終活年賀状(年賀状じまい)とは、年賀状のやり取りを穏やかに終えるために送る挨拶状です。本記事では終活年賀状の書き方や文例、出すタイミングをわかりやすく解説します。年賀状をやめたいけれど失礼になるのではないか、と不安な方におすすめです。
終活年賀状(年賀状じまい)とは、長年続けてきた年賀状のやり取りを一区切りとし、感謝の気持ちを込めて「これで最後にします」と伝える挨拶状のことです。年賀状をやめる理由を丁寧に伝えることで、相手に失礼のない形で関係を整理できます。
とはいえ、「どんな言葉で伝えればいいのか」「冷たく思われないか」と悩む方も少なくありません。気持ちはあるのに、適切な表現がわからず出しそびれてしまう人も多いでしょう。
本記事では、終活年賀状の書き方や文例、出すタイミングや注意点をわかりやすく解説します。年賀状をやめたいけれど失礼のない伝え方を知りたい方、円満にご挨拶を終えたい方は、ぜひ参考にしてください。
終活年賀状(年賀状じまい)とは
終活年賀状(年賀状じまい)とは、長年続けてきた年賀状のやり取りを、ある年をもって終わりにする旨を丁寧に伝えるものです。相手に感謝を伝えつつ、「これまで本当にありがとうございました」という気持ちを込めて出す挨拶状の一種です。単に年賀状をやめるだけでなく、人生の節目として人とのつながりを見つめ直す意味もあります。
年賀状じまいという言葉もよく使われますが、基本的には同じ意味を持ちます。
終活年賀状を出す目的は、人付き合いを一方的に断つことではありません。これまでのご縁への感謝と、「これからは別の形でお付き合いを続けたい」という思いを伝えるための手段です。そのため、言葉選びや伝え方には丁寧さが求められます。
終活年賀状が増えている背景
終活年賀状が増えている背景には、社会や生活スタイルの変化があります。特に高齢化が進み、年賀状の作成や投函が体力的な負担となる人が増えました。また、親族や友人が高齢になるにつれ、やり取りの相手も減っていくため、「区切りをつけたい」と感じる人が多くなっています。
近年は、メールやSNSなどのデジタルツールで連絡を取る人が増え、年賀状以外の手段で気軽に近況を伝えられるようになりました。こうした連絡手段の多様化も、年賀状じまいが広がる要因のひとつです。
さらに、「終活」という考え方自体が社会に浸透し、「元気なうちに自分のことを整理しておきたい」と考える人が増えています。その一環として、人間関係の整理を目的に終活年賀状を出す人が増加しているのです。
こうした背景から、終活年賀状は今では多くの人にとって、自然で前向きな選択肢のひとつになりつつあります。
終活年賀状を出すメリット
終活年賀状には、年賀状の準備負担を減らすだけでなく、人間関係を穏やかに整理できるメリットがあります。さらに、これまでのご縁に感謝を伝えるきっかけにもなり、前向きな気持ちで新しい生活の節目を迎えられます。ここでは、主な3つのメリットを紹介します。
年賀状準備の負担を減らせる
終活年賀状を出す最大のメリットのひとつは、年末の作業負担を軽減できることです。年賀状の作成や宛名書き、投函などの作業は意外と時間と労力がかかります。高齢になるにつれて体力的にも大きな負担となるため、「もう少し楽に過ごしたい」と考える人にとって、終活年賀状は現実的な選択肢といえます。
年賀状の準備をやめることで、年末の慌ただしさから解放され、心にゆとりが生まれます。その時間を家族との団らんや趣味の時間に充てるなど、自分のペースで穏やかに過ごせるようになるでしょう。
人間関係を無理なく整理できる
終活年賀状を出すことで、これまで続いてきた年賀状のやり取りを自然な形で見直せます。年賀状のやり取りは長年の習慣として続けてきた人も多く、「やめたい」と思っても言い出しづらいものです。終活年賀状は、その理由を丁寧に伝えることで、相手に誤解を与えず関係を整理できる手段となります。
このように区切りをつけることで、今後も連絡を取りたい人とのつながりがより明確になります。無理のない人間関係を築き直すことで、気持ちが軽くなり、心の負担も減っていくでしょう。
感謝を伝える機会になる
終活年賀状は、これまでお世話になった人へ感謝を伝える良い機会でもあります。「これまでありがとうございました」という気持ちを言葉にすることで、相手に温かい印象を残しながら、関係を整理できます。また、年賀状を終える理由を伝える中で、自分自身もこれまでのご縁を振り返り、感謝の気持ちを再確認できるでしょう。
