お墓参りの花は、基本的に故人の好きな花を選んで差し支えありません。本記事では定番の墓花と花言葉、季節の花の足し方、避けたい花、長持ちさせる選び方と活け方がわかります。花選びに迷う方や、掃除や花持ちまで含めて失敗したくない方に向いた内容です。
お墓参りに供える花は、キクなどの定番にこだわらず、基本的に故人の好きな花を選んで問題ありません。花言葉に気持ちを重ねたり、季節の花を少し足したりすると、墓前が整い、手を合わせる時間もより丁寧になります。
一方で、花粉や花びらが落ちやすい花を選ぶと掃除が大変になったり、花立に合わずにすぐ傷んだりすることもあります。「どんな花なら失礼にならないのか」「長持ちさせるにはどうすればいいのか」と迷う方も多いでしょう。
本記事では、お墓参りにおすすめの定番の花と花言葉、季節の花の取り入れ方、避けた方が良い花の特徴、花を長持ちさせる選び方と活け方をまとめて解説します。故人らしい花を手向けたい方や、墓花選びに自信が持てない方は、ぜひ参考にしてください。
お墓参りでお花をお供えする意味
お墓参りでお花をお供えするのは、故人やご先祖さまへの敬意と感謝を、目に見える形で届けるためです。手を合わせるだけでも供養になりますが、墓前に花があると「きちんと会いに来た」という気持ちが伝わりやすくなります。
お墓掃除のあとに新しい花をお供えすると、墓前の雰囲気が明るくなり、残された家族の心も落ち着くでしょう。
また、花の種類や花言葉を意識すると、故人の人柄や思い出に寄り添ったお供えができます。故人が好きだった花を選んだり、「感謝」「追憶」などの花言葉に気持ちを重ねたりすると、お墓参りの時間がより丁寧なものになるでしょう。
お墓参りのお花の基本の選び方
お墓にお供えする花は、決まりを守ることよりも、故人に気持ちが伝わる選び方をすることが大切です。
お花は基本的に好きなものでOK
墓花は定番の花でそろえる必要はなく、故人が好きだった花や、家族が手向けたいと思える花で問題ありません。気持ちを込めて選んだ花のほうが供養の実感につながりやすく、お墓参りがより充実するでしょう。
花立1つにつき3本または5本をお供えする
花立に入れる本数は3本または5本を目安にすると、見た目のまとまりと扱いやすさのバランスが取りやすいです。本数が少なすぎると寂しく見えやすく、多すぎると花が傷みやすくなるため、花立に収まる適量を意識しましょう。
ちなみに、仏教では奇数が縁起の良い数とされています。割り切れる数である偶数は「故人との縁が切れること」を連想させ、あまり気持ちの良い数字とは言えません。
茎が20〜30㎝以上あるお花を選ぶ
墓前の花は花立にしっかり立ち、風でも倒れにくい状態にしたいものです。茎が20〜30㎝以上ある花は安定して活けやすく、花立の底まで茎が届くので、水もしっかり吸い上げられます。
石材の花立などで深さがある場合は、30〜40㎝ほどを目安に選ぶと、花が中に埋まらず綺麗に見えます。長めの花を選んでおけば、現場で切り戻して長さを微調整できるので安心です。
お墓参りで定番のお花とその花言葉
お墓参りでよく選ばれる花は、花持ちの良さと扱いやすさの両方を備えている花が中心です。花言葉もあわせて知っておくと、故人への気持ちを花に重ねやすくなるでしょう。
キク
キクは仏花の代表格として知られ、季節を問わず手に入りやすい定番の花です。輪菊やスプレーマムなど種類が多く、墓前の雰囲気に合わせて選びやすい点も支持される理由でしょう。キクの花言葉は「高貴」「高潔」「真実」などで、落ち着いた弔意を表しやすい花です。
キクは花持ちが良い品種が多く、気温の変化が大きい時期でも形が崩れにくい花です。花びらが一度に散りにくいため、墓石まわりが汚れにくい点も助かるでしょう。
ユリ
ユリは大ぶりで華やかな印象があり、少ない本数でも墓前が整って見える花です。すっと伸びる茎が花立に収まりやすく、アレンジの軸としても使われます。ユリの花言葉は「純潔」「威厳」などで、故人を敬う気持ちを表しやすい花です。
ユリは花粉が落ちると墓石や衣服に色が付き、落としにくいことがあります。お供え前に雄しべの先を取り、花粉が付かない状態に整えると安心です。
カーネーション
カーネーションは色の選択肢が多く、故人の好みや雰囲気に合わせやすい定番の花です。茎がしっかりしていて形がまとまりやすく、花束としても扱いやすい花でしょう。カーネーションの花言葉は「感謝」「無垢で深い愛」などで、手向ける気持ちを込めやすい花です。
