ってたよ」のように伝えると、親もイメージを持ちやすくなります。
具体的なエピソードは説得力があります。身近な事例を交えることで、終活が現実的で必要なものだと理解してもらえます。
まずは気軽な相談や片づけから、親の終活を手伝ってみよう
親の終活は将来の備えになるだけでなく、親子の思いを共有する大切な時間にもなります。無理に終活を勧めるのではなく、気軽な会話や簡単な片づけから始めることで自然に取り組めます。
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