単に「やめる」と伝えるだけでなく、「これまでのご厚情に感謝しています」と一言添えることで、相手との関係を大切にしたまま年賀状じまいができます。こうした思いやりの言葉が、円満な関係を保つ鍵となります。
終活年賀状を出すときの注意点
終活年賀状は丁寧に伝えることで感謝の気持ちを届けられますが、書き方やタイミングを誤ると、相手に誤解を与えてしまうことがあります。ここでは、特に注意しておきたい3つのポイントを確認しておきましょう。
絶縁と思われないように伝える
終活年賀状では、「年賀状をやめる=関係を終える」と誤解されないように注意が必要です。相手に冷たい印象を与えないためには、理由を穏やかな表現で伝えるとともに、「これまでのお付き合いに感謝しています」「今後も変わらずよろしくお願いします」といった前向きな言葉を添えることが大切です。
この一言を忘れると、相手が「もう縁を切りたいのか」と感じてしまうかもしれません。結果として、良好だった関係がぎこちなくなったり、相手が気を悪くしたりすることもあります。伝え方ひとつで印象が大きく変わるため、文章のトーンには十分注意しましょう。
再開しづらい点に注意する
終活年賀状を出したあとは、基本的に年賀状のやり取りを再開しにくくなります。「やっぱり続けたい」と思っても、相手が気を使って送ってこなくなる場合があるため、慎重に判断することが大切です。出す前に、本当にすべての相手に伝えるのか、それとも一部の方にとどめるのかを考えておきましょう。
軽い気持ちで出してしまうと、後から「もう一度やり取りしたい」と思っても言い出しづらくなります。終活年賀状は一度限りの大切な挨拶と考え、出す相手やタイミングをしっかり見極めましょう。
喪中や寒中見舞いとの兼ね合いに注意する
喪中の期間中やその直後に終活年賀状を出す場合は、出すタイミングや文面に注意が必要です。相手が喪中の場合は年賀状は失礼にあたるため、松の内(一般的に1月7日まで)が明けてから寒中見舞いとして終活の挨拶を伝える方法があります。その場合も、通常の終活年賀状と同じように感謝と配慮の言葉を添えることが大切です。
この点を意識せずに出してしまうと、「喪中なのに年賀状を送った」と相手に誤解される可能性があります。季節の挨拶と終活の知らせを両立させるためにも、送る時期と文面のバランスに気をつけましょう。
終活年賀状を出すタイミングと準備の流れ
終活年賀状は、出す時期や伝え方を考えて準備を進めることが大切です。ここでは、送る時期や家族と相談するときのポイント、そして実際の準備手順について説明します。
出す時期と伝えるタイミング
終活年賀状は、基本的に通常の年賀状と同じ時期に送ります。12月上旬から中旬にかけて投函すれば、元旦に届くため相手に自然な形で伝えられます。
ただし、相手が遠方に住んでいる場合や、特に親しい相手にあらかじめ伝えておきたい場合は、少し早めに出しておくと良いでしょう。
家族と相談して決める場合のポイント
終活年賀状を出す際は、家族と相談しておくことも大切です。特に親子で暮らしている場合や、家族ぐるみで付き合いのある相手がいる場合は、個人の判断だけでやめてしまうと、後から家族に混乱が生じることもあります。誰に出すのか、どの範囲まで伝えるのかをあらかじめ話し合っておきましょう。
また、家族の中には「まだやめるのは早いのでは」と感じる人もいるかもしれません。その場合は、体力面や作業の負担など、やめたい理由を共有することで理解を得やすくなります。家族で協力しながら進めれば、文面の確認や宛名整理などもスムーズに進みます。終活年賀状を出すことは、家族が一緒に終活を考える良いきっかけにもなるでしょう。
宛先整理・準備の進め方
準備の第一歩は、これまで年賀状を送ってきた相手の宛先を整理することです。まずは過去の年賀状や住所録を確認し、継続してやり取りしている人、近年やり取りが減っている人を分けておきます。そのうえで、誰に終活年賀状を出すかを決めましょう。すべての相手に送るのではなく、関係性や状況に応じて伝え方を変えるのもひとつの方法です。
準備が整ったら、文面を考え、印刷や手書きの作業に取りかかります。高齢の方の場合は、印刷サービスを利用するのも負担を減らす手段です。最後に、宛名や差出人の記載漏れがないかを確認し、12月中旬までに投函できるようスケジュールを立てましょう。
こうして段階を踏んで準備すれば、慌てずに丁寧な終活年賀状を届けられます。
終活年賀状の書き方のポイント