カーネーションは比較的花持ちが良く、花びらが散りにくい傾向があります。墓前の掃除や片付けの負担を増やしにくい点も、お墓参り向きといえます。
スターチス
スターチスは小さな花が集まって咲くため、花束の隙間を埋める役として重宝される花です。乾いた質感で崩れにくく、墓花に少し混ぜると全体が引き締まるでしょう。スターチスの花言葉は「変わらぬ心」「途絶えぬ記憶」などで、追悼の場面に合いやすい花です。
スターチスは水が少ない環境でも傷みにくく、暑い時期でも見た目を保ちやすい花です。花びらが落ちにくいため、墓石まわりの汚れを抑えやすい点も魅力です。
トルコキキョウ
トルコキキョウは柔らかな花姿が上品で、白や淡い色を選ぶと墓前がやさしい雰囲気になります。つぼみから順に咲く品種が多く、花束として飾ったときに変化を楽しめる花です。トルコキキョウの花言葉は「優美」「希望」などで、穏やかな祈りの気持ちを添えやすい花です。
トルコキキョウは花びらが薄く、風や乾燥で傷みやすいところもあります。花立の水を切らさず、強い日差しを避けられる季節に供えると長持ちしやすくなります。
定番の墓花に季節のお花を少し足してみよう
キクやユリなどの定番の墓花に季節の花を少し加えると、墓前にその時期らしい彩りが生まれます。季節の花は故人の思い出と結び付きやすいので、家族の気持ちを形にする工夫として取り入れるとよいでしょう。
春:ガーベラやアルストロメリア
ガーベラやアルストロメリアは色が明るく、春らしいやわらかな雰囲気を墓前に添えられる花です。ガーベラを選ぶと「前向きに歩んでいきたい」という気持ちを墓前で表しやすいでしょう。アルストロメリアは「思いやり」や「支え合い」を連想しやすく、家族の感謝を託しやすい花です。
夏:ケイトウやアンスリウム
ケイトウやアンスリウムは夏の暑さでも形が崩れにくく、墓前が華やかに見えやすい花です。ケイトウは「変わらない思い」を連想させる花なので、故人を忘れない気持ちを表せます。アンスリウムはつやのある姿が印象的で、墓前を鮮やかに彩ってくれるでしょう。
秋:リンドウやダリア
リンドウやダリアは落ち着いた色合いが選びやすく、秋の静かな空気に合う花です。リンドウは「誠実」などの花言葉で知られ、まっすぐな感謝の気持ちを伝えやすい花です。ダリアは「気品」や「華麗さ」を感じさせるため、故人を大切に思う気持ちを丁寧に表せるでしょう。
冬:シンビジウムやアマリリス
シンビジウムやアマリリスは冬でも花持ちが期待でき、墓前が寂しく見えにくい花です。シンビジウムは上品な印象があり、落ち着いた弔意を整えて伝えられます。アマリリスは凛とした姿が特徴で、故人への尊敬や感謝を力強く託せる花です。
お墓参りで避けた方が良いお花
お墓参りの花は「供えたあとに墓石や周囲が汚れにくいか」「手入れが負担にならないか」を基準に選ぶと安心です。見た目はきれいでも掃除が大変になったり、周囲に迷惑がかかったりする花もあるため、避けた方が良いタイプを把握しておくと失敗しにくいでしょう。
花粉や花弁が落ちやすいお花
花粉や花弁が落ちやすい花は、墓石に色が付いたり周囲に散らかったりして掃除の手間が増えるため、避けた方が無難です。ユリのように花粉が目立つ花や、サクラ・ツバキのように花びらがまとまって落ちやすい花は、墓地の環境によっては扱いにくいかもしれません。
香りが強いお花
香りが強い花は、墓地でお参りする人の体調を刺激したり、納骨堂など香りがこもる場所では不快に感じられたりするため控えるのが無難です。スズランやフリージア、ヒヤシンスなどは香りがはっきりしているので、選ぶなら少量にとどめましょう。
トゲや毒のあるお花
トゲや毒のある花は、手を切るなどのけがにつながりやすく、小さな子どもが触れた場合のリスクもあるため避けた方が安全です。バラのようにトゲが目立つ花や、彼岸花のように毒性で知られる花は、殺生を連想させることもあり、お供えには向きにくいと考えられます。
ツルのあるお花
ツルのある花は、花立から垂れたツルが墓石や周辺に絡みやすく、片付けや掃除が大変になりやすいため避けた方がよいタイプです。ツルが故人の魂に絡みつき、成仏を妨げるという考えもあります。アイビーやクレマチスのようにツルが伸びる植物は、見た目がきれいでも避けた方がよいでしょう。
お墓のお花を長持ちさせるコツ
