家族葬とは参列者を絞った小規模な葬儀のことです。10人ほどの家族葬の費用は80万円ほどが目安です。本記事では家族葬の費用の内訳や節約のコツ、注意点まで詳しく解説。10人ほどの落ち着いた家族葬を考える方に役立つ内容です。
家族葬とは、参列者を家族やごく親しい人に限定する小規模な葬儀のことです。落ち着いた雰囲気でお見送りできる一方で、実は、費用面での負担が一般葬とあまり変わらないのはご存じでしょうか。
「10人ほどで家族葬をしたら、どのくらいの費用になるのだろう?」「一般葬と比べてどれくらい安くできるのかな」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、10人ほどの家族葬の費用目安や内訳、節約の工夫、注意点をわかりやすく解説します。少人数で落ち着いたお見送りを考えている方、費用感を知って準備したい方に役立つ内容です。
家族葬を10人ほどでする場合の費用目安
あんしん祭典では10人ほどの家族葬を承ることも多いですが、これまでの平均額は次のとおりです。
- 80万円
もちろん、これはあくまで一例で、家族葬の費用は諸条件により大きく変動します。先述の金額より高くなることもあれば、工夫次第で上記の費用よりもグッと抑えられることもあります。上記金額はあくまでも平均的な見積もり金額として参考にしてもらえればと思います。
自分たちの場合はどの程度の金額になるのか知りたい方には、こちらのシミュレーションがおすすめです。葬儀の規模や重視することを入力していくだけで、概算の費用が算出されます。1分もかからずできるので、家族葬の費用の見当がつかずにお困りの方はぜひお試しください。
参列者数ごとの家族葬の費用の違い
家族葬の費用相場は48万~180万円ほどと幅が広いです。そこで本記事の作成にあたり、実際にあんしん祭典の葬儀担当者が平均的な家族葬の費用の見積もりを出してみました。先述のとおり、費用は諸条件によって大きく変わりますが、参考にはなるはずです。
25人の場合
25人の場合の平均的な見積もり額は次のとおりです。
- 95万円
40人の場合
40人の場合の平均的な見積もり額は次のとおりです。
- 110万円
ここで、家族葬費用を参列者数で割って、参列者1人あたりいくらかかるのかを見てみましょう。
| 人数 | 1人あたりの費用 |
| 10人 | 80,000円 |
| 25人 | 38,000円 |
| 40人 | 27,500円 |
参列者1人あたりの葬儀費用
表を見てわかるとおり、参列者の数が増えるほど、1人あたりの費用は減っていきます。言い換えれば、参列者を減らすことで費用を抑えようとしても、あまり大きな効果は得られないとも取れます。
今回の見積もりでは、参列者が15人増えるたびに費用が15万円ほど変わることになりました。この金額差は大きいですが、参列者が増えるほど受け取る香典額も増えていきます。詳しくは後述しますが、参列者の人数を抑えれば費用負担が軽くなるとも言い切れません。
この結果を見ると、家族葬の参列者数は費用で考えるのではなく、「誰に参列してほしいのか」を軸に考えるのが良いといえるでしょう。
家族葬の費用内訳
家族葬にかかる費用は大きく3つに分けられます。葬儀一式にかかる費用、お通夜や葬儀・告別式後の飲食接待費、そして寺院へのお布施です。この3つの合計が全体の費用となります。
葬儀一式費用
葬儀一式費用とは、式場や祭壇、棺、遺影、霊柩車など、葬儀を執り行うために必要な基本的な費用のことです。10人ほどの家族葬でも、この金額が全体の中心を占めます。葬儀一式費用には次の表のような項目が含まれ、45万~130万円が目安額となります。
| 費用項目 | 注意点 |
| 遺体の安置費用 | 安置施設や遺体ホテルにかかる費用。自宅安置でもドライアイス代が必要になる |
| 霊柩車の使用料 | 遺体を安置場所や火葬場へ運ぶための費用。移動距離によって金額が変動する |
| 会場使用料 | 式場や葬儀場を借りる費用。会場規模や立地によって大きく差が出る |
| 棺や骨壺代 | 故人を納める棺や骨壺の費用。素材やデザインにより価格が変わる |
| 祭壇設営費 | 祭壇の設置や装飾にかかる費用。プランによって規模やデザインが異なる |
葬儀一式費用の内訳
飲食接待費
飲食接待費とは、通夜振る舞いや精進落としなど、参列者にふるまう食事や飲み物の費用です。1人あたり1万~3万円が目安額です。人数に応じて合計金額が大きく変わります。