終活年賀状は、これまでの感謝を伝えながら、年賀状のやり取りを終えることを知らせる大切な手紙です。形式にとらわれる必要はありませんが、丁寧な文面を心がけることで、相手に温かい印象を残せます。ここでは、基本の構成や理由の伝え方、気づかいの言葉選びなど、書く際のポイントを紹介します。
基本構成
終活年賀状には、基本的な流れがあります。まずは新年の挨拶で始め、これまでのお付き合いへの感謝を伝え、そのうえで年賀状を終える旨を知らせます。最後に「これからも変わらぬお付き合いをお願いします」などの言葉を添えると、相手に前向きな印象を与えられます。
この構成を意識することで、唐突に「やめます」と伝えるよりも、自然な流れで気持ちを伝えられます。
理由の伝え方
年賀状を終える理由は、できるだけ率直に、かつ柔らかい表現で伝えましょう。たとえば「高齢になり、筆を取るのが難しくなりました」「定年を迎え、一つの区切りとして年賀状を終えることにしました」といったように、自分の状況を素直に書くと伝わりやすくなります。
家庭の事情や生活環境の変化を理由にする場合も、「身の回りを少しずつ整理しております」「家族とも相談のうえ、年賀状のやり取りを控えることにいたしました」など、丁寧な言葉を選びましょう。
相手への気づかいを添える表現例
相手への気づかいや感謝の言葉を添えることで、より温かみのある文章になります。たとえば次のような一言を入れると、相手も安心して受け止めてくれるでしょう。
- 「長年にわたり、心温まるお付き合いをありがとうございました」
- 「これまでのご厚情に心より感謝申し上げます」
- 「今後もお元気でお過ごしください」
- 「お互いに健康に気をつけて、穏やかな日々を過ごしていきましょう」
相手が親しい友人であれば、「またお会いできる日を楽しみにしています」などの言葉を添えるのもおすすめです。ほんの一言で印象が変わるため、相手の立場を思い浮かべながら言葉を選びましょう。
避けた方がよい表現・誤解されやすい言い回し
終活年賀状では、言葉の選び方ひとつで相手に冷たい印象を与えてしまうことがあります。以下のような表現は避け、やわらかい言い回しに変えるのが安心です。
「今後は一切年賀状を出しません」
→ 「これを一区切りとして、年賀状でのご挨拶を控えさせていただきます」
「年賀状をやめることにしました」
→ 「これまでのご厚情に感謝しつつ、年賀状でのご挨拶を終えさせていただきます」
「これで最後です」
→ 「今回をもちまして、年賀状のご挨拶を一区切りとさせていただきます」
「今後のやり取りは不要です」
→ 「これからも変わらぬお付き合いをお願いいたします」
強い言葉や断定的な表現を避け、やわらかく前向きな言葉に言い換えることで、相手に「終わり」ではなく「感謝」が伝わる文面になります。
終活年賀状の文例集
終活年賀状は、伝えたい理由やタイミングによって文面を少し変えるのがポイントです。ここでは、年齢や健康、定年、家庭の事情など、さまざまなケースに合わせた文例を紹介します。いずれも相手に失礼のない、温かみのある表現を心がけた内容です。
年齢・健康を理由にした文例
新春を迎え、皆さまのご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
長年にわたり年賀状を通じてご挨拶を重ねてまいりましたが、年齢を重ねるにつれ筆を取ることが難しくなってまいりました。
誠に勝手ながら、本年をもちまして年賀状でのご挨拶を終えさせていただきます。
これまでのご厚情に心より感謝申し上げますとともに、皆さまのご健勝をお祈りいたします。
—
本年も穏やかに新しい年を迎えることができました。
しかしながら、近年は体調のこともあり、年賀状のやり取りを続けるのが難しくなってまいりました。
つきましては、これを一区切りとし、今後は年賀状でのご挨拶を控えさせていただきます。
これまでのご縁に深く感謝申し上げます。
定年・人生の節目を理由にした文例
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
私事ながら、昨年をもって長年勤めた職を退き、新たな生活を始めることとなりました。
これを一つの節目とし、年賀状でのご挨拶を終えさせていただきます。
これまで温かくお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
皆さまのこれからのご健康とご多幸を心よりお祈りいたします。
—
新春を迎え、皆さまに幸多き一年となりますようお祈り申し上げます。
このたび還暦を迎えるにあたり、これまでの年賀状のご挨拶を一区切りとさせていただきたく存じます。
