夜伽（よとぎ）とは、人が亡くなった際に遺族が夜通し故人に寄り添い、別れを惜しむことです。本記事ではお通夜や寝ずの番との違いや由来を解説。夜通しのお通夜から半通夜が主流になった背景も紹介します。お通夜の本来の意味を知りたい方におすすめの記事です。

夜伽（よとぎ）とは、人が亡くなった際に遺族や親族が故人に夜通し寄り添い、最後の別れを惜しむための習慣です。故人が寂しくないように寄り添い、死を受け入れるための儀式ともいわれています。簡単にいえば、お通夜のことです

近年は、宿泊設備のない斎場が増えたことや仕事や住まいの事情により、一晩中寝ずの番をする昔ながらのお通夜を行うことは少なくなりました。

本記事では、夜伽とお通夜、寝ずの番との違いや由来を解説。昔ながらのお通夜が減り、半通夜が主流になった背景も紹介します。「夜伽って何だろう？」「お通夜との違いは？」などの疑問を持つ方は、ぜひ参考にしてください。

夜伽（よとぎ）とは

夜伽（よとぎ）とは、人が亡くなった際に、遺族や親族が夜通し故人に寄り添い、共に過ごすことです。お通夜の晩に行われ、故人を偲びながら最後の別れを惜しむために営まれるものです。

かつて夜伽は、亡くなった方と最も親しい遺族が同じ布団に入り、添い寝をしていました。これは故人が寂しい思いをせず、あの世へ安心して旅立てるようにとの願いを込めた習わしでした。

現代では添い寝を伴う夜伽はしなくなりましたが、故人と最後の別れを済ませる場としてのお通夜は残っています。

夜伽のその他の意味

夜伽という言葉には、故人を偲ぶ以外にもいくつかの意味があります。

一つ目は、夜間に退屈しないよう、話し相手になったり物語を語ったりして過ごすことです。もう一つは、女性が男性の寝所に付き添い、共に夜を過ごすことです。

夜伽とお通夜の関係

夜伽とお通夜という言葉は、現代ではほぼ同じ意味で使われることが多いですが、厳密には少し異なる意味を持っています。

夜伽は、故人に寄り添いながら夜を過ごし、そばで見守る行為そのものを指しています。一方でお通夜とは、夜伽という行為を行うための儀式を指す言葉です。つまり、「行為」を指すのが夜伽、「儀式」を指すのがお通夜であり、この点に両者の違いがあります。

夜伽と寝ずの番の違い

夜伽やお通夜とよく似た言葉に「寝ずの番」がありますが、この二つは似ているものの、微妙に異なる意味を持っています。

寝ずの番とは、お通夜の晩に故人を夜通し見守り、線香やろうそくの火を絶やさないようにすることです。一般的には、遺族や親族が交代で起きて過ごし、故人を偲びながら語り合う形をとります。

夜伽と寝ずの番は、現代ではほぼ同じように使われますが、かつて夜伽は故人と添い寝をすることを指していました。起きて見守るのか、添い寝をするのかという点が異なります。

夜伽とお通夜の由来

夜伽やお通夜という習慣の起源は非常に古く、日本では奈良時代以前から行われていたとされています。ここでは夜伽とお通夜の由来を、仏教が伝わる前の日本における由来と、それ以降の、仏教的な由来に分けて紹介します。

日本における由来

仏教が広まる前の日本において、夜伽やお通夜は、亡くなった人が蘇生することを祈る儀式として行われていました。当時は現代のように医療が進んでおらず、故人が本当に亡くなったのかを確かめるため、夜通し寄り添いながら様子を見ていました。これが日本におけるお通夜の原点とされています。

仏教における由来

仏教では、お釈迦様が亡くなった際に弟子たちが遺体の周りに集まり、その教えについて語り合ったという逸話があります。これが、仏教におけるお通夜の起源とされています。

なお、仏教におけるお通夜は故人との別れを惜しむ場であり、葬儀は故人の成仏を願う場として区別されます。他の宗教でも同様で、神道では通夜祭、キリスト教では前夜祭として、お通夜のような儀式があります。

現代のお通夜は「半通夜」が主流

現在よく行われている18時頃から21時頃までの短時間のお通夜は、「半通夜」と呼ばれています。本来のお通夜は、一晩中寝ずの番をして、故人のそばで夜通し見守る儀式でした。

半通夜が主流になった理由

昔は一晩中行われることが当たり前だったお通夜ですが、近年は短時間で終える「半通夜」が主流となっています。その背景には社会状況や生活スタイルの変化に加え、施設や安全面での課題などが影響しています。

働き方や居住地の変化

現代では働き方が多様化・複雑化しており、仕事を終えてから長時間のお通夜に参加するのが難しくなっています。また、核家族化や居住地の多様化が進み、親族や参列者が遠方から駆けつけるケースも珍しくありません。

こうした事情から、一晩を通して故人を見守るのではなく、短時間でお別れをする半通夜が増えていきました。

葬儀会場の変化

かつては故人の自宅でお通夜や葬儀を執り行うことが一般的でした。しかし近年は葬儀社が主体となり、専門の斎場やホールで葬儀を行うケースが一般的です。

斎場には宿泊設備がないところも多く、長時間の滞在や宿泊は難しくなりました。このような理由からも、夜を通して行う本来のお通夜ではなく、半通夜形式が選ばれるようになったのでしょう。

防災上の観点

従来のお通夜では、夜通しろうそくや線香の火を絶やさないようにして、寝ずの番をする習慣がありました。しかしこれは火災のリスクを伴います。

そこで防災や安全管理の観点から、火を使う時間を短くし、半通夜という形式を選ぶことが一般化していきました。なお、今でも寝ずの番ができる斎場もありますが、安全上の理由から、本物のろうそくではなくろうそく型のライトを使うところが多いようです。

医療の進化

かつては故人が本当に亡くなったのか、すぐには判断できないこともありました。しかし医療技術が進歩した現代では、死亡の確認はすぐに、確実に行えるようになっています。

そのため、一晩中故人に付き添いながら蘇生を願ったり、状態を見守ったりする必要性が薄れ、半通夜という短時間の形式が定着していきました。

夜伽は故人を偲び、寄り添ったり語り合ったりすること

夜伽はお通夜とほとんど同じ意味を持つ言葉であり、人が亡くなったときに遺族や親族が故人のそばで過ごすことです。大切な人が亡くなった悲しみを分かち合い、思い出を語り合いながら、最後の別れを惜しむ時間でもあります。

あんしん祭典の斎場では半通夜はもちろん、寝ずの番を伴うお通夜もできます。斎場で寝ずの番をすることもできますし、自宅にご遺体を安置し、寝ずの番をすることも可能です。お客さまのご希望に沿うように対応できますので、まずは気軽にお問い合わせください。

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