| 費用項目 | 注意点 |
| 通夜振る舞い | お通夜後に振る舞う軽食や飲み物の費用 |
| 精進落とし | 葬儀・告別式後に親族や僧侶へ提供する食事代 |
| 飲み物代 | アルコールやソフトドリンクの費用。人数が多いと高額になりやすい |
| 会場利用料 | 料理を提供する会場や控室の使用料が含まれる場合もある |
飲食接待費の内訳
寺院への費用
寺院への費用とは、僧侶に読経や戒名授与をしてもらうことへのお礼として支払うお金です。要はお布施のことで、目安額は30万~50万円ほどです。葬儀の規模ではなく、読経の回数や戒名のランクによって目安額が変わります。
| 費用項目 | 注意点 |
| 読経へのお布施 | 枕経やお通夜、葬儀での読経に対するお礼。回数によって金額が変わる |
| 戒名へのお布施 | 戒名を授けてもらうお礼。戒名の位によって目安額が大きく変動する |
| 御車代 | 僧侶の移動費として渡すお金。5,000円が相場だが、会場が遠方の場合は実費を包むこともある |
| 御膳料 | 僧侶が会食に参加しない場合に渡すお金。5,000円が目安。会食参加時は不要となる |
寺院への費用の内訳
家族葬で安くなる費用
家族葬は一般葬に比べて参列者が少ないため、全体の費用も抑えやすい傾向があります。ただし、安くなる部分とそうでない部分があります。「すべての費用が圧倒的に安くなるわけではない」と知っておくことが大切です。
安くなるのは主に「飲食接待費」
家族葬では参列者の人数や規模を抑えられるため、飲食接待費を大幅に減らせます。特に10人ほどの家族葬であれば、通夜振る舞いや精進落としを省いたり、折詰料理にしたりすることで費用を抑えられます。
参列者の多くが家族や親しい親族に限られるため、形式的な会食を無理にする必要はありません。僧侶に対しても折詰をお渡しするか、食事を省略する場合は「御膳料」を包むのが一般的です。御膳料は僧侶が食事に参加しなかった際に渡すお礼で、5,000円ほどが目安となります。
葬儀一式費用はやや下がる
家族葬では人数や規模を抑えられるため、小規模な会場を選ぶことで会場使用料や人件費も抑えられます。ただし、葬儀一式費用の大部分は一般葬とあまり変わらず、大きく下がるわけではありません。
遺体の安置や霊柩車、棺や骨壺といった基本的なサービスは人数に関係なく必要です。そのため費用全体で見ると、家族葬では一般葬よりもやや安くなる程度にとどまります。
お布施は一般葬と変わらない
寺院への費用であるお布施は、家族葬も一般葬も金額に差がありません。読経の回数や戒名のランクによって金額が決まるため、葬儀の規模が小さいからといって減額されるものではないためです。
そのため、読経の回数が少なくなる一日葬や直葬(火葬式)では、お布施はやや安くなります。
費用を抑えて10人ほどの家族葬をするには
家族葬は比較的安価な葬儀形式ですが、工夫をすれば費用をさらに抑えられます。ここでは、費用を抑えるための工夫を紹介します。
複数社から見積もりを取る
葬儀社によってプラン内容や費用には大きな差があります。そのため、複数社に見積もりを依頼し、比較検討することが大切です。細かい費用の内訳まで確認しましょう。
内訳まで細かく確認することで、不要なサービスやオプションに費用をかけずに済みます。予算に合ったプランを選びやすくなり、内容的にも納得できる家族葬が実現します。
生前相談を活用する
葬儀社では事前相談や生前相談を受け付けており、希望に合わせたプランを前もって検討できます。生前に相談しておくことで、必要な項目と不要な項目を冷静に判断できます。
生前相談を活用することで逝去後に慌てずに済み、費用も事前に把握できます。無駄を避けて、安心して準備を進められるのが大きなメリットです。
あんしん祭典でも葬儀の生前相談を承っています。実際にどのくらいの費用がかかるのか、どのような葬儀にすれば全員が納得できるのか、一緒に考えましょう。
祭壇や飾りのグレードを下げる
祭壇や装飾は見た目の印象を左右しますが、求めすぎると費用がかさみます。生花の量を減らす、祭壇のグレードを下げるなど、調整しましょう。
参列者の多い葬儀では「グレードを下げるなんて故人を軽んじている」と思う人もいるかもしれませんが、10人ほどの家族葬に参列するのは、ごく近しい親族や友人のみです。決して故人を軽んじているわけではないと、わかってくれるでしょう。