長年にわたるお付き合いに深く感謝申し上げます。
これからも変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます。
家庭や環境の変化を理由にした文例
明けましておめでとうございます。
おかげさまで穏やかに新年を迎えることができました。
このたび、生活環境の変化に伴い、年賀状のやり取りを控えさせていただくことにいたしました。
これまでのご厚情に心より感謝申し上げます。
今後とも変わらぬお付き合いをいただけましたら幸いです。
—
新春を迎え、皆さまのご健康をお祈り申し上げます。
このたび、家族とも相談のうえ、年賀状でのご挨拶を終えることにいたしました。
これまでいただいた温かいお言葉の数々に、心より御礼申し上げます。
どうぞこれからもお元気でお過ごしください。
寒中見舞いで伝える場合の文例
寒中お見舞い申し上げます。
皆さまにおかれましては、お健やかにお過ごしのことと存じます。
このたび、年賀状のやり取りを終えることにいたしました。
長年にわたり温かいお付き合いをいただき、心より感謝申し上げます。
これからも変わらずお元気でいらっしゃいますようお祈りいたします。
—
寒さ厳しき折、皆さまにおかれましてはお変わりなくお過ごしのことと存じます。
諸事情により、今後は年賀状でのご挨拶を控えさせていただくことにいたしました。
これまでのご厚情に心より感謝申し上げます。
どうぞお体を大切に、穏やかな日々をお過ごしください。
終活年賀状を出した後のマナーとフォロー
終活年賀状を出したあとも、相手との関係が終わるわけではありません。むしろ、その後の対応やフォローの仕方によって、印象がより温かいものになります。
ここでは、返事をもらったときの対応や、関係を続けたい人とのやり取り、SNSやメールへ切り替える際の注意点を紹介します。
返事が届いたときの対応
終活年賀状を出したあとに、相手から丁寧な返事をもらうことがあります。その場合は、無理に返信する必要はありません。ただ、感謝の気持ちを伝えたいと思う場合は、簡単なお礼状や電話での挨拶をしても構いません。返事をくれた相手も、気持ちを受け止めてもらえるだけで安心します。
もし返事の中で「寂しい」「これからも仲良くしてください」といった言葉が添えられていた場合は、「こちらこそ長い間ありがとうございました」「今後ともどうぞよろしくお願いします」といった返しをするとよいでしょう。年賀状という形は終わっても、人としてのつながりを大切にしている姿勢を伝えられます。
関係を続けたい人へのフォロー方法
終活年賀状を出しても、今後も関係を続けたい相手には、別の方法でつながりを持つことが大切です。たとえば、誕生日や記念日に電話やメールを送ったり、年に一度近況を報告したりと、無理のない範囲で交流を続けましょう。形式にとらわれず、気持ちを伝えることが何より大切です。
また、親しい友人や親戚であれば、「年賀状は終わりにしましたが、またお会いできるのを楽しみにしています」といった一言を添えるのも良い方法です。お互いのペースで付き合える関係を保つことで、年賀状がなくなっても自然なつながりを続けられます。
SNSやメールに切り替える際の注意点
最近では、年賀状の代わりにSNSやメールで新年のあいさつを交わす人も増えています。SNSのメッセージやメールは簡単に送れる一方で、相手によっては「形式が軽くなった」と感じることもあります。
そのため、最初の連絡では「今後はメールでご挨拶させていただきます」など、切り替えの意図を一言添えると丁寧です。また、頻繁にメッセージを送るのではなく、年に一度や季節の節目など、相手が心地よく感じるペースを意識しましょう。デジタルのやり取りでも、相手を思う気持ちが伝われば、それが一番の礼儀になります。
感謝を込めて、失礼のない終活年賀状を
終活年賀状は、「これまでのご縁に感謝し、穏やかに区切りをつけるための挨拶状」です。相手を思いやる気持ちを丁寧な言葉で表現することが大切です。
文面に「お世話になりました」「これからもお元気でお過ごしください」といった言葉を添えるだけで、相手は温かい気持ちで受け取ってくれます。終活年賀状は関係を終えるものではなく、「これまでありがとう」「これからもよろしく」という前向きな思いを伝えるためのものです。
焦らず、感謝の気持ちを自分の言葉で書きましょう。伝え方に心を込めれば、どんな形であっても、きっと相手の心に優しく届きます。
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