お墓の花は屋外で風や日差しを受けやすいため、少しの工夫で花持ちが大きく変わります。花が早く傷む原因を先に取り除いておくと、次のお参りまできれいな状態を保ちやすくなります。
水に浸かる部分の葉は取り除く
水に浸かる部分に葉が残っていると葉が腐りやすくなり、水が濁って茎が傷む原因になります。葉を減らして水を清潔に保つほうが、花が水を吸いやすくなって長持ちします。
花立に入れる前に、茎の下側に付いた葉を外し、茎だけが水に浸かる状態にしましょう。葉を切るときは清潔なハサミを使い、茎の表面をつぶさないように扱うと花を傷めずに済みます。
花立をきれいに洗ってからお供えする
花立の内側に汚れやぬめりが残っていると雑菌が増えやすくなり、花が早く弱ってしまいます。花立を清潔にしてから水を入れるほうが、花が元気な状態を保てるでしょう。
花立は水を捨てたあとに軽くこすり洗いし、ぬめりが気になるときは柄の付いたスポンジで奥まで洗うと汚れが落ちやすくなります。洗い終わったら水気を軽く切り、きれいな水を入れてから花を活けましょう。
適度な本数をお供えする
花立に花を詰め込みすぎると茎が押し合って水の通り道が狭くなり、花全体に水が回らず傷みやすくなります。見た目を華やかにしたい気持ちはわかりますが、花が呼吸できる余裕を残す意識が大切です。
花立1つにつき3本か5本を目安に、花の種類が多い場合はボリュームの出やすい花を減らしてバランスを取りましょう。花が密集していると感じたら本数を減らし、茎の向きを少しずつずらして水が行き渡る状態にすると長持ちしやすくなります。
お墓参りのお花に関するよくある質問
お墓参りの花は家庭や地域で考え方が少しずつ違うため、迷いやすいポイントがいくつかあります。よくある疑問を先に整理しておくと、当日の準備やふるまいに自信が持てるでしょう。
お墓参りのお花は造花でも良い?
造花をお供えしても問題ありません。強い日差しや風で生花が傷みやすい場所では、見た目を保ちやすい造花を選ぶと負担が少ないでしょう。
墓地のルールで造花が禁止されていないかを確認し、花立に収まるサイズを選びましょう。また、造花は生花に比べて軽く、風で吹き飛ばされるかもしれません。お墓用の重い造花を選ぶか、重石をつけることをおすすめします。
仏花と墓花の違いは?仏花をお供えしても良い?
仏花は仏壇に供える花、墓花はお墓に供える花で、用途は違っても基本の考え方は共通しています。仏花をお墓にお供えしても差し支えないことが多く、花持ちが良く落ち着いた色合いの花なら使いやすいでしょう。
ちなみに、墓花を仏花という名称で売っているお店もあります。
お花はお参りの後に持ち帰るべき?
持ち帰ったほうが良い場合もあれば、そのまま供えて帰ることもあります。墓地によってはカラス対策や衛生面の理由で持ち帰りを推奨することがあるので、まずは墓地の案内や掲示を確認すると安心です。
風が強い日や夏場は傷みが早いので、花が散らかりそうなら持ち帰る判断も現実的でしょう。具体的には、次のお墓参りが1か月以上先なら、持ち帰るほうが無難です。
お墓参りで使ったお花を仏壇にお供えしても良い?
お墓参りで使った花を仏壇にお供えするのは、できればやめておきましょう。仏壇は仏様やご先祖様を祀る場所です。一度お墓に供えた花を仏花として使いまわすのは、仏様に失礼です。仏壇には別の仏花を供え、持ち帰った花は部屋に飾るなどするとよいでしょう。
お墓にすでにお花が供えられていたら?
すでに花が供えられていても、用意した花を追加でお供えして大丈夫です。花立の本数やスペースに余裕がない場合は、無理に詰め込まず、傷んでいる古い花と入れ替えるとよいでしょう。
花立に供えられている花がまだ新しく元気な場合は、持参した花を持ち帰るのがマナーです。
故人の好みや花言葉を踏まえてお花を選んで、お墓参りの満足度を高めよう
お墓参りの花選びに正解はありません。故人が好きだった花や、感謝や追憶などの花言葉を持つ花を選ぶと、手を合わせる時間がより丁寧になります。
墓花は定番の花を中心にしつつ、季節の花を少し足すだけでも墓前の雰囲気が明るくなるでしょう。花粉が落ちやすい花やトゲのある花を避け、花立の本数や掃除の手間まで意識すると、次のお参りまで花がきれいに保ちやすくなります。
次のお墓参りでは、故人の好きだった色や思い出の花を、ぜひお供えしてみてください。花言葉も意識して選ぶと、お墓参りがきっと充実します。花立の水と汚れを整えてから供えるだけでも、墓前がすっと清らかになり、お参りの満足度も高まるでしょう。