10人ほどなら一日葬もあり
お通夜を省き葬儀・告別式と火葬のみを行う一日葬は、費用を抑えたいときにおすすめの選択肢です。お通夜を省くため親戚の理解を得づらいのが難点ですが、先述のとおり、10人ほどの家族葬に集まるのはごく近しい親族・友人です。きっとわかってくれるでしょう。
ただ、お通夜を省く一日葬では、お別れの時間が十分に取れないかもしれません。宗教儀式であるお通夜を省くため、菩提寺がある場合は相談・確認が必須です。菩提寺の考え方によっては、先祖代々のお墓に入れなくなってしまうかもしれません。
後悔が残らないよう、費用だけでなく、故人や家族の意向、葬儀に何を求めるのかをしっかり考える必要があります。
一日葬が気になる方は、こちらのページもご覧ください。あんしん祭典の一日葬について、内容や費用目安を紹介しています。
10人ほどで家族葬をする際の注意点
家族葬は小規模で落ち着いたお見送りができる一方で、進め方によっては思わぬトラブルにつながることもあります。特に親族や関係者とのコミュニケーションや香典の扱いなどは注意が必要です。
親族に相談し、理解を得ておく
家族葬は参列者を限定するため、事前に親族へ相談し理解を得ることが大切です。呼ばれなかったことで不満を抱く人が出ないよう、事情を丁寧に伝えましょう。
相談を怠ると後々の人間関係に影響が出るかもしれません。反対に、あらかじめ理解を得ておけば、精神的にも落ち着いて式に臨めます。
参列できなかった人の弔問対応に追われやすい
参列者を限る家族葬では、後日弔問に訪れたいという申し出が増える傾向があります。葬儀当日の負担は減らせても、その後の対応が続き、かえって疲労が溜まってしまうかもしれません。
故人の人間関係をよく確認し、参列や弔問を希望する人がどのくらいいるのか考えておきましょう。弔問希望者があまりにも多くなりそうなら、一般葬にして、葬儀当日に対応した方が楽になることもあります。
参列を遠慮してもらう相手にも訃報連絡はする
参列をお願いしない相手であっても、亡くなった事実を伝えることは必要です。できれば葬儀前に、訃報連絡だけはしておきましょう。その際、「家族葬で執り行うため、参列はご遠慮ください」と伝えれば問題ありません。
葬儀後に訃報連絡をすると、「参列したかったのに知らせてもらえなかった」と、不信感につながります。最もいけないのが、訃報自体を伝えないことです。これは強い不信感につながり、人間関係にも悪影響を及ぼします。
訃報連絡の仕方はこちらの記事で紹介しています。参列をお願いする相手と遠慮してもらう相手、それぞれの例文も紹介しているので、ぜひご活用ください。
香典をあてにしない
参列者を限る家族葬では香典も少なくなります。また、香典をもらっても、その金額の3分の1~半分の金額の返礼品を贈る「香典返し」が必要です。香典が少ないこと、香典返しにお金がかかることを考えると、香典で家族葬の費用を賄うのは難しいでしょう。
香典返しの手間を考え、香典そのものを辞退するケースもあります。香典辞退についてはこちらの記事で解説しています。香典辞退はマナー違反に当たらないのか、どのように辞退すればいいのか不安な方は、ぜひお読みください。
【例文付き】家族葬の香典辞退の方法|それでも受け取ってほしいと言われたら
10人ほどの家族葬なら落ち着いてお見送りができる
一般葬に比べると家族葬は費用を抑えやすいですが、劇的に安くなるわけではありません。抑えられる部分は限られており、想像よりも費用がかかるケースも少なくありません。
また、参列者を絞ることで当日の対応は軽くなりますが、その分、参列できなかった人が後日弔問することもあります。費用面でも労力面でも、必ずしも一般葬より負担が小さいとは言い切れません。
それでも10人ほどの家族葬は、静かで落ち着いた雰囲気の中で故人を見送れるのが大きな魅力です。大切なのは費用の多寡ではなく、故人や家族の意向をどう反映させるかという点です。できれば時間に余裕のあるうちに、信頼できる葬儀社へ相談し、自分たちらしい葬儀の形を考えておきましょう。
あんしん祭典でも葬儀の生前相談を承っています。ご本人様とご家族様、双方のご要望を踏まえ、最適なプランを提案させていただきます。
もちろん、提案したプランを押し付けることはありません。提案はあくまでたたき台です。それをベースにして、ベストな形を一緒に探していきましょう。


