除籍謄本とは、戸籍内の全員が除籍された際に作成される戸籍の写しです。本記事では、除籍謄本の取得方法や必要なケースについて詳しく解説します。相続手続きで除籍謄本が必要な方や、取得の流れを知りたい方に役立つ内容です。
除籍謄本とは、戸籍に記載されている全員が婚姻や死亡などで除籍された際に作成される公的な書類です。主に相続手続きや身分関係の証明のために利用されます。
相続の手続きは複雑で、「除籍謄本って何?」「どうやって取得するの?」と疑問に感じる方も多いでしょう。特に初めて手続きに関わる方にとっては、どの戸籍を集めれば良いのか、どのタイミングで取得すれば良いのか、不安に思うことも少なくありません。
本記事では、除籍謄本の基本情報や戸籍謄本との違い、取得方法、相続における注意点について詳しく解説します。相続手続きを進めるうえで除籍謄本が必要な方や、スムーズに取得したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
除籍謄本とは
除籍謄本とは、戸籍に記載されていた全員が死亡や結婚などによって戸籍から抜けた際に作成される公的な書類です。戸籍の内容をそのまま写したものであり、除籍後も一定期間保管されます。
人が戸籍から抜けるのは、死亡、婚姻、養子縁組、離縁などの理由によるものです。一つの戸籍に記載されていたすべての人が抜けると、その戸籍は「除籍」となります。そして、その除籍の内容を写したものが除籍謄本です。
なお、除籍謄本の保管期限は、除籍になった日から150年間です。
戸籍謄本との違い
戸籍謄本とは、現在有効な戸籍の内容をすべて写した公的書類です。一方、除籍謄本は、すでに戸籍が除かれた後の記録を写したものです。
除籍の全部事項証明書との違い
除籍の全部事項証明書は、戸籍法の改正により登場した書類で、内容は除籍謄本と同じです。紙の除籍は除籍謄本、電子の除籍は除籍の全部事項証明書と呼ばれます。つまり、名称の違いにすぎません。
除籍抄本との違い
除籍抄本は、除籍された戸籍の中から特定の人物の情報だけを抜粋したものです。除籍謄本が戸籍全体の写しであるのに対し、一部の情報のみが記載される点が異なります。
除籍謄本が必要なケース
除籍謄本は、相続人を確定するための調査である「相続人調査」で必要になります。相続手続きを進める際には、亡くなった人の家族関係を証明する必要があり、その確認には過去の戸籍をさかのぼって調査することが求められます。そのため、被相続人の除籍謄本を取得し、誰が法定相続人であるかを明らかにする必要があります。
相続人調査とは、亡くなった人の相続権を持つ人を確定するための手続きです。具体的には、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を収集し、親族関係を証明します。この調査では、現在の戸籍謄本だけでなく、除籍謄本や改製原戸籍も必要となります。
相続人調査や相続の手続き以外でも、除籍謄本が必要となるケースがあります。例えば、自動車や株の名義変更などです。これらの手続きを行う際には、事前に必要書類を確認し、除籍謄本が求められるかどうかを把握しておきましょう。
除籍謄本を取得する方法
除籍謄本を取得するには、窓口での申請と郵送での申請の2つの方法があります。それぞれの手続き方法や必要書類について、詳しく説明します。
窓口
窓口での申請は、直接役所に出向いて除籍謄本を取得する方法です。申請先は、除籍が置かれている市区町村の役所の戸籍担当窓口となります。手数料は1通につき750円です。
必要書類は以下のとおりです。
- 申請者の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 申請者と戸籍に記載されている人の続柄が確認できる書類(戸籍謄本など)
- 申請書(役所で入手可能)
郵送
郵送での申請は、遠方に住んでいる場合や役所に行く時間が取れない場合に便利な方法です。申請先は窓口申請と同様、除籍が置かれている市区町村の役所です。手数料は1通につき750円で、定額小為替で支払います。
必要書類は以下のとおりです。
- 申請者の本人確認書類のコピー
- 申請者と戸籍に記載されている人の続柄が確認できる書類(戸籍謄本など)
- 申請書(役所のWebサイトからダウンロード可能)
- 返信用封筒(切手を貼付し、返送先住所を記入)
- 手数料分の定額小為替(郵便局で購入)
なお、各自治体によって必要書類や手続きが異なる場合があるため、事前に公式Webサイトで確認することをおすすめします。
除籍謄本を取得できる人
除籍謄本は、主に本人、配偶者、直系尊属(父母、祖父母など)、直系卑属(子、孫など)といった直系の親族が取得できます。これらの関係者は、戸籍法に基づき、正当な理由なく請求を拒否されることはありません。
一方、上記以外の第三者が除籍謄本を取得することも、特定の条件下で可能です。例えば、相続手続きを行う弁護士や司法書士が、依頼人の代理として請求する場合がこれに該当します。ただし、その際には委任状や業務委託契約書など、正当な権限を証明する書類の提出が求められます。
また、裁判で必要など正当な理由があり、かつ市区町村長が認めた場合には、第三者でも取得が許可されることがあります。
相続で除籍謄本を取得する際の注意点
相続手続きにおいて除籍謄本を取得する際には、いくつかの注意点があります。
死亡届の提出から1~2週間後に取得する
死亡届が受理されると、役所は戸籍を除籍に変更します。しかし、すぐに除籍謄本を発行できるわけではなく、処理が完了するまでに通常1~2週間ほどかかります。そのため、死亡届提出後すぐに申請しても、除籍謄本を取得できない場合があります。
手続きの進捗状況は自治体によって異なるため、事前に確認すると良いでしょう。
必要書類の漏れがないよう気を付ける
相続手続きでは、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を提出する必要があります。そのため、現在の戸籍だけでなく、戸籍謄本や改正原戸籍謄本、古い除籍謄本を取得しなければならないこともあります。
必要な書類が不足していると、金融機関の名義変更や遺産分割協議が進まないため、戸籍の収集漏れがないよう気を付けましょう。
古い除籍謄本は読めないこともある
除籍謄本は手書きで作成されている場合があります。特に戦前のものは旧字体やくずし字で記載されています。そのため、内容を読み取るのが難しく、相続人関係を確認する際に支障が出ることがあります。
解読が困難な場合は、専門家に相談するか、役所の担当者に読み方を尋ねると良いでしょう。
除籍謄本の取得、相続手続きは専門家に相談しよう
相続手続きでは、被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて収集する必要があります。しかし、必要書類に漏れがあると、手続きが滞る可能性があります。特に古い除籍謄本は判読が難しく、内容の確認に時間がかかることもあります。
こうした手続きを確実に進めるためには、専門家に相談するのが安心です。司法書士や行政書士、弁護士などの専門家に依頼すれば、必要な書類を漏れなく収集し、スムーズに相続手続きを進められます。
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